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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第114話 オークションの趣向。






 朝、夜のお楽しみを終えて、拘束から解放されたティナは鎧のまま私の隣で寝ていた。


 時刻は八時ぐらいか。・・・それなりに疲れが溜まっていたようである。


 朝食の用意をし、ティナが起きてきて一緒に食べた。


 ・・・片付けを終えた後私は。


「・・今夜が裏オークションの日だ。・・・ワニの皮以外に持っていた方がいいか?」


 この質問にティナは。


「・・そうですね。そちらのワニは図鑑で見ましたが、少なくとも赤い皮膚はいないはずです。・・オオカミかクマを持って行きましょう。」


 考えてくれた。


 ・・ならば、行動は早いほうがいい。


 そう思って準備しているとティナが。


「・・・そういえば、私たちの密偵は終わった事。ギルド長には報告しましたか?」


 この疑問に私は。


「問題ない。・・・王女様が帰り際にサインしてくれたから、それと一緒に伝書鳩を送っておいた。・・・もう見ていると思う。」


 昨日の事を少し思いだした。


 ・・・帰るとき、王女が自身の名と王家のハンコを押していった。・・偽者でない証として。ティナは安心した顔をした。

 ・・・支度をした後、私たちは王都の外に出た。


 この辺りにもオオカミは居るから一匹だけでも狩ろうとしていた。そして探索した結果、見つけた。・・全身が赤い皮膚で覆われたオオカミ。・・フレイムオオカミ。


 赤い外見は火系統の魔物の証。


 ・・この辺りには水場と呼べる湖や池はなく。良くて洞窟内に溜まる地下水のみ。・・その為か、水系の魔物が居ず、火系統や土系統の魔物が多い。

 ・・・因みに雷系統は洞窟が多い場所に生息し、風系統は崖等の高い場所にいるらしい。


 ・・さてと、私は剣を抜き、狩りに向かった。・・気付いたフレイムオオカミはこちらに向かって火を噴いた。

 火球が一個。大きさはバスケットボール並。私は難なく避けた。


 激突した火球は爆発。地面がえぐれた。中々の威力である。当れば即死。


 ・・ならば、足に魔力を込め、一気に詰め寄った。遠距離攻撃ができる敵が居る以上、距離を取るのは意味が無い。近距離で仕留める。これしかない。

 ・・私は剣に雷の魔力を込めた。・・赤く光りながら雷が走る。赤雷と呼ぶ相応しい。


 ・・・オオカミは近づく私を警戒してか、後ろに飛んだ。それと同時に火球を三発発射。・・連続で出すとは中々やる。

 ・・・私は負けじと剣で火球を切り裂いた。威力はあるが速度は大体十㎞といった所。斬り裂くには簡単な速度である。・・全てを斬り裂いて一気に近づいた。


 その時、オオカミは特大の火球を出した。・・・先ほどよりも十倍大きい。


 私は。


「!!炎魔剣!!!」


 雷から咄嗟に火に変更。


 切り替えの早さはすごく、コンマ0,一秒といった所である。・・炎の剣が火球を大振りで斬り裂いた。・・・真っ二つになった火球の真ん中から突撃し、肉薄になったオオカミの首を斬った。

 ・・頸動脈を斬る感覚、血が噴き出し、絶命した。


 討伐完了である。


 私は。


「・・中々にやるフレイムオオカミだな。連続して火球を出すとは。」


 この感想にティナは。


「・・私も驚いています。通常のフレイムオオカミは火球は出ますが、連続して出すのは聞いた事はありません。・・・それに、体格も大きいように見えます。」


 呟いた。


 確かに、離れたときは気付かなかったが近くで見る大きい。通常の三倍はある。これは当たりを引いたかも知れない。


 ・・私は。


「・・まぁ仕方ない。とりあえず、解体屋に向かうか。・・この間の店も悪くないが。連続していくのは気が引ける。・・別の店に行ってみよう。対応がどれだけ違うのか体験するのも大切だからな。」


