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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第一章 始まりの国
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第12話 相棒と地球換金。






 バードスとの戦いで、体が筋肉痛であり、仕事はできず、午前の時間帯で地球に戻った。


 もう疲れたので家に入り、布団の上に倒れ込むように眠り込んだ。




 目が覚めたときには、もう夕方になっていた。


 ずいぶんと寝たものだなぁと思った。だが、体は全快回復に近い、明日からの仕事には何も支障はない。


 さて、今現状の問題は二つある。


 一つはバードスとの件、いきなりの戦いといきなりの相棒宣言、あまりにも突然すぎてついていくことができない部分があった。


 二つは資金問題だ。


 異世界の資金は問題は無い。金銭の詳細として、銅貨百五十枚、・・小銀貨九十枚、・・銀貨七十枚、・・小金貨四枚。

 ・・・道具屋の安いものは銅貨一枚と高いものは銀貨五枚のもの、武具屋の安いものは小銀貨十枚と高いものは小金貨一枚と言ったところだ。食料品は銅貨一枚~十枚の品物が並んでいるだけ、食糧については問題は無い。


 狩人としての仕事をしている私にとってはタダで手に入るようなものだ。武具も鍛冶屋の仕事場があるから参考程度に見たり、安いものを購入したりしていた。


 異世界での生活は支障は無い。


 問題なのは地球での生活だ。持っている貯金はやばい感じになってきたこのままでは全部止められる可能性が出てきた。

 一刻も早く地球での換金を早めにしなければならない。


 やむを得ないと考えその辺にある石十個、物質変換で黄金に変えた。


 後はネックレスに変えたり、指輪に変えたりした。・・・しかし、金だけでは味気ない、銀も作り宝石を付けるように加えた。指輪には多少文様みたいなものを入れてみた。


 これで完成、今日はもう遅い。


 明後日には下調べしたとある場所に向かおうと思った。


 翌日の朝、支度を終え、異世界に戻ってきた。


 狩りをして、ギルドに行くのだが、これからは相棒と合流して狩りに行くのだから。


 町の門の前にバードスが立っていた、


「いよぉ、シンスケ、狩りはまだのようだな、んじゃ行くとするか。」


 強引だが、まぁ、こういうやつだと割り切るしかなかった。


 しかし、悪くない気持ちであった。


 こうして、誰かと一緒に魔物狩りをするのは、ゲームではよくある仲間と戦うという王道ストーリー。


 しかし、現実の地球での人間関係といえば、騙し騙されるのが基本であり、共同経営もお互いに利害が一致し、裏切らないように契約書を何枚も書いたり、最後にはどちらもいつの日か相手を捨てることだけを考える。


 そんなドロドロの醜い社会。


 子供の頃に誰もが持っていた素直な気持ちを一瞬にして汚い気持ちに変える。・・・そんな地球の社会に比べれば、ここの生活は悪くない。


 人を騙すやつはいるだろうが少なくともそこら中にいるわけではない。


 魔物との戦いは本当に命がけ、連中には人間の事情など知ったことではない。


 ・・ただの獲物、それしかないのだ。


 人間も魔物をただの獲物だと思い狩り、又は討伐している、


 こういうのを食うか食われるかと言う言葉がぴったりであった。


 だからだろう。悪くない気持ちというのは、詐欺師のような者が現れるのは安心安全な世界にしかいない。


 だが、この世界は安全ではない。


 町の壁の外に出れば魔物に襲われ死ぬだけだ。・・こんな世界、裕福で堕落した人間には耐えられない世界だ。


 そう考えると少し愉悦感を覚える。


 まるで私が選ばれた人間のようだと高揚してしまう。


 しかし、その気持ちをすぐにかき消した。


 ・・そんなやつは大抵ろくな死に方をしない。・・・アニメではよくあるパターンだ、死に方ぐらいは心静かに死にたいものだ。


 恨み憎しみを持って死にたくはない。


 さて、そんな考えもここまで、今は森の中、警戒は怠ることはない。


 バードスも警戒をしているが余裕の感じであった。


 獲物を探している内に早速見つけた、ファルコンだ。


 私は早速、腰の裏に装着していたボーガンを手にした。


 弓矢はどんなに練習しても十本中三本しか当たらない。


 このままではピンチの際には役に立たない。・・・ならば私でも扱える旧式の飛び道具を作ればいい、そう考え探した。


 そして見つけるのは簡単であった。・・・ボーガンは弓矢よりも威力があり、異世界では理解できない武器というわけでもない。


 理想的な飛び道具、早速作ることにした。


 作り方は、本やyoutubeを参考にした。


 木は異世界ではタダでたくさん手に入る、・・・鉄もスキルを使えばそこらの石を変換すればいい。


 失敗を重ねた。・・・引き金部分がうまくいかなかったが何とか形にできた。そしてついに1号が完成。


 試験的にも問題なし、鳥の獲物も難なく仕留めることができた。

 

