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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第155話 報告と強化。







 図書館の閉館時間まで研究していた。


 ここなら資料に事かかないし、静かで落ち着く。


 ・・・おまけにこの図書館の閉館時間は二十一時。理想の勉強場所だ。


 私は出た後、牛丼屋で大盛りとお味噌汁とお新香を食べた。・・途中、コンビニによりある物を買った。


 後は風呂に入るだけだが、こんな時間では健康ランドだけ。だが、あそこはあまり好みの場所では無い。・・・かと言って異世界では風呂は無くサウナだからだ。

 王国の家でも風呂は無い。・・・どうしようかと思って歩いていた。



 帰宅途中。


 川があった。・・・周りを見て誰もいないことを確認し、私は服を脱いだ。


 ・・冷たく。・・・寒い。・・だが、背に腹はかえられない。体を隅々まで洗った。


 さっぱりした後、体を乾かす為に火の魔術を使ってたき火をした。


 枝は予め用意していた。傍目から見れば全裸の男がたき火で体を温める。どう考えても変態の行動である。・・体から水滴が無くなり、服を着た。


 火を消し、証拠隠滅した。



 家に到着し、工事現場を見て回った。


 昨日に比べてそれなりに進んでいるようだ。・・・床は新しく張り替えており、風呂場も順調である。満足いく仕事ぶりに私も負けない気持ちになった。


 向こうでの狩人の仕事。


 手を抜いた気はないが、新たな気持ちで臨む感じである。


 魔方陣の所に行き、異世界に渡った。



 到着後。


 このまま家で休もうかと思ったが、この一日で帝国の状況を知っておいた方がいい。


 まぁ、早々には変わるまい。・・・余程の事が無い限り。


 転移の魔方陣で向かった。



 転移完了後。


 基地に向かっていった。


 時刻は二十二時を回っている。・・・ティナは寝ているだろう。基地の周りにはかがり火が複数設置され、夜中でも周りは明るい。


 私の姿を見た見張りが。


「・・これは`赤雷`のリーダー。こんな夜分にご帰還とは。・・・どこにいたのですか?」


 この質問に私は。


「・・何。少し遠出で魔物を狩っていた。・・何しろ、将軍から休暇を言い渡されているからな。」


 ある程度のウソをついた。


 見張りが。


「・・ああ、そうでしたか。・・こちらは大変でしたよ。・・・昼ぐらいに王都から冒険者達がなだれ込んできたのですから。」


 ため息をついた。


 私は。


「・・・冒険者が?・・魔物の方は?」


 この質問に見張りは。


「・・いいえ。魔物に動きはありません。・・・静かすぎて不気味でしたよ。・・それよりも問題は冒険者ですよ。・・・何でもギルド長から国境線の参加を強く推されたようで、参加した場合には金貨十枚を報酬とするなど。かなり勝手なことをされたようで。」


 再びため息をついた。


 私は。


「・・・?戦力が増えることは良いことでは?」

 

 この疑問に見張りは。


「・・まぁ、そうなんですが。・・問題は食糧と寝床です。人が多くなれば消費と場所が一番、頭を抱えるのです。・・現にいくつかのパーティーはテントに入ること無く野宿していますよ。」


 指さす方向にたき火を囲む冒険者達の姿がある。


 ・・・確かに、人が多くなれば消費が激しくなる。・・鉄則というべき事柄。


 私は。


「・・成る程。・・大変だとしか言いようがありません。」


 これ以外の言葉が浮かばない。


 見張りは。


「・・まぁ、そうですよね。・・・長話に付き合わせてしまいました。ごゆっくり。」


 一礼した。


 私も一礼して、ティナのいるテントに向かった。


 もう寝ているだろうと思ったが明かりが付いていた。


 近づくと。


「・・シンスケ?」


 中から声がした。


 なんで分かったのだ?という疑問を持ったが、まぁいいか。


 私はテントに入り。


「・・・遅くなった。・・すまん。」


 とりあえず謝罪した。


 ティナは。


「・・・向こうの状況を考えれば仕方ありません。・・それで?何か進展はありましたか?」


 私は手帳と石を見せ。


「・・あるぞ。かなり驚くことがな。」

 

 地球での発見を説明した。



 話し終えた後ティナは。


「・・そのようなことが。・・確かに驚きです。・・昔の人がこちらに来て残しているのは目にしましたが。・・向こうにもあるとは。・・・それとこの光石?ですが。聞いたことがありません。・・・私はそれ程鉱石には詳しくありませんので、絶対とは言えませんが。」


 自信なさげに手にした光石を見ながら答えた。


 私は。


「・・こいつは光属性が宿っている。魔力を注げば光の魔術を使えるが、精々光の剣にするだけ。アルトリネのように倍のにしたり、自在に使えるわけでは無い。」


 この説明にティナは。


「・・それでも充分です。本来、光魔術は生まれ持った力。誰もが使えるわけではありません。・・・ですが、これは口外しない方がいいと思います。」


 疑問を持つ私にティナは続けた。


「・・何故なら、光魔術は強いからです。何でも斬り裂く力。悪用されれば防ぐことは不可能です。・・・例外としてはシンスケの凝縮させた炎や前教皇アレイスターが持っていた剣のような同等の火力を出せば拮抗するでしょうが、普通の魔術師や冒険者はそんなことはできません。ローデルに監視を付けたのは彼の性格が危険だったからです。・・言わなくても分かるでしょう。」

