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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第121話 夜の密会。






 夜。


 私たちは隠れ家でこれからの事を話していた。


「・・・アルトリネの依頼はギルドに通していない非正規の依頼だ。・・王国と帝国からAランクの称号と持続という特権を持った俺たちがやっていい仕事では無い。・・あくまでも穏便に済ませたい。」


 この言葉にティナは。


「・・それを言うなら侵入した時点でアウトです。・・あの囚人が騒ぎ出していないのが奇跡に近いのですから。」


 呆れ顔で答えた。


 あの後、隠れ家に戻った私たちは忘れていた人物を思い出した。・・正直、不安と安心の半分半分である。

 ・・あいつは妄想癖が強いからまともに受け取る兵士はいないという安心とそれを聞いて不審に思った者が調査して発覚するかもしれない不安。


 私は。


「分かっている。・・だからこそ。バレた場合は侵入したのは俺だけにしたい。・・二人居たというのはあいつの妄想として。」


 その言葉にティナは。


「な!!何を言うのですか!!あなたを犠牲にして私が喜ぶとでも!!」


 激怒していた。


 私は冷静に。


「・・喜ばないのは分かっている。・・しかし、これ以外に思いつかない。・・一人だけなら暴走で済ませられるが、二人だと両国の陰謀説だと疑われる。」


 真剣な顔つきで答えた。


 沈黙し合う両者。・・・その時、近づく気配を感じた。


 ティナは。


「・・続きはまた今度。」


 そう言って武器を構えた。


 私も同様に武器を持った。


 扉の向こう側からノック音がし。


「・・花束を渡した者です。」


 その言葉で扉を開けた。


 入ってきたのは昼に会ったシスターである。


「・・お久しぶりです。お二人さん。」


 その言葉に私は。


「・・どこかでお会いしましたか?」


 訪ねた。


 ティナも同様な顔をしていた。


 シスターは。


「・・王国で`閃光`のパーティーにいたシスターマリアルです。」


 少しむくれ面に答えた。


 その言葉で思い出した。・・確か、クラーケン討伐した日の夜。部屋に入ってきたローデル率いるパーティーにいたシスターだ。

 ・・何も話していなかったから印象が無かった。影が薄いほどの顔立ちでは無いが、無口すぎて気付かなかった。


 そんな考えをしているとティナは


「・・おほん。・・それでアルトリネさんとはどういう関係で?」


 話を強引に進めた。


 マリアルは。


「・・そうでした。私とアルトリネ様とは直接関係ありませんが、アルトリネ様の従者を務めているシスターとは知り合いです。」


 納得いく答えである。


 これならば気付かれる可能性が薄い。


 私は。


「・・そうか。・・それで、彼女はどんな情報を?」

 

 この質問にマリアルは。


「・・はい、およそ二時間前に大司祭に連れられて研究室に向かい、そこで人体実験がおこなわれている事が分かりました。・・・被検体は恐らく、囚人です。」


 苦い顔である。


 ティナは。


「・・囚人を?!・・いくら何でも人体実験をしていい事にはならないはず。」


 道徳的答えである。


 教会は無論、他の国でも囚人を使って非道な事はしない。・・・それは法で定められている人権が守っているからだ。犯罪者とはいえ好き勝手にしていいわけがない。


 マリアルは。


「・・この事は極秘でおこなわれております。・・無論、囚人にも家族は居ますが、その者達には獄中で自殺したと伝えています。」


 あまりの事に目を伏せた。


 同じ気持ちだ。一体何を考えているんだ?


