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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第136話 意外な祝い。







 異世界の家に戻ってきた。


 ・・・最低、半月。地球に戻れない事を考えての物資の調達。


 ・・・そのほとんどが食料とは。・・・便利な道具がある地球の品はここでは無力だと感じた。そんな考えをしながら家に入り、装備を調えた。


 ・・お互い鎧姿になり、狩りの準備が完了したとき。


「・・お~~~い!!シンスケ!!!ティナ!!!」


 森の中から叫び声が聞こえた。


 聞き覚えのある声に私たちは警戒を解いた。・・・森から出てきたのはバードスだった。


 私は。


「・・よっ!久しぶり!・・どうしたんだ?こんな所まで来て?」


 この質問にバードスは。


「・・いやぁちょうどよかった。・・・本当にタイミングが良いよ。・・大事な話があるんだ。・・・近いうちに王都で即位式がおこなわれるそうだ。・・・そこでAランク冒険者は王都に向かってくれ。という手紙が来たようなんだ。・・・レオナはセナを連れて門の所にいる。・・お前達も来ているのか確認しにここまで来たって訳だ。」


 説明してくれた。・・・私は。


「・・セナ?・・・お前の子供の名か?・・ずいぶんと可愛いな。」


 二人の事だから強い感じの名前かと思ったが、バードスは。


「・・・あぁ。・・レオナが`この子にはすくすくとお淑やかに育って欲しい`と言っていたからな。・・それに相応しい名前をしたって訳だ。」


 照れながら答えた。


 私たちは顔を合わせて微笑んだ。幸せな生活を送っているようで何よりである。


 私は。


「・・・惚気るのはいいが。・・さっき、即位式と言っていたな。・・王子様が国王になるってことか。」


 感慨深く頷いた。


 ・・アルフォンス王子には数回しか会っていないが。良い人物なのは大体分かる。


 ・・そう思っているとバードスは。


「・・?・・あぁ、知らなかったんだな。・・・即位されるのはオリビア王女様だ。・・女王様の誕生ってわけだ。」


 驚きの答えである。


 ティナは。


「・・オリビア様が?即位?・・・何かの間違いではありませんか?流れ的に考えたら長男が国王になるはずです?」


 困惑の顔である。


 ・・・それについては同意できる。会社でも社長家族で後継者になるのは一番最初に生まれた初子なのが決まり。

 だからこそ幼い頃から英才教育を受け、親以上の社長になり、会社を更なる発展に導く。


 ・・・まぁ、例外としてその子供が努力を全くせず、逆に次子が努力をしていたのなら、次子が後を継ぐという事もある。

 ・・しかし、王子は政策には積極的に取り組んでおり、失敗もあるが成功している方が多い。


 ・・・だが、オリビア王女も似たように政策をしているが王子は及ばない。と聞いている。


 この考えを言うとティナは少し考えて。 


「・・・いいえ。可能性はあります。アルフォンス様の政策の大半はオリビア王女様の案であり、功績も王子様に全て譲渡しているという噂を聞いた事があります。・・おそらく、それ関係だと思いますが。・・・何か知りませんか?バードス?」


 この質問にバードスは。


「・・・さぁな。・・あるとしたら、王女様の`勇気の旅`だったか?・・一年前の帝国の訪問。当時は不安定で何が起きるか分からない帝国に王女様が自ら赴いたっていう詩があるってことぐらいかな。・・前にも吟遊詩人がそんな詩を詩っていたからな。・・・俺は興味なかったが。」


 どうでもいい顔であった。


 ・・それも一因であろうというのが何となく分かる。


 ティナは。


「・・だとすれば仕方ないことです。・・そこまで広まっているのならオリビア様が次期後継者と呼ばれるのは当然の流れです。・・アルフォンス様は宰相辺りで落ち着くと思いますよ。・・・いくら何でも何処かの領地に行かれることはないでしょう。」

 

