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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第150話 捜し物と嫌な予感。






 翌朝。


 私たちはテントで目を覚ました。


 ・・・リザードマンとの戦いの後、何事も無く終り、増援とエッジソン隊が到着。こちらの戦力が強固になった。


 朝食を始めたとき、ティナは。


「・・・将軍が朝食を終えた後、部屋に来てくれと言っていました。」


 私はパンをかじりながら。


「・・・何か作戦でも立てたのか?」


 何も思い浮かばない。


 ティナは。


「・・・それは何とも。・・しかし、呼ばれた以上行くしかありません。」

 

 私としては少し嫌な気分だ。


 ここは思っていた以上に厳しい。今の装備には自信はあるが、決め手がない。一旦、地球に戻ろうかと考えていた所だ。

 

 ・・今、改装中で業者が沢山がいるが。なんとかなる。


 私は。


「・・・そんじゃ、早速行くか。・・後、お前はいつも通り隠れていろよ。」


 隣で缶詰を食べるゴブリンは頷いた。


 


 ・・司令官室。


 入って早々、将軍からの一言。


「・・・休暇待機。」


 しばらく唖然とした。


 ティナは。


「・・・どういうことですか?」


 怒気を込めて聞いてきた。


 ・・・当然だ。いきなりの発言だからだ。


 将軍は。


「・・・昨日の一件で冒険者達は己の失態の責任を強く感じていてな。`美しいあの人に恥を掻かせた`と喚く奴もいる。ここで君たち。・・というかティナ嬢がやってきたらどうなる?・・想像しやすいだろう?・・・かくいう私も、君の美しさにどうにかなりそうな気分だ。」


 そう言って頭を抱えた。


 どうやら将軍もティナのスキル`八面玲瓏`に掛かっていたようだ。・・・ティナは少し後ろに下がった。


 私は。


「・・・将軍。休暇待機というと。例えば、基地を一旦離れて、王都に戻ってもよろしいのですか?」


 この質問に将軍は。


「・・・問題ない。例え、王都よりも離れていたとしてもこれを使えば、すぐに連絡ができる。」


 そう言って出してきたのは一昔前の無線機。


 今のよりも少し大きめだからおそらく戦争中に使っていたタイプだ。


 将軍は。


「・・・これはドワーフ達が作った代物だ。といってもオリジナルでは無い。その昔、ドワーフ達の鏡から突然出てきたそうだ。しかも三つな。・・調べた所、離れた場所でも話せることに驚き、作ることにしたらしいが。あまりにも難しく、断念しかけたが。・・とある人物が酒を飲みながら喋った内容からヒントを得て完成したそうだ。」


 淡々と説明した。


 ・・・そう言えば随分前にルルドと酒場で再会し、そのまま飲んだっけ?・・あの後の記憶がほとんどなく、気付いたら家のベッドで鎧姿のティナと一緒に寝ていた。


 私は。


「・・・ちなみにですが。これが通信できる距離は王都までですか?」


 この質問に将軍は。


「・・・うむ。その通りだ。まだ、実験段階だが、将来的には各国、どこでも通話可能にするのを目的としている。・・・伝書鳥だとどうしても時間が掛かることがある。だが、市民までに普及する気はない。こんな物が大量にあればいつか必ず混乱が起きる事件がある。使用するのは軍関係者のトップのみとしている。」

 

 補足的な説明してくれた。


 当然だな。下手に公表するわけにはいかない代物だ。


 私は無線機を受け取り。


「・・では預かるという感じで持って行きます。ではお言葉に甘えて休暇させていただきます。」

 

 一礼して部屋を出た。


 基地内では兵士が何故か人に合わせないように案内していた。冒険者達に見つからないよう配慮してのことか。

 余計な騒ぎはご免だ。



 そして、外に出た私たちはテントに戻った。


 周囲に人がいないことを確認し、ベッドの下にいるゴブリンに。


「・・・これから俺たちはしばらく離れる。・・・その間の食事はいつもの箱に置いておく。自由に食べろ。・・後は何があっても絶対に外に出るな。」


 この言葉にゴブリンは頷いた。


 テントを出た私たちはそのまま徒歩で基地を後にした。・・・荷車を引くと誤解されるからだ。



 人気の無い場所で荷車を作り、魔力で動かした。



 その間の行動では魔物に遭遇すること無く王都に到着。


 ・・私は。


「・・・ちょっとドワーフの作業場に向かうが、ティナはどうする?」


 ティナは少し考えて。


「・・一緒に行きます。一人でいても何かする目的はありませんから。」


 同行してくれた。


 ・・・街の中を歩き、作業場にはドワーフの人達がせっせと働いていた。エッジソンの組み立てや武器や防具の加工。鍛冶屋の仕事をしていた。


 私はそこで目的の人物を見つけた。


「・・・よぅ、久しぶりだなルルド。・・元気してる?」


 挨拶にルルドは作業の手を止め。


「・・・おぅ、久しぶりだな。・・あ、そうそう。お主のおかげでようやくあれが完成しての。お礼を言いたかった所だ。」


 この言葉に私は。


「・・・これのことだろう?・・将軍から聞いている。・・正直、酔っ払った時のことは覚えていないが。よく参考になったな。・・ろくな事を言っていないはずだが。」


 苦笑いの私にルルドは。


「・・・いやいや。参考になったよ。どうやって声を届かせるのか分からなかったが、電波という存在をしれたのだからな。後は、雷の魔石で何とか応用できた。」


 嬉しそうに話していた。


 ・・・おっさんの笑顔は女みたいに可愛くないが、どこか近所の大工おっさんを思い出す。・・・怖いが優しい。そんな感じだ。


 私は。


「・・・そうか、参考になったのならいいや。・・・後もう一つ。強くなりたいんだが、息詰まってな。魔導書でも限界がある。どこかにルーン文字について知っていること無いか?」