 

 これには私も頷いた。


 あの傲慢で威張り散らす奴が悪行すればそれだけで被害が大きくなる。・・・当然の処置である。


 その時、私は。


「・・?あれ?とするとあいつが国外追放するのは不味いんじゃ無いのか?・・・まぁ不味いことになったが。」


 この疑問にティナは。


「・・当然の疑問ですね。だからこそ国境の岩山なのです。・・あそこの魔物は鳥系が多く、いかに光魔術でも接近しなければ意味がありません。彼には遠距離攻撃をする術はありません。・・それに光の剣は武器が無ければ使えません。仮にあったとしてもミスリル以上の強度が無ければ耐えることができずに崩壊します。・・・追放という名の処刑です。」


 淡々と説明した。


 ・・・成る程、公に処刑するには国家転覆ほどの事が無ければならない。しかし、あいつがやったことは討伐の失敗と闘技場でのルール違反。


 ・・これだけでは無理だな。精々、追放しかできない。


 ・・・まぁ、その結果。魔物になって強くなりました。・・・わ。シャレにならんが。


 私は。


「・・とすると。あいつを改造した奴は相当危険な存在だな。・・殺るべきだろうが、死なずに達成する印象が浮かばない。・・遭遇しない方がいいな。」


 弱気発言をした。


 ・・別に私は勇者でも無ければ世界を守る英雄じゃない。


 ただの狩人。



 一年前。


 ・・・シドールという魔物に完全敗北したときは悔しい以上に納得した。


 圧倒的な上の存在。


 ・・・地球の会社にいた頃は、社長や部長のように上役を見たときは正直どうでもいい存在だった。


 ・・・口しか動かず。・・・まともに働こうとせず。・・・ただ威張るだけ。


 ・・・上の存在など所詮は金と口八丁で関係を築いただけ。怒りと呆れしかでてこない。


 話は逸れたが。


 この世界で絶対に勝てないという気持ちになったのは初めてだ。


 ティナは。


「・・そうですね。私も同意見です。・・冒険者としての仕事なら兎も角。それ以外で動くことは私が決めることです。・・・あなたと行くと決めたのも私の意思です。」


 迷いの無い瞳で答えた。


 ・・・本当にいい人だ。


 私は。


「・・さてと、話を戻して。・・この光石だが。ティナのヒヒイロカネの剣と合成したい。」


 この提案にティナは。


「・・?私の?・・シンスケには?」


 この疑問に私は。


「・・俺は良いよ。代わりになる技がある。・・・しかし、ティナには無い。氷の剣や風を纏っているが力不足な事には変わらないだろう。」


 容赦の無い言葉である。




 ティナはしばし考えた。


 ・・・シンスケの言うとおり。剣の性能や魔術を習得して力を手にしても、敵わない敵というのは必ずいる。

 その時に、やっておけば良かったと後悔するよりやっておいた方がいい。


 ・・ティナは。


「・・・シンスケはどうするのです?・・・その梵字を使って刀を強化するので?」


 この質問に私は。


「・・そのつもりだ。何とか理解できたから、後は実践あるのみ。・・ティナの方は梵字は無理だから光石にする。・・不都合はあるのか?」


 ティナは目をつむり、そして。


「・・そうですね。・・・考えてみれば迷うことはありません。・・やってください。」


 そう言って剣を差し出した。


 ・・・私は光石にある細工をし`物質変換`形状を粘土のようにして剣と融合した。


 ・・・中身を変えても良いが、それだと強度が若干下がる。


 ロングソードが幅の広いブロードソードになった。


 鞘もそれに合わせて変換させた。・・・幸い鉄製だったので私の力で。


 ティナは手に持ち、軽く振った。


「・・・意外と軽いですね。重さによる攻撃ができませんが。・・ふむ。光石による斬撃には関係ありませんね。」


 そう言って魔力を注ぎ込んだ剣が光に包まれ、剣と一体化した。


 私は。


「・・光石の中に無重石を入れている。剣の重さが増したからな。ティナの筋力に負荷を掛けないように。」


 この対応にティナは。


「・・感謝します。これならば思う存分、戦えます。」


 そのまま眺めていた。


 私は。


「・・それじゃ。俺は刀の茎部分に梵字を刻む作業するよ。・・スキルでもやろうかと思ったが。自分で彫らないと意味が無いようだ。魔力を込めて。」


 これにティナは。


「・・今から?・・もう遅いですよ。」


 驚きのことに私は。


「・・・やるしかない。・・その為にこれを買ってきた。・・眠気覚ましのカフェインたっぷり入ったチョコレート。・・・これはいいぜ。疲労回復に加え、脳を活性化させる効果がある。まぁ、取りすぎると中毒症状がおきるらしいから。・・食べるのは朝だな。」


 これを見たティナは。


「・・・・大丈夫ですか?それ?」


 不安な顔。


 ・・・それも仕方ない。この世界にチョコはない。






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