 ある意味納得のいく。


 無能であれば領地で一生過ごすのが常識だが、王子様は有能であり努力家だ。・・・側近の地位は確実である。


 私は。


「・・・成る程。・・それじゃ行くとするか。・・確か、レオナが待っているんだったな。」


 その言葉にバードスは思い出したように。


「・・そうだったそうだった。・・早く行こうぜ!」


 そう言って走って行った。


 私たちも後から走った。




 門の前。


 私たちが到着したとき、バードスはレオナに説教されていた。・・・どうやら長話が原因のようだ。レオナに抱かれているセナはぐっすり寝ている。


 日常茶飯事ということか。


 私たちの姿を見たレオナは。


「・・二人とも。・・ようやく来ましたか。早く荷車を作ってください。・・馬の予約は先ほど取り消しましたから。」


 この言葉に私は。


「・・・別にいいが。・・・門番が見ている前でスキルは。」


 レオナは。


「・・・大丈夫ですよ。・・最早、隠す必要はありません。・・・領主様からシンスケが悪いことしないかぎりは口外はするな。と兵士達に行き渡っています。」


 この言葉に近くに居る兵士は頷いた。


 ・・・かなり気を遣わせたようである。私は遠慮無く`物質変換`で鉄の荷車を作成。即席の運転手席に座った。

 他の人達も搭乗し、魔力を込め、荷車が発進。・・出発した。



 ・・・マンガで見た王道のパターンならこういう大事な式典に参加する貴族達を狙って盗賊連中が大人数で仕掛けることがある。

 私たちは金はそんなにないが。・・・狙われる可能性はある。


 しかし、私とバードスとティナ。この三人で掛かれば造作も無い。レオナは赤ん坊を抱いているので不参加である。



 ・・移動すること半日。出会したのはゴブリンの一団である。数は二十。


 ティナが立ち上がろうとしたときバードスは。


「・・・いや。ここは俺一人でやらせて貰う。」


 大斧を手に立ち上がった。


 バードスの戦闘態勢に怯えることなくゴブリンの一団は襲いかかってきた。


 バードスは。


「・・・殺撃乱舞(ジェノサイドダンシング)!!!」


 コマのように回転しながらゴブリン達を八つ裂きにした。


 ・・・久しぶりの技。一年前よりも磨きが掛かっている。あの時はただ、横回転だけだが。・・・今回は回転しながら風の竜巻が発生。・・・ゴブリン達に狙いを定めて移動している。

 しかも、周辺にある大岩や一本の木を破壊することはなかった。


 無差別攻撃がなくなり、区別できるようになっていた。・・・進歩している証拠である。


 私は。


「・・随分と強くなったな。・・あの頃とは違って無差別攻撃がなくなっている。」


 バードスは笑顔で。


「・・それはそうだろう。・・何時までも変わらないわけにはいかない。・・レオナの為にもな。」


 少しニヒル顔で答えた。


 聞いたレオナは赤面しながらソッポを向いた。・・・熱愛夫婦みたいなやり取りに私とティナは少し呆れ顔をした。

 まぁ私たちも似たような事をしているのだから人事ではない。


 その時、私は。


「・・そういえば、即位式っていきなり決まったのか?・・・俺はそんな話、初めて聞いた。」


 この質問にレオナは。


「・・確か一週間前に王都で公開されたと聞いています。・・・各街や村には一日遅れで伝書鳥が送られているはずです。」


 答えてくれた。


 ・・・一週間前か。確か、ギルドの仕事を終えて地球に向かう途中辺りだったかもしれない。・・街には入らずに真っ直ぐに向かったからな。




 それから数日後。


 王都に到着。


 門の警備はいつも以上に厳重で商人達や領主達の馬車を入念にチェックしていた。


 商人は分かるが、領主も調べるのはどういうことなのか?


 この疑問をティナに聞いてみた。


「・・・おそらく、献上品に異常が無いかを調べているのでしょう。・・・即位式されたお祝いに最上の物を用意したのはいいのですが。それが呪われていたり、曰く付きの品だったりと。・・新王の顔に泥を塗ることになります。だからこそ領主達も何の文句もなく待っているのです。・・揉め事を起こすのは得策ではありません。」


 そう答えてくれた。


 しかし、その直後。


「おい!!!何時まで調べる気だ?!!・・・女王様への謁見が遅れてしまうではないか!!?あの方には一刻も早く私の顔を覚えて貰わないと!!!分かっているのか!無能ども!!!」


 激昂を上げる声が響いた。


 ・・・前方を見ると、高級そうな服を着た若者が怒鳴り散らしていた。・・貴族のようだ。周りに居るのは従者達のみ、あの若者が領主か?


 ・・そう思っていると熟年の騎士が。


「・・・申し訳ありません。・・・これも規則です。万が一の事があれば一大事です。・・・領主代行であるのならば。どうかご自重ください。」


 冷静に対処していた。


 ・・・代行か。現領主が何かの事情で来れなくなったから息子が来たという事か。しかし、教育がなっていない。

 大事な式にはそれ相応の事柄あるのを伝えていないようだ。


 領主代行は。


「・・うるさい!!!私が持ってきた物に問題があるわけ無かろう!!!つべこべ言わずにとっと通せ!!!」


 話を全然聞いていない。


 ・・・兵士と騎士達がどうしたらいいのか迷っていたとき領主代行は。


「・・なんだ??この程度も事も分からないとは?・・女王様も人選を間違えたな。・・まぁ、私が女王様の側近になった暁には最適な人選をしたほうがいいな。」


 バカにしたような笑顔でとんでもないことを言った。


 ・・・兵士達の顔つきが変わり、騎士達も同様な顔で武器を手に取った。


 熟年の騎士が。


「・・・お前達。こいつらを拘束せよ。」


 その一言と同時に兵士達が領主代行の馬車を包囲。


 騎士達が代行ならびに従者達を拘束。


 領主代行は。


「・・な!!何をする!!!私を誰だと思っているんだ!!!」


 焦った表情で抗議した。


 熟年の騎士が。


「・・我々に対して文句を言うのは多少であれば我慢しよう。・・・しかし、女王様への侮辱は如何なる理由があろうと許さん。・・・連れて行け。」


 騎士達は領主代行達を連行していった。


 ・・・代行は何か叫んでいるようだが、聞く耳を持たず。といった雰囲気で城とは違う別方向。おそらく屯所にでも連れて行かれたのだろう。

 

 今の発言は完全に不敬罪。


 即位式に出れない所か王都からの追放処分。高飛車の末路である。


 ・・・人間として為になる光景を見て大人しく待つことにした。


 ・・しばらくして私たちの番になったとき熟年の騎士が。


「・・・!これはシンスケ殿。ティナ殿。バードス殿。レオナ殿。・・・お待ちしておりました。女王様より`Aランク冒険者の赤雷と風守が来たならば通せ`と。・・・どうぞお通りください。」


 そう言って道を空けてくれた。


 私たちは礼を言って城に向かって進んだ。・・・城下街は祭りの如く賑わっていた。










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