第123話 作戦決行。
申し訳ございません。
申請日を間違えて入力してしまいました。
教会本部に突入した私たちは手筈通りに三つに分かれて行動した。
私たちはアルトリネ救出チームと行動を共にした。・・・道筋は騎士達が熟知していた為、容易に進む事ができた。・・・その途中にシスターが現れた。
警戒する私に騎士が。
「・・ご安心を、彼女は団長の従者です。」
簡潔に説明してくれた。
近づく従者は。
「・・報告があります。アルトリネ様は私室におりません。昼からずっと審問官の部屋におられます。・・・中の状況も分かっておりません。」
申し訳ない反応をしていた。
騎士は。
「・・よい。それだけ分かれば充分だ。皆、審問官の部屋に行くぞ。」
静かなる号令であった。その時従者が。
「・・お待ちください。・・これを。アルトリネ様の剣です。」
そう言って差し出しだのは聖剣クラウソラスである。
騎士は礼を言って受け取った。
・・・・小走りで行く事三分。・・目的の部屋に到着。
騎士達が扉の前を包囲し、静かに扉を開けた。
中はベッドと簡易の机。・・壁に飾られているのは数多のムチ。趣味が分かるほどの内装である。左側に扉があり、そこからかすかに人の気配がある。
・・騎士達が再び包囲し、ゆっくりと扉から隙間から覗いた。
そこには審問官が立っており、アルトリネが壁際でぐったりと座っていた。・・好機と感じた騎士達は一斉に中に入った。
審問官が。
「!!・・おやおや、殿方がこんなに大勢で。淑女二人の部屋に入るなんて?騎士としてどうかしら?」
あからさまな挑発に騎士は。
「・・審問官。貴様の言葉に耳を傾ける気はない。死にたくなければ今すぐに団長を解放しろ。」
剣を突き立てて宣言した。
審問官は笑いながら。
「・・あら?解放だなんて?彼女は自らの意思でここに居るのよ?そうでしょう?アルトリネ様?」
指輪をちらつかせながらアルトリネを見た。
顔を上げたアルトリネは一瞬`ビクッ`としたが、後から入ってきたティナが。
「・・・日本。」
その言葉を放った。
騎士達は表情を変える事無く佇み、審問官は。
「?・・何?それ?・・まぁいいわ。それよりもあなた達がやっているのは完全な反乱。弁明も擁護する人もいない。おしまいね。」
勝利者の笑みに浸っていた。
しかし、審問官の後ろから。
「・・・いいえ。彼らの行動はこの国の為であり。教皇の野望を阻止する為に動いたのです。」
そう言いながらゆっくりと立ち上がった。
その瞳は強く、何もも許さない決意を秘めていた。
審問官が。
「・・あら?あれだけ痛めつけたのにまだそんな余力が?・・でも残念♡。その決意も無意味よ!」
指輪の効力を消した。
しかし、アルトリネは膝を屈する事無く立ち続け。・・首輪を自らの手で破壊した。
審問官が。
「!?どうして?!」
驚きの声を上げた。
アルトリネは何も言わずに審問官の腹に右拳を放った。・・・悶絶し気絶した。
アルトリネは騎士達の前に立ち。
「・・皆。私の為にここまでありがとう。・・今更こんなことを言うのは遅いかも知れませんが。引き返すなら今です。」
この言葉に騎士達は不動の姿勢で佇んだ。
周囲を見渡したアルトリネは。
「・・分かりました。これより我々は謀反を起こす。教皇並びに大司祭達を拘束。研究室でおこなわれていた非道の実験を公表し、教会から追放させる!!」
その言葉と同時に騎士達は同意の声を上げた。
・・・騎士の一人が。
「・・アルトリネ様。これを。」
差し出したのは聖剣クラウソラス。
アルトリネは受け取り、剣を抜いた。
「・・いざ、目指すは最上階だ!!審問官の話では教皇の実験は完了し、教皇の間に向かったと。我々はそこに突入する!!行くぞ!!」
号令と共にアルトリネは騎士達を連れて向かって行った。
それを見届けた私たちは。
「・・さてと、俺たちは次の目的地に向かうか?」
この言葉にティナは同意した。
私たちは事前に教えられたルートで研究室に向かった。
最上階。教皇の間。
大きな円卓のテーブル。
その奥で教皇は手鏡を見ていた。
「・・ふふふふっ。若さというのは素晴らしい。在りし日は当たり前のように過ごしていたが、年を重ねるにつれて若さがいかに大事か思い知らされた。・・だが、こうして再び、私に帰ってきた。此度の働きは見事である大司祭。」
この言葉に金髪の大司祭は。
「・もったいなきお言葉。全て教皇様の為です。・・それでですが教皇様?つきましては・・」
続く言葉に教皇は。
「・・分かっている。お前達にも恩恵を与えてやる。明日以降、好きな時間に若返るが良い。」
大司祭達は喜びの顔になった。
これで自分たちも若返ることができると。そんな中、枢機卿だけは無表情のままであった。
教皇は。
「・・どうしたのだ?ロメル枢機卿?貴殿も嬉しいのでは無いのか?」
この疑問に枢機卿は。
「・・嬉しい?・・そうですね。確かにその通りです。失礼しました。仕事が溜まっていた故に呆然としていました。」
潔い謝罪に教皇は。
「・よいよい。此度の私は気分が良い。何もかも許せる。・・時に大司祭?アルトリネの教育は終わっているのか?」
この言葉に大司祭は。
「・・はっ。使いの者の話ではアルトリネは充分に逆らう気力を失ったと報告があります。この分ですと今夜にでも。」
