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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第148話 救出戦闘。







 突撃した連中の救出を開始した。


 ・・・戦っている冒険者達は応戦しているが、かなりの及び腰。何とか撤退できないかと模索している感じである。


 ・・・好都合だ。言うことを聞いてくれる。

 

 私は。


「・・・そのまま応戦しつつ。後退!!・・決して無茶するな!!!」


 この号令に近くにいた冒険者が。


「!?・・勝手な行動をした我々を。・・・・分かりました。・・・お前ら!!!従え!!!」


 この叫びに他の冒険者達の顔色が良くなった。


 ティナは。


「・・・そこの槍使いの方々は前方に出て、敵を牽制しつつ後退!!・・剣使いの方々は槍使いの合間を掻い潜ってきた敵に集中しつつ後退!!・・・短剣使いと斧使いは後方で支援活動しつつ後退!!」


 指示を出した。冒険者達は。


「・・かしこまりました!!美しいお方!!」

「・・・美しいあなたの為に全力を尽くします!!」

「・・不満は一切ありません!!美しい人!!」


 力が漲り、やる気に満ちあふれる冒険者達。


 ・・このやり取りも懐かしいと感じ、少し微笑むティナ。


 私は。


「・・・嫌だった過去も。・・・長いこと経験していないと懐かしい気持ちになるもんだ。」


 少しイヤミを言った。


 ティナは。


「・・・っと。変な感傷をしている場合ではありません。・・・私たちも行きます。」


 真剣な顔つきになり槍から炎を出した。


 私も負けじと鎚を構えて。


「・・・土槍連!!」


 叫びながら地面に叩きつけた。


 ・・・すると、前方の地面が盛り上がり槍のように尖った土が無数に出てきた。・・リザードマン達はそれを見て慌てて回避。

  

 槍使い達はその隙に、リザードマン達に槍を突きつけ、恐怖心を煽った。・・・リザードマン達は更に後退し、距離をかなり取った。


 ティナは。


「・・火連槍(ファイアーランス)!!」


 槍を思いっきり横振りした。


 ・・・その勢いで三日月型の炎ができ、リザードマン達に命中。半数は焼死し、半数は大火傷を負った。


 ・・ティナは、火の属性は苦手。覚えられない魔術だ。


 例え、魔石を使っても先ほどの威力を出すことはできない。精々、たき火を起こす程度。ならば、これ程の威力はどうしてなのか?


 ・・・答えは簡単、風の魔術で火の勢いを増大させたのだ。


 要は、酸素濃度を調整し、威力を上げたのだ。・・・この知識も地球の科学からティナが独自に考案したのだ。


 この威力に冒険者達は。


「・・何というすごさ。・・まさに美しき行く戦乙女。」

「・・我々に栄光と勝利を!」


 歓喜の言葉にティナは。


「・・さっさと下がってください!!!」


 ブチ切れた。


 それもそうだ。・・・後退と指示しているのに一向に下がろうとせず、私たちの戦いを眺めているのだ。


 冒険者達は。


「「「美しいあなたの仰せのままに!!!」」」


 息ぴったりに言葉を揃えた。


 ・・変な感じだ。漫才でも見ているのか?


