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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第104話 貴族の冒険者。






 

 話しかけてきた三人組の冒険者達。


 一人目は金髪の男で身長百八十センチ。フルプレートの青い鎧を着ており、背中には小型の盾と青いマント、腰には柄の部分に黄色の宝石が装飾されたロングソード。・・痩せているが引き締まっている分かるくらいの体格。


 二人目は青い髪のツインテールの女性で身長百六十センチ。白い革鎧と革靴、黒い手袋を着ているが安物ではない、光沢から見るに中々の逸品。背中には棒を背負っており刃物はついていない、柔軟な体をしており新体操をしている選手を思い浮かべる。・・・その格好から防御よりも敏捷を重視した装備をしている。


 三人目は紫色の短髪をした女性で身長百四十センチ。大きな黒のシルクハットに黒のマント、研究者が着るような服。両手には大きな杖を持ち、先端に赤い宝石が飾られている。少し幼さを感じる顔つきと背丈。・・どう見ても魔術師である。


 いかにも高級品溢れる装備を調えた三人組。


 どこかの貴族の子供か?そう思っているとリーダーの男が。


「・・おっと失礼。名乗り忘れていました。・・私はAランク冒険者パーティー`雷光`のリーダー、モルジと申します。・・右隣の棒使いはルーズ。・・左隣の魔術師はドルド。」