 ドワーフで武器職人なら何か知っていると思い聞いてみた。


 ルルドは少し考えて。


「・・・悪いがルーン文字で魔導書以外は知らんな。・・・ただ、ワシの爺さんの代の話だが、陰陽道?という物があったらしくてな。・・・一回だけ見ただけだが中々の威力が篭った代物だったぞ。」


 懐かしそうに語った。


 陰陽道とは私向きというか都合が良いというか。・・・だがありがたい。と同時に失念していた。


 この世界に来て何度か日本固有の物をいくつか見てきた。・・・それに至らないとは不覚。


 私は。


「・・・それはどこで見れる?」


 この質問にルルドは。


「・・もうない。・・爺さんの時点で失われたと聞く。・・ワシも何とか再現しようとしたが難しすぎて断念した。・・何しろ、文字が読めぬからな。」


 残念そうな顔をした。


 ・・・確かに、外国語は一つの所が多い。日本語は三つもある。分からないのは仕方ない。そう思った時、私はあることを考えた。


 ならば、地球に行けば分かる。・・・特に日本は母国だ。情報収集に事欠かない。


 私は。


「・・ありがとな。・・今度、酒をおごろう。」

 

 お礼の言葉にルルドは。


「・・ありがたい。と言いたい所だが、大丈夫か?・・・この前、酒弱すぎて酔っ払っていたお前を美しい嬢ちゃんが迎えにきたじゃないか。・・・大変だったぞ。引き渡したとき、`今夜もやろうな`と言っておったからな。・・・記憶は無いだろうが、楽しんだんだろう?」


 ニヤけ顔で聞いてきた。


 ・・・隣にいるティナを見ると赤面していた。・・私は頭を少し掻いた。





 それから居づらい空気になったので早々に退散した。


 そして、私は。


「・・・さてと。俺はこれから日本に行く。良い情報を手に入ったしな。ティナはどうする?」


 この質問にティナは。


「・・・私は残ります。さすがに二人同時に行方知れずは問題ですから。・・しかし、シンスケの家は今、業者の方々がいるのでは?」


 この疑問に私は。


「・・行くのは夜だ。・・さすがに寝泊まりする奴はいない。・・寝る場所は向こうには沢山ある。夜でも開いている店がな。」


 ネットカフェや二十四時間銭湯、いくらでもある。


 ティナは。


「・・・わかりました。ですが、二日以内には戻ってきてください。誤魔化すのに限度があります。」


 真剣な忠告である。


 私は頷いた。・・そこからは別行動を取ることにした。・・・無線機はティナに託し、簡単な使い方を説明した。


 合流は魔方陣のある洞窟。いなかった場合は基地に直行するを暗黙の了解とした。




 ・・・そして、魔方陣で王国の家に戻った。


 時間は昼を少し回った所だ。・・・時間はある、バードスに会いに行くか。帝国での事も話しておきたい。



 都市に到着後、家に向かったが気配が無い。


 何処かに出かけたのか?・・・念のために雑貨屋`百合`にも行ってみた。・・・店は閉まっており、扉には`休業、営業日未定`と書かれた標識がぶら下がっていた。


 どういうことだ?と思っていたとき、左横から声がした。


「・・あら、シンスケさん?いつこちらにお戻りに?」


 振り向くとギルドの受付嬢が買い物かごを手に立っていた。


 私は。


「・・いや、言えぬ方法で戻ってきてな。近いうちに帝国に行く。・・それよりもバードスとこの店の子達はどこに行ったか知らないか?」


 一応はぐらかして聞いてみた。


 受付嬢はしばし考えて。


「・・・バードスさん達は三日ほど前に王都に向かいました。何でも、女王様直々のお呼び出しとか。」


 何かを察してくれたのか前者は聞かず、後者のみ答えてくれた。


 ホッとした私は。


「・・呼び出し?・・・何かあったので?」

 

 受付嬢は真剣な顔つきで。


「・・私は詳しくは聞いておりません。ギルド長がバードスさん達を部屋に上がらせ、出てきたと同時にそのまま行きました。職員の人達には`女王の呼び出し`しか説明してくれません。・・・ですが、実力のあるCランク以上の冒険者達を王都に向かわせ、他の冒険者達には不要な外出は控えよと命じました。・・と言っても仕事がないので誰も外出しませんが。」


 ため息つく受付嬢に私は。


「・・仕事が無い?・・・依頼者がいないと?」


 この疑問に受付嬢は。


「・・魔物がいないのです。・・素材集めもできず、護衛する意味も無い。こんなことは過去の資料でも全くなく。冒険者は無論、職員もどうしていいやら。・・・」


 困った顔である。


 ・・いったい王国で。・・いや、この大陸で何が起きようとしているのだ?


 ・・ちょっと大げさすぎるが何となくそんな感じがした。


 


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