 そう結論した。


 頻繁に同じ店だけ通うとそこが無くなったとき困る。・・他の店にも行ってある程度馴染んでおかないと後先苦労する。


 そう思う私にティナは。


「・・確かに、他の店を使うのに反対する理由はありません。・・・そうと決まれば行きましょう。」

 

 やけに早い動作でオオカミを荷車に乗せた。


 私も手伝いながら疑問に思った。ティナの態度は気になる。


 私の考えを察したのかティナは。


「・・・早くしないとオークションに間に合わないからです。・・これだけのサイズです。解体にも時間は掛かります。・・他にもお客がいたらもっと掛かります。」


 納得のいく理由である。


 ・・私たちは早足で荷車を引きながら王都に向かった。





 ・・王都内で店を探していた。


 解体屋はいくつかあり、その中でも外見が綺麗な店に入った。大きさ的には向こうの店が大きいが、こういう店に客は多い。現に、さっき入っていくのを見た。


 ・・店に入ったとき店員が。


「・・いらっしゃいませ。解体ですか?」


 この質問に私は。


「・・ああ。このフレイムオオカミを解体してくれ。・・魔石の取引は現物を見てから考える。」


 オオカミを見た店員は驚きの顔をしていた。


 ・・このサイズを見た事が無いのだろう。


 店員は。


「・・かしこまりました。では時間が掛かりますので、こちらでお待ちください。・・後、魔石についてですが。今すぐに取り出しますので。」


 そう言うと奥から作業員が複数来て魔石の取り出しを開始した。


 私は。


「・・随分と早く取り出すのですね?」


 この疑問に店員は。


「・・以前。魔石を着服し、別の魔石を売りつけた店があったのです。・・・当然ながら詐欺として衛兵が連れて行きました。それ以降、魔石持ちはその場で取り出し、取引するのが決まったのです。」


 そう説明してくれた。

 

 私は納得のいく説明に頷いていると店員が。


「・・ちなみに、その店は武器屋の向かいある解体屋で看板がすごく小さい。・・知る人ぞ知る名店と偽っていたようです。」


 私とティナは顔を見合わせた。


 ・・あの店か。良心的かと思えば金にならないからすぐに追い出したのか。・・・職人気質を出していたから気が抜けていた。

 危ない危ない、今日行かなくて良かった。


 ・・そう思っていると魔石が机に置かれた。大きさはサッカーボール並み。色は赤く輝いていた。


 店員は。


「・・・ふむ。これだけの魔石ですと。・・・価格は金貨二十枚で買い取りますが。・・勿論、こちらの仕事分は差し引いた金額です。」


 店員の言葉に私は。


「・・・金貨二十二枚。・・売りますがどうです?」


 真剣な顔つきで答えた。


 ・・・しばらくの睨み合いに店員は。


「・・まいりました。・・二十二枚で買い取らせていただきます。」


 根負けして代金を渡してきた。


 ・・これだけの大きさと輝き、手数料を引いても安い気がした。しかし、向こうも商売である以上。吹っかけるわけにはいかない。妥当な金額で手を打つ事にした。

 ・・・待つ事、一時間。フレイムオオカミの皮と肉が袋に一杯入って持ってきた。


 店員は金額の書いた紙を渡してきた。・・小金貨三十枚。・・・まずまずである。私は支払った。


 袋を荷車に載せ、店を出た。時刻は昼を少し回った所である。


 ・・・昼飯は食べていないが、肉はある。私は拠点に向かい、肉を焼いて食べる事にした。その後は特にする事無く町を散策し、夕方には地球に戻った。





 深夜。


 夕食は滋養強壮の料理を食べ、体力と魔力をほぼ満タンにした。


 ・・裏オークションの帰りはいつだって危険である。・・私とティナはおなじみのビルの前で合い言葉を言い、中に入った。・・・待合室の雰囲気は更に変わっていた。

 