教皇は悪い笑みを浮かべ。
「・・・そうかそうか。楽しみだ。昔はそんな事は不潔だと考えていたからな。だが、今は違う。女を抱くというのは男として当然な行為。・・それもかの英雄の血を受け継ぎ、力もあり、美貌もある。これ程の好条件の女などいるはずがない。」
妄想に耽っていた。
・・教皇がアルトリネに媚薬を投与し、審問官に教育させていたのは。性行為をする際に抵抗されないようにする為。・・いかに教皇の命とはいえ、簡単に抱かせて貰えない女。
現に彼女は教会内を調べていたと報告があった。
謀反を企む可能性が出てきた以上。一刻も早く捕え、教育という名の調教をし。・・・従順な女にする必要が出てきたのである。
そんな会話の中、いきなりこ近衛騎士が入ってきた。
「・・・も!申し上げたい事が!!」
この慌てように金髪の大司祭が。
「・・なんだ!?騒々しい!!勝手に入ってくるのは死罪に値するぞ!?」
残酷な宣言に騎士は。
「・・で、ですが!!緊急事態です!!騎士団が突如、最上階に駆け上がり。近衛騎士達と交戦!!・・現状見る限り、謀反である可能性が・・」
この報告に茶髪の大司祭は。
「何だって?!あいつら。・・もしや気付いたと?・・ならば奴らにこう伝えよ。`騎士団長アルトリネの安全は保証されないぞ`と。・・それだけで奴らは止まる。」
馬鹿にするような笑みである。
脅しの言葉を告げれば騎士団は勝手に止まる。後は騒ぎを起こした罪で死罪にすればいい。
近衛騎士は。
「・・そ、それが。・・騎士団を率いてるのが・・」
続きを言う前に近衛騎士は火の魔術を背後から食らい、絶命した。
その光景を見ていた教皇達は驚いていた。・・・その時、騎士団が教皇の間に突入。彼らは自ら列を割り、中央から歩いてくる団長アルトリネを見た。
茶髪の大司祭は。
「・・!!アルトリネ!?お主、自分が何をやっているのか分かっているのか?!・・審問官はどうした?!・・何故?!どうして!?媚薬の効果が効いているのでは無いのか!?」
あまりの事に支離滅裂になっていた。
アルトリネは。
「・・順番に説明します。・・私のやっている事は謀反です。審問官は彼女の部屋で寝ています。・・媚薬は投与された当日に解毒剤を飲んでいます。今までの私が効果が効いていたのは暗示によって私自身がそう思い込んでいただけです。」
丁寧に説明した。
これには大司祭達は絶句した。・・・全て計画通りに動いていたのにアルトリネの事だけは上手く動いていなかった。
アルトリネは教皇を見て。
「・・教皇様。若返ったのですね。・・成る程、若かりし頃は灼熱を思わせる髪をし、敵対する者は全て斬り伏せた騎士団団長の頃に若返っていますね。」
この言葉に教皇はしばし考えて。
「・・私の姿に動じず。更には若返った事さえも知っているとは。・・審問官が話したのか?・・いや、あの者には私がアルトリネを抱くこと以外は話していないはず。・・喋ったのか?」
金髪の大司祭に目を向けた。
偽りを言えば即座に殺す。そんな目をして。大司祭は震えながら首を激しく横に振った。
・・・しばらく辺りを見渡した教皇は。
「・・・お前か?ロメル枢機卿?この騒ぎに全く動じていないようだが?」
この言葉に枢機卿は。
「・・・ここまで来た以上。隠す必要はありませんな。その通りです。あなたの計画は彼女は勿論、騎士団にも伝えています。・・全てはあなたの暴走を止める為ですよ。アレイスター様。」
あえて教皇という言葉を使わなかったのは、彼なりに教皇には止めて貰いたいのか?それとも見限ったのか?それを知るのは枢機卿のみである。
教皇は。
「・・そうか。まぁいい。先ほども言ったが私は気分が良い。全てを許す。・・・本来なら三日三晩の拷問をした後で処刑だが。・・楽に殺してやる。」
殺気があふれ出た。
大司祭達は間近で浴びて気絶した。・・・元々、この三人に武力は無い。政治の手腕で成り上がっただけの非戦闘員である。
しかし、枢機卿は。
「・・私自身も無実で済むとは思っておりません。全てが終り次第。私は罪を償うだけです。あなたを止められなかった罪を。」
懺悔するように宣言した。
教皇の殺気を浴びても平然としているのは彼も若かりし頃、教皇と共に戦場を駆け抜けた騎士にして策士であるからだ。
その言葉を聞いた教皇は。
「・・そうか。ならば、死ぬ事も覚悟の上という事か。」
そう言うと一瞬にして教皇の姿が消えた。
すぐに教皇が座っていた場所の後ろに立っていた。そこに飾られていた剣を手に鞘から抜いた。
抜かれた剣は長さ一メートル、幅は太くロングソードというよりバスタードという印象、灼熱の炎を思わせる色で輝き、柄の部分は両手持ちを思わせるほど長く、柄頭には赤い宝石が埋め込まれている。
それを見たアルトリネは。
「・・聖剣ガラティーン。・・あらゆる物を業火で焼き尽くす。私のクラウソラスと同格の剣。」
冷や汗を流していた。
騎士達も同様に緊張とこれから起こる戦闘への恐怖が支配していた。
私は研究室の前に到着し、扉の前には騎士達が警戒していた。
その床には近衛騎士らしき者達が倒れており、戦闘には勝った雰囲気であった。
騎士は。
「・・待っていました。早速調査を開始しましょう。」
そう言って中に入っていった。