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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第167話 逆転の一手。









 リザードマンハンター二体とリザードマン達の戦いに私は。


「・・こいつは不味いな。向こうの連携に対処ができない。」


 冷や汗を掻いた。


 ティナは。


「・・そうですね。一体一体は問題ないんですが。複数な上に連携も申し分なし。・・・正直、ピンチですね。」


 同様に冷や汗を掻いた。


 ・・・最初の時はリザードマン達が複数相手でも後れは取らなかった。しかし、リザードマンハンターが現われ、形勢逆転された。

 リザードマンハンターの指揮の下、統率され、こちらの攻撃は盾を持ったリザードマンが防ぎ、他のリザードマンが剣で攻撃。


 ・・・役割を持った者がする徹底した動き。かなりキツい。


 何故なら、攻防を一人でやると必ず隙が生まれる。今までの連中はそこをついて戦ってきた。・・・しかし、攻撃と防御を一人一人が担うことで一切の隙は無い。


 私は。


「・・・先にリザードマンハンターを狩るべきだろうが。・・そんな暇はないからな。」


 舌打ちをした。


 ・・・上級魔物を一体相手にするだけでも時間は掛かる。その間に周りが動かないと言うことは無い。


 アニメやマンガではよくあるシーンだが、現実ではそうはいかない。


 ・・・隙あらば攻撃。戦場の常識である。


 ティナは。


「・・私がなんとか分断します。その隙にシンスケはリザードマンハンターを。」

 

 この提案に私は。


「・・無理だな。向こうはこっちが魔術を発動する時間を与えない。」


 苦い顔した。


 ・・・先ほど、火の魔術で一掃しようと魔力を込めているとその隙をリザードマン三体が一斉に襲いかかった。・・なんとか防いで生き延びることができた。


 ・・・その時、ティナは別のリザードマンを相手にしていたのでそれを見ていない。


 ティナは。


「・・・ならば、私が引きつけます。その間に魔術を。」


 私は。


「・・それは俺の役目だろう?・・・ここ一番のカッコいい場面だぞ。」


 妙な対抗意識が生まれた。


 ティナは。


「・・・そんな事を言っている場合ではありません。・・それにあなたは充分カッコいい所は見せていますよ。」


 少し呆れ顔である。


 ・・・これって・・あれか。本人が全く自覚していないっていう。


 しかし、私は。


「・・だが、俺よりもティナの方がいい。氷で連中を串刺しに。」


 ティナは反論し。


「・・そっちの炎の方が有効ですよ。」


 少し声が荒かった。


 ・・何か言おうとしたとき、リザードマン六体が襲いかかった。私たちは即座に回避した。


 ・・それぞれ左右に分かれ、私が三体。ティナが三体。・・・分断された戦いになった。


 私は。


「・・・言い争っている場合では無かった。最悪だ。」


 呟いた。


 ・・・二人の時は相手も警戒して激しい攻撃はしてこなかった。しかし、分断されては向こうはやる気満々に襲ってきた。

 ・・剣を持ったリザードマン二体が向かってきた。


 一体の横薙ぎを躱すと間髪入れずに二体目の兜割りがきた。それを剣で受け流し、反撃しようとすると一体目の袈裟斬りが炸裂。・・・後ろに下がるしか無かった。


 ・・・二体が少し、体勢を崩していたので一気に間合いを詰めようとしたとき、どこからか三体目の盾が現われ、間に入った。

 私はそのまま右横薙ぎを放った。


 しかし、盾に少し擦り傷を残す程度しか与えられなかった。


 ・・・私の剣はヒヒイロカネ製だ。切れ味は通常状態でも鉄なら豆腐のように斬れる。


 斬れない理由はだた一つ。・・・相手の技量が上手いから。


 剣で斬りつけるタイミングを見て盾で受け流した。最小の動きで。


 今までの剣と盾のリザードマンにはそこまでの技術は無かった。


 ・・・しかし、役割を担ったリザードマンにはあの時以上の力を感じた。二体の剣を持つリザードマンの動きと剣筋も同様である。



 

 ティナは同じように二体から攻撃を受けていた。一体目の左袈裟斬りを剣で受け流し、反撃しようとした瞬間。真横から二体目の突きが襲ってきた。

 ・・・ティナはとっさに剣で防御。そのまま左横に反復横跳びのように移動した。


 そのまま留まれば一体目の攻撃がくるからだ。・・・体勢を立て直すと二体は突きの構えをし、ゆっくりと左右に分かれた。


 ティナは。


「・・・まずいですね。これは・・・」


 汗を掻いた。


 ・・・二体は全く隙が無く、無理に仕掛ければ三体目の盾が防ぐ。現にそいつは盾を持ちながらこちらをうかがっている。



 アルミ達はゴブリンとリザードマン達に追い込まれていた。


 ・・・シンスケ達は絶体絶命であった。


 リザードマンハンターは勝利を確信していた。


 