 人前で使うのはこれが初めてであった。


 だが、バードスはこれを見ても。


「へぇ~~~、そんな武器があるのか、知らなかった。」


 興味が無い感じで訪ねてきたが、私は。


「これは、俺の故郷で使っている武器でな、秘伝の技術で作られている。出回ることは全くない代物だ、武器屋に行ってもないぞ。」


 その答えにバードスは。


「別にいいよ、俺は飛び道具に興味がないからな、鳥を仕留めるのも石か岩を投げていたからな。」


 すごい原始的なやり方と思いつつ、引き金を引いた。


 ファルコンを一発で仕留めた。獲物を回収後、バードスは思い出したように。


「ああ、鳥と言えば、シンスケが仕留めたあの大鳥、あの場には俺もいてな、といっても岩陰で見ていた。・・・お前が、なんか魔術を使うなぁと思ってな、邪魔しちゃ悪いからと声はかけなかった。」

「・・・見たときには驚いたぜ魔術同士がぶつかり合って若干大鳥が有利かと思ったら、シンスケの魔術がいきなり膨れて押し返したんだからなぁ。・・・あの時はこいつ何者でどんだけ強いんだと思ったぜ。」


 あの時、岩陰にいたのか、`探知`を使っていれば気づけただろうに。


 だが後悔しても遅い。・・・大事なのはこれからのことだ、失敗したのなら次に活かせばいい。


 それだけの話だ。


 さて、そんなこんなで獲物を狩っていった。・・・今回の大物はでかいカマキリであった。


 これを見たバードスは。


「ハハハ、いいねぇ、こういう魔物は俺に任せなぁ、シンスケは周りの雑魚をよろしく、ていうか、この獲物は俺にくれよ。・・・頼むぜ」


 お願い顔をされた。


 少し気持ち悪いがまぁいい、獲物をえり好みする気は無い。・・・好きにさせた。


 狩りを一通り終え、ギルドで換金してもらった。


 稼いだ金は山分けが基本、二人だから五と五が普通だ。・・・金を数え、不公平のないように均等にした。


 バードスは。


「そんな細かくはいいぜ、おれは戦いが楽しめればそれでいい。・・・金も食うに困ることがない程度で構わないぜ。」


 その答えに私は。


「そうはいかん。相棒である以上、キチンとしとかないとこっちが嫌な思いをする。」


 そう一喝した。


 こういうのはしっかりと行わなければならない、一回でも怠ると、その楽さからは中々抜け出せないのだから。


 バードスは、ふ~~んみたいな顔をして受け取った。


 冒険者としての仕事もした。


 商人の護衛任務は魔物が襲う程度で終わった。・・・周辺調査も受けたが、あまり魔物の数が増えることはなかったが、・・・違和感はあった。


 バードスは気にはしなかったようだが、なんか魔物が殺気立ってるというか、積極性があった。


 今までは、こちらのことを気づいてもすぐに襲ったりせず、見るか逃げるかのパターンであり、襲ってくるのは数が多いときと大きい魔物ぐらいであった。


 だが、今回は、一匹の普通サイズの魔物が襲ってきたりして、おかしな部分はあった。

 

 一応、受付嬢にはそのことを報告したが。


「気にしすぎだと思いますよ。・・まぁ、一応報告書には書いておきますが、大丈夫ですよ。」


 そうにっこり顔で言ってきた。


 まぁ、何も無いに越したことはない。


 変わらない日常こそが宝なのだから、世界を往復している時点で変わっているがな。


 私は、バードスに。


「すまないが、明日の行動だが、朝は休みにしてくれないか?・・・用事があってな、一度知り合いの所に行きたいのだ。」


 バードスは。


「なんだ、つれねぇな、俺も一緒にそいつに会ってもいいじゃねぇか。」


 もっともな答えだ。


 だがそういうわけにはいかない私は。


「そいつが大の人間嫌いでな、俺でも信用してもらうのに何週間もかかった。・・・だが、そいつの鍛冶としての技術はすごくてな、誰にもこの場所を言わないことを条件におしえてもらっているのだ。悪いな。」


