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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第158話 国境線の始まり。






 国境線。


 前線基地。


 各国が大変なことになっていると全く考えておらず、目の前の問題に没頭する私。


 ・・・それは魔物では無く、ティナに群がる冒険者達である。


「・・これは美しいお方。・・どうです?私とともに魔物退治を?」

「・・何を言うか!?彼女の美しさにお前が釣り合うか?・・私の方が・・」

「・・そっちこそ何を言う?美しい人は私と・・」


 張り合っていた。


 ・・ここにいる連中はBランクの冒険者。実力はあるようだが、頭は花畑である。


 ティナは。


「・・申し訳ありませんが。今日出会ったばかりの人達とは組む気はありません。・・ですが、今回の戦いで私の指示を聞いてくれるのなら考えても良いですよ。」


 この言葉に冒険者達は。


「・・本当ですか?!是非、私たちに指示を!!」

「・・貴女の為なら例え火の中水の中!!!」

「・・我々の命は美しい貴女様の為に!!」


 興奮していた。


 ティナは満足そうに。


「・・・ではよろしくお願いします。」


 そう言って私の所に戻ってきた。


 私は。


「・・お疲れさん。実力はあるような装備をしているが。あいつら自身を見た限り、頼りなさそうだが。・・・実際は?」


 この質問にティナは。


「・・・見た目通りです。多少は腕に自信があるとは思いますが、それだけです。おそらく、ゴルトール将軍が言っていた連中でしょう。全く期待していません。」


 呆れ口調である。


 解散となった連中はやけに命令口調でパーティーに指示をしている。・・・あれは生き残るのは無理だな。


 私は。


「・・・なら、邪魔にならないように上手く指示を頼む。」


 ティナは頷いた。


 その時。


「・・はっ!!随分と偉そうだね?Aランク様は?」


 振り向くとそこには四人パーティーがいた。


 ・・・メンバーは棒使いに魔術師、弓使いに斧使いだ。しかも、全員女性だ。


 ・・・特に斧使いの女は迫力がある。身長百九十センチ。赤黒い髪をポニーテールにし。服装はオリハルコン製の軽装。アマゾネス風だ。そして、一番に目につくのは左目に眼帯をしている所だ。


 ・・一見すれば男のような立ち振る舞いだが、胸があるので女だと分かる。


 ティナは。


「・・・失礼ですが、どちら様ですか?」


 訪ねてみた。


 斧使いは。


「・・はっ!!貴女のような礼儀正しいお嬢様に名乗るほどの名は持ち合わせてねぇよ!・・ただ一つだけ言いに来た。・・調子に乗るんじゃねぇぞ?」


 ケンカ口調である。


 ・・・まるで暴走族の挨拶回りにみたいである。


 私は何か言おうと思ったとき、ティナが手で制した。


「・・・調子に乗るなとは?・・・先ほどの冒険者達に対する態度の事ですか?」


 この質問に斧使いは。


「・・・はっ!分かってるじゃねぇか?・・・いいか?あんたがどんな指示を出そうがあたいらは聞かねぇよ。・・・それだけを言いに来た。」


 残りのメンバーも同じような顔である。


 ティナは。


「・・・そうですか。それは助かります。他にも指示を出す必要が無いのですから。」


 安心したような顔である。


 ・・・挑発に見えるが本心である。


 斧使いは。


「・・ちっ!・・とにかくそう言いにきただけだ!・・いくぞあんたら!」


 そう言って何処かに行った。


 ちょっと騒動が起きたが問題はないだろう。近くにいた兵士長が。


「・・大丈夫ですか?・・傍目から見てヒヤヒヤしましたよ。何しろBランク冒険者の中でも上位に入る。`狂犬`に絡まれたのですから。」


 冷や汗を掻いていた。


 ティナは。


「・・・かなりの実力者のようですが、何者ですか?」

 

 この質問に兵士長は。


「・・・あぁ、さっき話しかけられた人はリーダーでアルミというのです。見た目通りの性格ですが、戦場では無類の強さを誇るほどの実力を持っています。・・・将軍にも引けを取らないほどに。」


 説明にティナは。


「・・それ程とは。・・・しかし、彼女が今まで活動している所を見たことは。・・・」


 この疑問に兵士長は。


「・・・活動し始めたのは一年前です。ちょうど、超大型の魔物が討伐された後に登録したようです。・・そこから依頼をこなしていき、かなりのスピードでBランクになったとか。・・・詳しい事は知りませんが。・・ただ、一緒にいた三人の内、二人はAランク冒険者パーティーに入っていたと聞きます。」


