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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第135話 修善と調査。







 地球の自宅で一夜明けた。


 七時に起き、パンとカフェオレの簡単な朝食を済ませた。


 食器を片付けながら私は。


「・・・ティナ。近いうちに家の修繕をしようと考えている。業者が来るまでここにいるつもりだが、ティナはどうする?」


 この言葉にティナは。


「・・ならば、私も残ります。あちらにいても一人でやる事はありません。」


 簡潔に答えた。


 ・・・確かに向こうで一人での冒険者稼業は中々にキツい。私の新人の頃も一人での冒険者はキツかった。・・・盗賊退治に、狩人の時は魔石持ちの大鳥狩り。


 ・・・一人での仕事には限度がある。


 私は。


「・・わかった。んじゃ、業者に連絡するか。」


 電話をかけた。



 ・・・しばらく話す事十分。


 電話を切った私は。


「・・・来るのは三日後だ。その時に家の寸法やら材料やらを調べたいだと。最低でも半月は掛かるそうだ。・・・俺たちはその日からどこか安いビジネスホテルに泊ると伝えたから、作業が入る日の深夜に向こうに転移しておこう。幸い、向こうとこっちでの時間の流れは一緒だからな。」


 この言葉にティナは。


「・・・怪しまれる事はありませんか?・・例えば、経過報告とか。代金の支払いに関する電話とか。」


 この疑問に私は。


「・・・心配ない。代金は後払いで。・・経過報告は別にいいです。と伝えている。・・・頼んだ会社も大手の信用できる。・・・手抜き工事をしたり、無駄に設備や追加発注はしないことも伝えている。・・万が一のことがあっても俺には`解析`がある。・・・すぐに分かるさ。・・あった場合はそれ相応の仕返しをするだけだ。」


 ニヤリと顔を歪ました。


 ・・・このスキルを手に入れてから大体の事が分かるから無機物に関する不正は見逃す事はない。


 ティナは。


「・・・分かりました。それでいきましょう。・・・この世界の仕組みはシンスケの方が詳しいですから。」


 そう言ってカフェオレを飲んだ。


 私は業者が余計な物を見ない為に異世界の大事な物は隠す作業をした。





 そして、三日後。




 ワンボックスカーに乗って二~三人の作業服の中年の男性が来た。


 その内の一人が。


「・・・どうも初めまして。ご依頼を受けに参りました。・・早速、測定したいのですがよろしいでしょうか?」


 この言葉に私は頷いた。


 ・・作業員達は家の中や外を調べていた。色々な測定器で老朽化を調べたり、家全体の長さを調べたりと本格的な仕事をしていた。


 調べ終わった後、男性が。


「・・・終わりました。・・え~~と老朽化した柱や床の交換と屋根の修理が主だと聞いていますが、何か他に変えて欲しい所はありますか?」


 私はしばし考えて。


「・・・でしたら、トイレの方を最新式にしてください。・・・後は風呂場を五人でも入れるくらいの大きさにできませんかね?」


 この質問に業者は。


「・・・トイレの方は問題ありませんが。・・風呂場の増築となりますと予算が通常よりも掛かります。大体、五十万~百万になります。・・・それでもやりますか?」


 この疑問に私は。


「・・・大丈夫です。・・お金の方は仕事で稼いで溜め込んでいます。・・大体一千万はあります。・・・その中の半分、五百万でいきたいと思っていますので。・・最初の予算と合わせても精々、三百万。・・範囲内です。」


 笑顔で答えた。


 ・・勿論、ウソである。今までオークションで稼いだお金は一億。


 ・・・銀行に預けている額は一千五百万。・・・残りの八千五百万は異世界の自宅に置いてある。元々は地球の自宅庭に隠していたが掘り起こして移動させたのだ。


 私は。


「・・後、そこの倉と家との中間に物は置かないでください。・・・この辺りに花壇を作ろうとしているので、その下準備が終えた所なのです。・・・あまり荒らされたくないので。」


 この言葉に業者は。


「・・・分かりました。・・ではどの辺りに作業用の資材を置いて良いのでしょうか?」


 この質問に私は。


「・・・あそこの庭とキッチンの裏。・・風呂場の裏にも置いても大丈夫です。・・ここくらいに広いですから、問題はないと思います。」


 案内した場所は大きい荷物が置いても充分すぎる。


 ・・業者は。


「・・・・分かりました。・・では作業は二日後の朝に始めます。・・その間、宿泊はホテルと聞いてますが?」


 この疑問に私は頷いた。


 業者は。


「・・・分かりました。・・それではこれにて失礼します。」


 そう言って帰って行った。


 ・・・二人だけになった家に私は。


「・・さてと、それじゃ、二日後に行くとしますか。・・一応、見届けねばならないからな。」


 この言葉にティナは頷いた。


 その後は夕食をレストランで済ませて就寝した。





 それから二日後。


 中型のトラックが複数やって来た。・・・何人かの中年と若い男性が降りてきた。


 その中にいる測定に来た男性が。


「・・・おはようございます。・・早速作業に入らせていただきます。」


 この言葉に私は頷いた。


 ・・・作業員達は一斉に家に向かい、準備を始めた。


 私たちはそれを見届けた後、家から離れた。・・・業者に言ったホテルに向かうフリをして。




 都内にある喫茶店に入った。

 