 その時。


「「「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 突如、大地を揺るがすほどの雄叫びが上がった。


 ・・・この場にいる者達はその方向を見た。


 すると、冒険者ならびに兵士達が一斉に駆け寄ってきた。


 冒険者達は。


「・・・突撃!!」

「・・・あの人達を救え!!!」

「・・・これ以上好きにさせるか!!!」


 気合いの言葉を言いながら走ってきた。


 ・・・魔物たちは気を取り直し、彼らを迎え撃った。当然、アルミ達はその隙を逃さずに後退した。


 それとは別の方向から一部の兵士達が私たちの方に来た。


 ・・・リザードマン達は標的を変更するべきか迷っていた。その隙を見逃さず、私はすぐにその場から離脱し、ティナの方に向かった。


 ・・・ティナの所にいるリザードマン三体はまだ動いていない。


 私は走りながら魔力を込めて。


「・・・チェェェェェストォォォォ!!!」


 右横薙ぎで剣を持ったリザードマン一体を両断した。


 驚くリザードマンにティナは。


「・・・・隙あり!!!!」


 右袈裟斬りで同じく両断。


 ・・・二体のリザードマンは絶命した。残った盾のリザードマンを左右から突き殺した。


 逆転に次ぐ逆転である。


 私は。


「・・なんとか命拾いしたな。・・・人には優しくだな。・・・例え、何があろうとな。」


 安堵の表情である。


 ・・・正直、人助けをした理由は半分は感情のまま。もう半分は助けた恩に困ったことがあったらしてもらう。そんな気持ちであった。

 ・・・少し俗物のような考えだが、どこでも死んでもおかしくない世界だ。保険はかけておきたい。


 ・・・地球ではこういう人助けはしたことがない。


 何故なら、しても損するだけだから。


 ・・・例えるなら道ばたで転んで荷物を落とした老人を助けて荷物拾いをしても`盗む気か!?`と汚名を着せられることが当たり前のようにある。

 ・・・それを知っているから命の危機以外では誰も助けようとしない。


 自分の人生が台無しになる。・・・この世界だからこそ人助けしても誰も文句は言わない。


 素直に感謝する。


 ティナは。


「・・・ふっ。地球に行く前の私なら何を言っているです?という感想ですが。今なら分かりますよ。その気持ち。」


 まるで見透かしたように同意してきた。


 私は。


「・・さてと。会話は終りだ。・・向こうもこっちに目を向けたようだ。」


 私の視線の先はリザードマンハンター二体がこっちを見ていた。


 ・・・新たに現われた冒険者達と見比べても私たちが危険だと判断したようだ。


 ティナは。


「・・好都合ですね。上級二体の相手は私たちくらいですからね。」


 構えていた。


 ・・・私も同様に構えた。リザードマンハンター二体も剣と槍を構えた。互いに相手を見据えて左右に少しずつ離れていく。


 ・・私たちも同じように左右に分かれた。ティナは槍使い。私は剣使い。


 互いに思う存分戦える距離。・・・沈黙する二人と二体。


 ・・そして、同時に走り出した。





 アルミ達はやってきた冒険者達の手で救われた。


 兵士は。


「・・ご無事で何よりです。ここは私たちにお任せを。・・・あなた方はお下がりください。」


 これに対してアルミは。


「・・じょ、冗談じゃ無いよ。・・・まだ私は戦える。」

 

 乱れる呼吸が全てを物語っているのに気丈に振る舞う姿にドルドが。


「・・リーダー。無理だよ。ルーズは右腕の怪我がひどくて武器が振るえない。ミミィは足に怪我を。私も魔力が尽きてる。」


 冷静にパーティーの現状を報告した。


 ・・・アルミは三人を見た。ルーズは怪我を抑えて苦悶の表情。ミミィは明るく振る舞おうとしているが無理をしているのが分かる。ドルドも目立った怪我は無いが座り込んで立ち上がる気力もない。アルミ自身も全身に斬り傷があり、特に左腕と右脇腹が重症である。


 アルミは。


「・・・分かった。退くよ。・・・悪いけど。三人を運ぶのを手伝ってくれないか?一人じゃ無理だ。」


 助け船を出した。


 兵士は。


「・・・お任せください。」


 そう言って隣にいた兵士と一緒に三人を運んで基地に戻った。



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