 そう言って持ち場に戻っていった。


 ティナは。


「・・・二人?・・あぁ、あの棒使いと魔術師か。どこかで見たと思ったら、あのお坊ちゃんの。・・シンスケはどう思います?・・・シンスケ?」


 振り返るティナに気付くこと無く私は考えていた。


(・・・`狂犬`?・・・どこかで聞いたことがあるような。だが、最近では無い。昔に聞いた名か?・・だけど何処で?・・・)


 考え込む私にティナは膝ブローをかました。


 それに気付いた私は。


「・・うん?・・何だ?」


 突然のことに慌てる私にティナは。


「・・・何を考えていたので?」


 ジト目をしていた。


 ・・・どうやらイヤラシい事を考えていると勘違いしているようだ。


 私は。


「・・いや何。・・あのパーティー名が気になっただけだ。・・ただそれだけだ。・・詳しい事は後で話す。・・・そろそろ、持ち場につこう。」


 強引に話を終わらせた。


 ティナは不服そうだが、状況が状況。・・・無理矢理納得していった。





 正面口に集まった冒険者達の前に兵士長が現われた。


「・・諸君!!これから私たちは未曾有の魔物達と戦いになる。・・どれ程の期間を戦うのかは分からない。長い戦いになるかも知れない。・・しかし、帝国は負けん!!諸君らの働きに期待する!!」


 その宣言とともに扉が開いた。


 ・・一斉に歩き出す冒険者達。私たちも続いた。




 外に出ると。


 ・・・そよ風が漂う静かな荒野。・・・周りには数多くの柵と投石機。そして、複数のエッジソン隊。


 準備万端に待ち構えている。


 ティナは。


「・・ではあなた達には、防衛戦をしていただきます。無闇に突撃せず。向かってくる敵のみに集中。決して突破されてはいけません。・・・戦闘続行不可能のケガをした場合は速やかに後退を。・・良いですね?」


 この内容に冒険者達は。


「「「はい!!仰せのままに!!」」」


 息ぴったりに受諾した。


 私は。


「・・素直というかチョロいというか。・・まぁ、無駄な死人が出ないだけでも良しとするか。・・現状はどうなっています?」


 この質問に兵士長は。


「・・はっ。現状は魔物たちの動きは確認されていません。念のために距離三㎞まで偵察してみましたが、影も形もありません。・・左右の方も同じとの報告です。」


 短的に述べてくれた。


 ・・・この間は普通に攻めてきた。今の時間だと、とっくに来ていてもおかしくない。


 ・・・妙な胸騒ぎがする。


 そう思い、前方を見ると一瞬、地面の土がヘコむように沈んだ。


 ・・・?風は出ているが微風。・・・空は曇りだが雨も降っていない。


 ・・・なのに何故?


 疑問に思った私は`探知`を発動。


 ・・すると距離およそ二㎞辺りに数え切れないほどの赤い点があった。


 私は。


「!!!火散弾!!!」


 先手必勝の如く火の魔術を発動。


 そばにいたティナは。


「!!シンスケ?!どうしましたか?・・いきなり魔術を・・」


 何か言いかけたとき、火の玉は何も無い所で爆発。


 ・・・そこからゴブリン数匹が燃えて現われた。


 それを見たティナが。


「!!全員!!戦闘態勢!!魔物は姿を消して近づいています!!!」


 この叫びと同時に魔物たちが姿を現した。


 ・・数え切れないほどの魔物。・・種類はゴブリンにリザードマン、オーガにオオカミを確認した。


 兵士長は。


「・・・将軍に至急通達を!!魔物は姿を消す術を手にしている!!」


 兵士は敬礼し、去って行った。


 兵士長はティナに近づき。


「・・ティナ嬢。・・今回の指揮はあなたに執っていただきたい。・・冒険者達は美しいあなたにしか聞かないようです。」


 己の無力感を漂わせていた。


 ティナは。


「・・・分かりました。冒険者達は私がします。・・兵士長は兵士達の指揮をお願いします。」


 堂々した雰囲気に兵士長は。


「・・・はっ。美しいあなたからの命。忠義の名の下にしかといただきました。」


 そう言って兵士達の元に向かった。


 ・・あなたが忠義するのは将軍では?


 ティナは。


「・・・シンスケ。・・行きますよ。」


 そう言って槍を構えた。


 私も気持ちを切り替えて鎚を構えた。




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