幕間 食事について。
さて、ここからは食事についてお話をします。
あれは、異世界の食事事情を知った日、まだ、師匠が生きてた頃の話です。
私は、魔力を増強する形で食事は精力がつく物を選んできた。・・・ご飯と味噌汁は必須、おかずはニラレバ炒めやニンニクを蒸したり焼いたりした物、おかずは常にどれか一つであるため、三品のみの食事であった。
食事も修行の一環とどこかで聞いたことがあるが、あまりにも質素であった。・・・しかし、お金がそんなに無いのだ、贅沢は言っていられない。・・自分の体の強化と狩人として知識と経験を積まなければならない、その為なら、我慢の一つや二つ、どうってことは無い。
それと、狩人の仕事をする際の弁当を考えなければならない、まぁ、ここは定番のインスタントやカップ麺、後は缶詰系をそろえるだけであった。
師匠が亡くなり、狩人兼冒険者としての仕事を開始した。
森に入ればすぐに獲物と出くわすなんてことは無い。・・・ゲームやアニメでよくあるパターンだが、現実はそんな都合よくできてはいない。森の中を歩き、しばらくして腹が空いたので、弁当を食うことにした。
今日は、カップ麺を持参してきた。
やかんは携行できる小型サイズを買って持ってきた。・・・木を集め、火の魔術を使ってたき火の準備をした。水は水筒に入れてあるの使う。水魔術は不得意であるから。やかんをを支える台は、アルミ製の金網と四本の鉄の棒で簡易的なバーベキューに使う調理台ができあがった。
食事を終え、後片付けをした。
空の容器はたき火にいれ証拠隠滅の形で燃やした。その時、ふと思った、もし食事中に急に他の冒険者がやってきたら、そう考えると今後の対策が必要になってくる。・・・故郷の品物だと言い張っても限度があるからだ。・・・だから、調べることにした昔の戦争飯を。
地球に帰り、図書館に向かうことにした。
異世界の文明レベルは、日本で言う戦国時代か徳川の時代に近いと考えたからだ。
図書館の中で歴史本を探しまくった。意外とすぐに見つかり二,三冊を持って調べ始めた。・・・結果からいえば、参考になった。
・・・戦争飯、又の名を陣中食という、簡単に携行ができ、保存性も高い。何よりも手に入りやすさと作りやすさを主眼に置いていたという。
これならば、疑われる可能性を少しでも減らすことができるかもしれない。
私は、図書館を出た。
まず、本をじっくりと見ながら、調理と研究をしたいと考え、歴史本の中でも陣中食が詳しく書かれている本を売っている本屋を探しまくった。
案外簡単に見つかり、二,三冊買った。
そのついでに食材の買い物をした。今まではインスタントの味噌汁やレンジご飯だったが、本格的な物を選び、味噌と米と塩と唐辛子と酢を購入した。
自宅に戻った。
早速、調理を開始した。
まずは、味噌玉を作ることにした。・・少量の水を入れ、沸騰したら味噌を入れる。味噌をかき混ぜながらじっくりと焼く。出来上がったら自然に冷やして、手で丸め、団子状にする。網の中に入れ天日乾燥をする、これで完成。
・・・後は、野宿の場所で味噌玉をお湯で溶かせば即席の味噌汁のできあがり。
・・隠し味に塩と唐辛子を入れた、うまいかどうかはその時にわかる。
米はそのまま持参することにする。味噌汁の中に入れてお粥にもできる、入れる具材は野宿する場所で見つける薬草、獲物を首尾よく狩れば肉を焼けばいい、これで対策はほぼ完成した。
後は、実際に野宿で食すのみ。
異世界にて。
今日も狩りを開始した。
昼飯時までに狩れた獲物はイタチに似ているが脂肪分がかなりある魔物であった。・・素早く皮を剥ぎ、肉を棒に刺し焼いた。
さて、この間作った味噌玉を使ってお粥を作ることにした。
小型の鍋に持参した水を入れ、沸騰したら米を入れる。しばらくすると米が炊けた。そこにさらに水を入れ味噌玉も入れた。・・・その後、鍋をかき混ぜ、味噌は溶け、米もドロドロになり、仕上げに取ってきた山菜に似たものを入れ完成。
お味の方はどうかな、一口食べてみた。
・・・はっきり言って微妙であった。
唐辛子の味が効き過ぎて、水をいつもより多く飲んだ。
食感もお粥そのものであり特に変わったことはない素朴なものであった。獲物の肉はこんがりできあがり食ってみた、これはうまかった。
だが、この世界のイタチがうまいからと地球のイタチもうまいとは限らない。まずい可能性が大きい、イタチを食うと言う話は聞かないからだ。
さて、今回の陣中食を試食した結果だが。・・・はっきり言って失敗であった。
唐辛子を多めに入れたのが失敗、今度からは少し入れるか入れないにしよう。塩のほうは味はしなかったが塩分を取るのは大事なのでこれは入れ続ける。
・・・お粥の方はできあがりのご飯をそのまま継続して作ったせいなのか、あまり美味しくなかった。
次からは、炊いたご飯をおにぎりにするか研ぐ前の白米を持参することにした。
こうして私の陣中食研究は続いた。
書かれている調理方法は、資料を参考にしたものであり、食べたことはありません。味の保証は全くありません。