 ・・私は。


「・・それで、アルトリネは今はどうしている?」


 彼女の事だ。それを見ては平静で居るはずがない。マリアルは。


「・・・アルトリネ様の現状は分かりませんが。・・・友人の話では部屋を出るときに審問官とすれ違ったと言っていました。・・恐らく。」


 それ以上は何も言わない。


 つまり、よからぬ事をされているという事か。・・・暗示で誤魔化しているとはいえ、辛い事には変わりない。


 私とティナはアルトリネの無事を祈るしか無かった。








 アルトリネサイド。


 彼女の従者に情報を伝えて間もなく、審問官が入ってきた。


「・・アルトリネ様。・・教育の時間です。私の特別室に。」


 そう言われ連れて行かれた。


 特別室は中央に鎖が一本ぶら下がっている以外何も無かった。・・・彼女はその鎖に両手を縛られ、両足も縛られ、体一文字の状態で拘束された。


 冷静に無感情にする彼女に審問官が。


「・・ふふっ。随分と平然としているね。・・・研究室では立場が分かっていないようだから教育は必要ね♡」


 不穏な言葉に彼女は。


「・・一ついいですか?・・何故、鎧のまま?・・服を着ての調教ならいざ知らず。鎧を着けたままとは意味が分かりません。」


 冷たい目で質問した。


 彼女の格好は騎士甲冑のまま。


 審問官が。


「・・その質問は尋問室でも言っていたわね?・・答えは簡単。貴女を傷つけずに教育するにはこれが一番!!」


 叫びと同時に調馬用のムチを思いっきり鎧に向けて叩いた。


 `パァァァン`と大きな音がした。


 彼女は無傷だが、その衝撃は体に響いた。


 審問官が嬉しそうに。


「こうすれば、貴女の体が傷がつくことはないわ。・・まぁ振動で体には響くけどね!!!」


 叫んでムチを何発も入れた。


 全て鎧のみだが、その音と衝撃は彼女に少しの恐怖を与えていた。・・・しばらくしてムチの音が止み、審問官が笑顔で息を整え、彼女は目をつむって耐えていた。


 審問官が。


「・・・そうでなくては面白くないわ。」


 妖艶な笑みで指輪を見せ、オフにした。


 ・・彼女の体が熱くなり、呼吸が荒く、両手の鎖に全体重を預ける程苦しみだした。審問官はそんな彼女に容赦なくムチを打ち続けた。

 ・・火照った体に衝撃。先ほどまでよりも響き、耐えていた表情が崩れ、悲鳴を上げた。


 審問官は。


「・・いいわ!いいわ!その悲鳴最高よ!!もっと叫びなさい!!!」


 ムチの連打を止まる事無く彼女を打ち続けた。


 彼女の悲鳴が響き渡る。・・・部屋は完全防音の為、外には一切漏れる事は無い。


 この状態が朝の四時くらいまで続いた。








 ???サイド。


 教会の外れにある森の中、そこに三匹の影があった。


 `千毒ラテス``叡智レドルザ``運命ルムビ`・・此度の教会の陰謀に陰ながら力を貸している`七天魔`。


 ・・ラテスは。


「・・叡智殿。・・・商人の役ご苦労様でした。」


 労いの言葉にレドルザは。


「・・いえいえ。共和国の一件で力になると言いましたからな。これくらい。」


 微笑みながら答えた。


 この二人の会話から察するに大司祭に促進剤を売り渡しのは`七天魔`の策略である。


 ラテスは。


「・・しかし、調査した結果があれとは。・・人間とはつくづく単純というか拘りというか。」


 冷めた感想にルムビは。


「・・本当よねぇ~~~。なんであんなのが欲しいのだろう?・・レドルザ。あんた元人間でしょう?そういうのって分かるの?」


 この質問にレドルザは。


「・・分かると言わざる負えん。何しろ、私も魔導を追求するに当たって必要だと感じたからな。・・だが、結果は失敗。手に入れた時点でこれだったからな。」


 自傷気味で答えた。


 ルムビは。


「ふ~~~ん。やっぱりわかんないな~~~。・・・そういう所が生まれた種族の違いかしら?・・どう思うラテス?」


 この質問にラテスは。


「・・さてね。私にも分かりかねる。・・・しかし、これで面白い方向にはなるな。教皇が()()を手に入れた場合、何が起こるのかも調査済み。・・・後は、高みの見物といきましょう。」


 この言葉に二匹は同意した。


 すると。


「・・確かに、これ以上の介入は我々の存在を察知されるからな。」


 背後の言葉に三匹は振り向いた。


 そこにいたのは`竜王バムハル`である。


 ラテスは。


「・・これはこれは竜王殿。・・様子を見に?」


 この質問にバムハルは。


「・・まぁ、そんな所だ。・・後、伝えておきたい事がある。・・他の者達も興味を持ってな。見物するとの事だ。」


 この言葉にレドルザは。


「・・ほぉう?・・ということは堕落殿も興味を持ったと?・・・教皇の計画はある意味、彼女の好きそうなものだな。・・・しかし、気になるのはあの二人だ。何故ここに?」


 この疑問にラテスは。


「・・それは私も感じた。帝国には一切情報は漏れていないはずだが。・・・運命殿?何かされましたか?・・・運命の導きのような?」


 この質問にルムビはふくれっ面に。


「そんな事してないもん。・・大体、あの二人が関わるとすれば計画が完遂した時と思っていたのに。なんでこんなに早く?と思うくらいに驚いているんだから!」


 そっぽを向いた。


 どうやら何もしてないようだ。


 やり取りを見ていたバムハルは。


「・・いずれにしても、あの二人が関わった以上。この計画が成功するか不明といった所だ。・・だが、成功さす為に介入するのは許可できん。・・今回は直接では無く間接的に関わる事が方針だ。・・直接するのは証拠隠滅の時だけだ。」


 真剣な口調である。


 この言葉にレドルザは。


「・・ええ。充分に承知しています。・・その為に証拠。促進剤を消す段取りはついています。・・・奴らの研究が最終工程に入り、終了してから送り込む手筈になっています。・・・私の合成腐死者が。」


 笑顔で答えた。


 ラテスは。


「・・合成腐死者か。・・一応聞きますが、制御はできるのですか?話を聞く限りではかなり混ぜすぎているようですが?」


 心配事にレドルザは。


「・・問題ありません。その解決方法は、千毒殿。あなたの実験結果を使わせて貰いました。」


 この言葉にラテスは納得した。


 確かに()()を使えば制御はできる。・・・何を使ったかは知らないがそれなりに使えるのだろう。


 暗闇の中。四匹は薄ら笑いを浮かべた。











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