 ・・そんな思いの中、恐怖を感じた。


 肌に滑るような冷たい何か。・・私は鎚を捨て、剣を抜いた。・・・周囲を見るが大岩が無数にあって視界が悪い。

 私は`探知`を発動。・・・青い点と赤い点が多数ある中、一つの赤い点がジクザクに動きながら私に近づいている。


 ・・距離からして大体五メートル。・・赤い点の方向に目を向けても大岩が邪魔で見えない。


 私は。


「・・・炎魔剣!!」


 先手必勝の如く唐竹割りを放った。


 大岩はまるでバターを斬るかのように両断した。その時、大岩の影から何かが飛び出した。


 小さく、小柄な姿。


 ・・私は。


「・・・リザードマンハンターか。」


 小太刀サイズの剣を構える上級魔物、リザードマンハンターと対峙した。


 その様子を見たティナは。


「・・・加勢しますか?」


 この言葉に私は。


「・・いや、いい。・・・早く、そいつらを下がらせろ。ティナは悪いが、周りのリザードマン達を頼む。・・手間取りそうだ。」


 少しニヤけた。


 ・・・この状況で笑うとは、おかしくなったのか?・・それとも楽しいのか?・・よく分からない感情が私の中に渦巻いていた。


 ティナは。


「・・・無茶はしないでください。」


 そう言って槍を地面に突き刺し、剣を構えた。


 ・・・相棒が本気で取り組んでくれるようだ。


 ティナは。


「・・・氷結領域(アイスフィールド)!!」


 氷の大地が広がり、その一部が盛り上がった。


 まるで氷山のように。


 ・・・私とリザードマンハンター。ティナ達と数匹のリザードマン。それぞれを分けるように壁ができた。・・・この技を使わせることに少し申し訳ない気持ちである。

 何故なら、今回の戦場ではあまり手の内を見せるのは得策では無い。


 ・・相手に対処されるからだ。・・負けるわけにはいかない。


 少なくとも、こいつだけは狩らなければ。


 ・・・私は剣に魔力を込め、切れ味を増加。・・`雷人招来`は使わない。上級魔物一体に一々使っては強い奴には敵わない。

 リザードマンハンターは体勢を低くし、剣を逆手に構えた。・・・走り出すポーズ。その瞳はこっちをじっと見つめている。


 獲物を狩る殺意に満ちている。


 私も負けじと剣を構え、同じように見つめた。


 距離はおよそ三十メートル。・・・沈黙する両者。


 先に動いたのはリザードマンハンター。一直線にこちらに向かってきた。その速度は約三十㎞。地球の鍛えていない人間なら一瞬過ぎて理解が追い付かない。

 だが、この世界で一年、鍛え、狩り続けた私の前に来たリザードマンハンターの剣を受け止めた。


 この勢いのまま、剣をはじき返し、左斜め下から斬撃を放った。


 ・・・リザードマンハンターは体を海老反りのように避けたが、体に浅い傷跡を付けることができた。追撃しようとしたとき、ナイフが一本飛んできた。・・・私は剣で弾いた。

 リザードマンハンターはその隙に体勢を立て直し、その場にしゃがんだ。


 どうやら左手からナイフを投げたようだ。あの体勢から投げるとはどんな体の構造をしているのだ?・・・骨がないのか?



 

 リザードマンハンターは油断はしていない。


 ・・・目の前の人間は昨日、遭遇している。強いのは理解できる。だからこそ、小手先を使わずに一直線で殺しに掛かった。

 ・・・単純な力ほど威力が上がる。


 足の筋力を溜め込んでからの爆発的な助走。・・・狙うは首。


 剣が相手に届く距離になった瞬間、人間が剣で受け止めた。・・少し驚いたが、すぐに持ち直した。


 このまま押そうと思ったが、力は人間が上。・・・はじき返された。


 人間が追撃してきたが、とっさに左手でナイフを投げた。・・・それが上手くいったようだ。人間は怯んだ。


 体勢を直し、奥の手で決めることにする。





 私は未だに決め手ができず焦っていた。


 周りの氷も長くは持たない。・・・持ってあと五分ぐらいだろう。ティナの為にも狩らなければ。


 ・・その時だ。リザードマンハンターの様子がおかしいのは。


 逆手に構えた剣の周りから水が纏わり付き付与された。・・・水の剣か?と思ったが。さらに、水は凝縮し、鋭利な刃物と化した。


 ・・さしずめウォーターカッターということか。


 あれは確か、ダイヤモンドさえも斬る程の威力。しかも、魔術で作られた代物だ。・・・このヒヒイロカネの剣でも無事で済むか分からない。


 私は火の魔術を発動。剣に纏わせ、凝縮した。


 ヒヒイロカネの効果で威力が増しているので何時もより強力。・・・そして、赤から黄色になり、剣の形になった。

 相手と同じで無ければ勝機はない。・・・ここまできた以上、隠し通す力を一つ潰さなければならないとは。・・・世の中、上手くいかないものだ。


 ・・・睨み合う両者。この一瞬。この一撃で。決着。


 先に動いたのはリザードマンハンター。先ほどと同じ速度。・・・同じ方向。


 相手は舐めていない。これが全力と言うことか。・・・私は上段構えで待ち伏せた。


 ・・・リザードマンハンターが私の目の前、剣が届く範囲に来た。リザードマンハンターは右腕を大きく伸ばした。・・・さながら正拳突き。


 しかし、拳は私から見て右側に大きく外れている。当然だ。本命は逆手に構えた水の剣。・・・的確に私の首を狙っていた。


 私は。


「・・チェッッッッストォォォォ!!!!」


 叫びとともに振り落とした。


 激突する火と水の剣同士対決。・・昔にもあったが、今回はレベル違いである。


 ・・・剣と剣の間から水蒸気が煙のように吹き出し、水は火を消そうとし、火は水を枯渇しようとしていた。・・・そして、力比べでも。


 リザドマンハンターは腕の筋力では勝てないと判断し、勢いをつけての突進力で勝負を挑んだ。私は上半身に全力を注ぎ、下半身は飛ばされないように踏ん張りにのみ徹した

 

 まさに鎬を削る両者。


 ・・このまま長く続くのかと思いきや、決着が見えた。・・・火の剣が水の剣を押し始めた。


 ・・・私は。


「・・・ォォォォォアアアアア!!!」


 勝機とみて更に力を込めた。


 ・・・そして、`パキィン`と折れる音がした。リザードマンハンターの剣が折れ、その勢いで右腕を斬り、胴体に深い傷跡を負わせた。


 私は確かな手応えを感じた。



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