 私たちはサンドイッチにカフェオレの軽い食事をし、一息入れたとき。


 私は。


「・・・さてと。・・・しばらくはここに戻れなくなるな。・・今のうちに買う物はあるか?」


 ティナは少し考えて。


「・・・非常食用に缶詰をいくつか買っておきましょう。・・・道具はあっちに一通りあります。・・教会の事件の時に色々買っていましたから。」


 この言葉に私は頷いた。


 早速、買い出しに向かい、今後の活動に専念できるように準備し始めた。




 深夜。


 業者の方が残していったと思しき木材や機材がそのままに残された我が家。倉と家との中間には何もなかった。これで安心して異世界に行ける。

 ・・・なのだが、入ったときから妙に機材の置き方が密集しているというか、何かを隠そうとしている感じがした。


 私は`解析`を発動。・・中には通常の修善機材だけでなくカメラがあった。・・・しかも稼働中の。


 ・・・私は。


「・・・・見られている。・・・問題は?」


 小声にティナは。


「・・・問題はありません。・・別に呪文はありません。魔方陣も消えています。・・・その本と関連ある資料は全てあちらに。・・・彼らは何も知る事無く帰るだけです。」


 小声で答えてくれた。


 ・・それについては同意できる。まぁ、彼らがこの時に来たのもある程度予想がつく。・・・あの会社は奴らの物だった。・・・ただそれだけの事。


 私達は荷物を抱えて、転移した。





 とあるビルの地下。


 報告書。


 ・・・目標が転移をしたのを確認。後に場所をすぐに調べた。地面には何も書かれていない。

 掘ってみましたがめぼしいオーパーツは発見できず。・・・倉の中も調査しましたがいらなくなったと思しき物が多数あり。

 二階には本棚があり、ジャンルがバラバラの物が無造作に置かれていた。


 ・・ただし、何冊かは抜き取られた形跡があり、重要な本が置かれていた可能性あり。・・・しかし、それが何なのか不明。


 結果、本による異世界転移の可能性あり。・・・以上。


 報告書に目を通した黒田は静かに目を閉じた。


 ・・・オークション関係者の秘密を暴いてはいけない。


 ・・裏の世界の絶対のルール。


 しかし、相手が未知の世界に行き来できる存在であれば、知りたいと思うのは当然。・・勿論、全てを明らかにするわけではない。

 ある程度まで分かればいいのだから。


 彼の家は既に把握していたが周りに民家がある以上下手なことはしなかった。・・しかし、家の修繕を頼んだと報告を受けたときはチャンスだと思った。

 業者の中には部下を潜入させ、至る所に隠しカメラを設置した。


 ・・・無論、修善が終えた頃には回収する手筈である。信頼関係を失わせる証拠は絶対に残さない。・・結果としては初日で動きがあったのは意外であり、転移したと思しき映像も見れた。


 ・・・正直、信じがたい。


 この年で異世界があると分かっても、納得できない部分が自分の中にはある。・・いや違うのな。認めたくないだけだ。


 今までの表と裏の常識が崩される感覚があったからだ。


 最初の頃に持ち出してきたオオカミの毛皮。・・・あれはどこかで飼育した極上のオオカミから採取したと思っていた。

 しかし、その後に出てくるアナコンダやワニ、果ては色違いのオオカミの毛皮。・・トドメとばかりに四本腕のゴリラ。

 ・・・それでも目をつむる事にした。


 持たされる利益を考えれば認めてしまいたいが感情が許せないと叫んでいたからだ。


 だが、それも崩壊した。・・先の録画を見て。


 ・・・黒田は思った。自分は何も知らなかった。・・世界の広さ。・・宇宙の広さに。


 ・・・だが、胡散臭いオカルトに浸るわけではない。


 ・・・あくまでも科学的、というか神秘学的に考える。・・あれもオカルティックな部分はあるが、変な占い師より百倍マシである。


 ・・・黒田は今後の学ぶべき物を見つけたように天井を見上げた。





 ????サイド。


 帝国からかなり離れた荒れた大地に。


「・・・・時は来た。」


 一匹の獣が呟いた。






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