 嘘である。


 地球にバードスを連れていくわけにはいかない説明を考えた内容であった。


「そうかぁ、まぁいいや、んじゃ、明日昼飯食い終わったときにギルドでな。」


 そうバードスは言い、別れた


 少し罪悪感はある。・・・私を気に入ったという相手に嘘をつくことに、こればかりは仕方ないと勝手に思い込んで帰宅した。





 翌日の朝、地球で朝飯を食べ、作成した換金用の品物を持ってとある場所に向かった。


 電車で、一時間の場所にある町で、裏通りに入った。


 ここは、人にはちょっと言えない仕事をしている人、いわば裏の仕事をしている人たちの場所であった。


 ・・・こんな所に来る理由、普通の換金の店では駄目なのかというと駄目である。


 なぜなら、普通の店では換金する際、身分証明をしなければならない。


 もちろん、バイクの免許証があるから問題は無いが、問題なのはこれからの利用回数だ。


 ・・・いくら家にある物とはいえ多く通えばこの人の家にはお宝が一杯あるんじゃないかと店の人はもちろん利用客も思ってしまう。

 前に、テレビでお宝鑑定団という番組があり、この番組のターゲットになったのは換金の店に多く利用する人が選ばれる。


 ・・・万が一、私が選ばれ、スキルのことがバレないと言う保証はどこにもない。


 ああいう番組はおもしろければ突撃ロケもするのだからだ。


 そのことを考え、裏の仕事をしている場所を探した。


 こういう人たちは、金のためなら相手の事情などを聞かないのが暗黙のルールである。


 アニメでもよくある設定であり、現実にもあることだ。・・その店を見つけ、中に入った。


 中には、ヤクザと思われる人たちが五人いた。


 私を見ては、睨んできたが。・・・魔物や盗賊の相手をしてきた私にとっては、まるで子供に睨まれている感覚であり、怖くはなかった。


 店の亭主の前に来て。


「これらの金品を換金したい。」


 そう言って持ってきた物を見せた。


 店の亭主は。


「へぇ~~、いい物じゃねぇか、質もいい、加工もいい、よくこんな品物を手に入れたな。これだけの代物なら、二十万ってとこだなぁどうする?」


 二十万か、悪くない金額であった。


 私は頷き、代金を手にし、帰ろうとしたが。


 ヤクザの一人が立ち塞がった。


「よぉ、あんちゃん、いい稼ぎしたみたいだな。・・・どうだ、うちで下働きする気は無いか?、まぁ、入会費としてさっきの稼いだ金全部よこしな。」


そう言ってきたヤクザ、後ろにもヤクザがいたが、やはり怖くはなかった。


 そう考え私は。


「他を当たれ。」


 言葉は短く正確に、そう思った言葉を言い、ヤクザの横を通り越したが、・・ヤクザは私の肩をつかみ。


「おい、待てやこら。テメェ。」


 そのヤクザはガンを飛ばしてきたが、怖くもなんともなかった。


 私は、無言で魔力を放出しながらそいつを見た。


 すると、ヤクザはビビったのか肩から手を離した。他のヤクザも後ずさりした。・・・魔力は殺気に似ているのかな、それとも殺気を無自覚に出したのか。


 いずれにしても私の相手ではなかった。


 肩にほこりがついたので手で払った仕草をし、店を出た。

 

 少し緊張したが、私の実力はこの地球では中々のものであった。


 今後、あのヤクザ連中が仲間を呼んで私を襲うだろうが、私には魔術がある。バレない程度に痛めつければいい。


 しかし、一番気がかりなのは警察と裏でつながっている件だ。


 現実的にはないと思いたいが、警察も所詮は人間の集まり。金の魅力には勝てない。念のため、サングラスと帽子とマスクを着用したが、こんな変装はいずれバレる。


 次の手を考えないといけない、今はまだノープランだ。


 こうして、地球での換金も終わり、まだ見えない未来はあるが、その対策としてこれから考えればいい。

 

 その頃、異世界では、ある冒険者パーティーが戻ってきた。

  



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