幕間 七天魔 その六。
こうして初日の戦いは終わった。
しかし、まだ終わっていない。魔物たちとの戦いを。
そして、それを見ていた連中も。
七天魔サイド。
大陸で最も高い山の頂上。
・・・そこに到達した人間は一人もいないとされるほどの魔境。
しかし、そこには七匹の魔物が揃っていった。
`竜王バムハル`は。
「・・此度の戦いはどう思う?諸君?」
この質問に`叡智レドルザ`は。
「・・正直に申しますと。ふざけた行動だと思います。」
その言葉はここにいる全員一致の考えである。
・・・この者達も好き放題しているが、一つだけ絶対の掟がある。
それは国を滅ぼしてはいけない。
・・・人間一人に対してちょっかいをかけるのはいい。退屈しのぎになる。しかし、国全体を攻撃するようなことはしない。
・・・特に、バムハルは調停者。
世界のバランスを見るのが大昔からの役目。
本人も退屈しのぎに何かをするが、基本的には不干渉をする。`七天魔`を設けたのも、バランスを取る為には他方からの意見が必要だからである。
`千毒ラテス`は。
「・・しかし、何故このような事をするのでしょう?人間達を滅ぼして何をするのか?」
この疑問に`海将ダイオス`は。
「・・・何も考えていないとは言えませんな。あれだけの軍団を指揮しているのです。無能というわけでは無いでしょう。」
この答えに`運命ルムビ`は。
「・・・じゃぁさぁ~~~?一体何がしたいのぉ~~~?訳が分からないわ?」
この疑問に`剣魔シドール`は。
「・・・もしかしたら、支配する気ではないでしょうか?・・・人間達を導く王たちを殺し、自分たちが人間達を支配する。」
この憶測にレドルザは。
「・・・・・考えとしては間違っていないかと。もし、人間達を滅ぼす気なら王都だけというのはおかしな話です。」
全員が頷いた。
今まで黙っていた`堕落ハリーネイア`は。
「・・・それで?竜王?・・私たちはどうするの?」
何時になく真面目な質問にバムハルは。
「・・・もう少し様子を見よう。・・今は人間達が奮戦しているようだ。・・・それにあの異世界人も国境線で戦っているようだ。」
ルムビは。
「へぇ~~~。・・・あの人間がねぇ~~~。・・ねぇ~~~少し協力的なちょっかいをかけるのは?」
この質問にハリーネイアは。
「・・それはおもしろそうねぇ~~。私の力で後押しをすればおもしろいことにならない~~?」
何時もの口調になったハリーネイアにラテスは。
「・・・確かに面白そうだ。・・どうですかな?竜王殿?」
バムハルは。
「・・・却下だ。一年前に人間と接触し力を貸したのは、その人間を始末する前提での話だ。だが、異世界人に力を貸すのはダメだ。・・・我々の存在を知っているとはいえ、善意を感じさせてはならぬ。・・・魔物と人間の関係は変えてはならない。」
その言葉に全員沈黙した。
・・この世界で魔物と人間は相容れぬ関係。狩るか狩られるか。
それを壊すことは世界が許さない。
レドルザは。
「・・・ではどうします?・・・異世界人が元凶を倒すのを見ておきますか?・・仮に倒せても他の国々が無事ですむとは思えませんが。」
この質問にバムハルは。
「・・・その時は、対処するだけだ。もし、倒せなくても・・・」
そこから先は言わずとも分かるような雰囲気を醸し出していた。