 飲み物の無料提供にお菓子が持ち帰り禁止で無料で大量に置かれていた。明るさも少し薄暗い感じが明るくなり、とても裏の世界とは思えない程の待遇である。


 ・・黒田が現れ、何時もの説明を終え。順番を待った。


 ・・私の番が来たので入った。


 黒田は。


「・・・ふふっ。更に雰囲気が変わったでしょう?・・・この間、とある投資家が多額の寄付をしましてね。・・・何でも、クマの毛皮から新成分が発見し、かなりの収入を得たので。そのお礼だと。・・・本当に感謝していますよ。・・・異なる場所の商品は。」


 悪い笑みを浮かべた。


 ・・・気付いたか。いや、気付かない方がどうかしている。それでも優遇するのだ。恐らく、行けるのは私だけと思っているようだ。

 ・・それもそうだ。今のマンガやアニメで異世界に行けるのは選ばれし者が主流だからだ。


 私は無言で、ワニとオオカミの素材が入った袋を提供した。


 ・・黒田はかなり目を丸くした。


 私は。


「・・珍しくないか?」


 この疑問に黒田は。


「・・・いえ。かなり荒れると思いまして。」


 どういう意味なのか何となく分かった。


 番号札を貰い、しばらく待つと新たな番号札が渡された。・・十番と十一番か。・・かなりの目玉になるのかも。・・・待合室の窓からオークションが開催された。


 司会者が。


「・・今宵集まりの皆様。実に幸運です。・・今回出品された品物に目玉商品が出品されました。どうぞ、お楽しみください。」


 そう言うと最初の品物が出てきた。


「・・最初はとある会社が開発された薬の調合が書かれたUSBです。内容は、新薬の胃腸薬のようであります。効能の結果は上々。ただし、データでの結果になります。・・では一万からスタート。」


 完全に社外秘のデータである。


 ・・・因みに十万で売れた。・・・それからオークションは続き、いよいよ私の番である。・・出てきたのはワニの革。


 ・・・司会者は。


「・・さて、本日の目玉商品。ワニの革でございます。・・・見ての通り色は赤く、まるで火を表しております。・・しかも、この革は耐熱に優れており、温度百度の高温でも耐えられる代物。更には革の成分も従来の物とは違い、高品質であります。・・バックは勿論、靴の素材としても充分の価値はあります。・・それでは一万からスタート。」


 どうやらいい商品のようである。


 ・・・かなり値が付けられ、最終的には一千万で売れた。


 ・・そして。


「・・・続いては、目玉商品を超える大目玉商品。・・オオカミの毛皮でございます。・・先ほどのワニの革と同じようにこの毛皮も赤く、成分は今まで出てきたオオカミを上回っております。更にはワニの革同様、耐熱に優れており、その効果はワニを越えております。・・・こちらをご覧ください。」


 そう言うと、火炎放射器を持った男が現れ、毛皮の一部が壁に貼り付けられてた。


 ・・・男が火炎放射器を毛皮に向かって発射。・・かなり豪快且つ容赦ない灼熱である。・・しばらくすると、火は消え、壁は黒焦げだが、毛皮は無くならず焦げてもいない。


 客達が動揺する中、司会者は毛皮を触った。・・・モフモフ感を出し、まるで何も無かった感じである。


 ・・・司会者は。


「・・ご覧の通り。・・温度二百度の火炎放射器を浴びても全くの無傷。・・・これだけの品は滅多にお目にかかれません。・・・本当に皆様は幸運な人達です。・・・それでは一万からスタート。」


 パフォーマンスが終り、競りに入った。


 ・・あそこまでするとは余程珍しかったのか?私とティナは顔を見合わせ、ため息をついた。


 ・・競りは激しくなり、三千万に到達。・・・そこから細かい競りで最終的には三千九百九十八万で落札した。





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