 紹介していた。


 後ろの二人は頭を少し下げ挨拶をした。


 ・・私は呼ばれていないのでティナが。


「・・初めまして。私は最近、Aランク冒険者になりました。ティナと申します。隣にいるのがシンスケ。・・冒険者パーティー`赤雷`のリーダーです。」


 ティナは手早く紹介した。


 私は、`よろしく`と挨拶をした。


 モルジはつまらなそうな顔で。


「・・`赤雷`ねぇ。・・まぁいいでしょう。・・長話をしたい所ですが、夕暮れ時ですので手短に話しましょう。・・・美しいティナさん。私のパーティーに入りませんか?」


 そう言って右手を差し伸べてきた。


 ・・・私たちは顔を見合わせ。


 ティナは呆れ顔で。


「・・・確か、冒険者の勧誘は原則禁止のはずです。・・・これは各国のギルドで定められている鉄則です。」


 厳しい顔で答えた。


 ・・冒険者の勧誘はパーティー内に不信感と嫉妬感を与える為。禁止されている。・・だが、自分から売りにいくというのは許可されている。


 ・・・ティナの問いにモルジは。


「・・・そんな鉄則は私には関係ない。・・私は貴族の息子です。多少のことは大目に見て貰いましょう。・・・ねぇ~~~?」


 そう言って周囲を見渡した。


 ・・目が合った冒険者達や職員は顔を背けた。・・関わり合いたくない。かなりの上級貴族ということか。


 モルジは目線を戻し。


「・・・というわけで、私のパーティーに入っても問題ありません。・・いいですね?」


 最後は命令口調で言ってきた。


 ・・この言葉を聞いたティナは。


「・・お断りします。」


 当然の返答をした。


 ・・モルジは目を白黒させて。


「・・・あはははは。いやはや。・・・私の耳がおかしかったようですね。・・・もう一度お願いします。」


 有り得ない答えを聞いたと思ったようだ。


 ティナはため息をつきながら。


「・・・お断りします。」


 先ほどと同じ事を言った。


 周囲の人達はびっくりというか、恐怖を感じるような、そんな雰囲気を出していた。


 モルジは震えながら。


「・・な、何故ですか?・・高貴で力強い、この私の誘いを断るなんて。」


 怒り心頭のようである。


 ティナは。


「・・まず、私とあなたは今日初めて会ったのです。そんな人を信用することなどできません。」


 的確な答えを言った。


 ・・モルジは更に震えたが、隣にいたルーズは。


「・・・モルジ様。やめましょう。・・こんなモルジ様の魅力が分からない女なんて生きる価値はありません。・・・何よりも顔に傷があるなんて、品がない証拠です。」


 そう言って薄ら笑いをした。


 ・・・私は少し`ムカッ`と来た。ティナの傷は先の戦いでローデルにつけられた傷。・・ポーションで治せるはずなのにしなかった理由を聞いたら。


「・・・傷を負うのは冒険者の常識です。・・・私は余程の事がない限り傷を消そうとは思いません。」


 誇らしげに語った。


 ・・私はティナの生き方に尊さを感じた。これ程の人と一緒に居られるとは私は幸せ者である。・・私の怒りを感じたのかティナは目で制止した。

 ・・トラブルを起こすのはよくないということか。


 ・・確かに、こんな連中と話すのは時間の無駄でしかない。・・黙ることにした。


 そんなルーズの言葉にモルジは。


「・・・何を言う。傷のある女なんて性欲が増すってもんだ。・・・これから、私の手で傷を付けていけば一生飼っていると感じになるだろう~~?・・・美しい女なら尚更だ。」


 そう言って下卑た目で答えた。


 ・・・ゲスの極みだ。吐き気がする。


 ・・・私より先にティナが。


「・・行きましょう。シンスケ。・・・こんなゴミと話すのは時間の無駄です。」

 

 もう何も感じない瞳で言って掲示板に向かって歩き出した。


 私も同じように歩いた。


 ・・無視されたモルジは。


「・・おいおい、いいのかぁ~~?この私を無視すると言うことは帝国には居られない事を意味するのだぞ~~。・・折角、おこぼれでAランクになったのにそんな勿体ないことをしていいのかぁ~~~?」


 挑発じみた発言をした。


 ・・・どうやら私たちの事を知っているようだ。


 これには私が。


「・・・・別に、俺たちはランクに興味はない。お前を敵に回して居られないことになっても気にしない。・・王国か共和国に行けばいいだけだ。」


 相手の顔を見ること無く言った。


 ティナも同様に顔を向けず、掲示板を見ていた。


 その態度が気に入らないのかモルジは。


「・あぁ~~~?・・誰もテメェに聞いてねぇよ?・・変な格好したバカは黙ってろ。」

 

 ため息をつきながら悪態を言った。


 ・・・変な格好?・・この日本式の鎧が?


 ・・・私のことは多少は我慢できるが。だが、ティナや鎧の悪口は聞き捨てならない。


 私は振り向いて。


「・・・いい加減しろよ。クソガキ。・・・どこの貴族の息子は知らないが。・・これ以上何か言ったらケンカを売ったと捉えるぞ?」


 怒り顔で答えた。


 ・・この態度でモルジは更に怒り顔になり。


「・・・貴様。・・・言ったな~~?・・・それなら決闘だ。・・今夜九時。闘技場に来い。・・・チーム戦だ。・・・文句はないな?」


 チンピラの顔で言ってきた。


 私は怒り顔で。


「・・上等だ。・・・逃げんなよ?」


 怒りを込めて挑発した。


 モルジは怒り顔のままギルドを出た。・・後を追うように残りの二人も出て行った。


 沈黙が支配するギルド。


 ティナは申し訳なさそうに。


「・・・すみません。私のスキルで。・・・・」


 続きを言う前に私は。


「・・気にするな。ああいうのは嫌いだ。」


 短的に述べた。


 ティナの`八面玲瓏`の効果で魅了されていたが、それ以上に性格の濃さがよく出ていた。


 ・・だが気になることがある。・・一緒に居る二人だ。・・リーダーに対して言い分を言っていたが、積極的ではない。・・かと言ってこちらに同情、謝罪の意思は感じられない。


 ・・・とすると、あの二人。


 ・・・止そう。ここからは想像に過ぎない。下手な先入観は痛い目に合う。


 ・・私は時間を見て。


「・・・六時か。・・・後三時間後だし、その闘技場に行ってみるか。」


 この提案にティナは賛同し、共にギルドを出た。




 王都を歩くこと一時間。


 ・・目的地に到着。・・そのスケールとディテールは王国の倍はあった。・・周りには簡易的な店があり、武器屋と防具屋、道具屋に・・・食べ物屋まであった。


 かなり金が掛かっているのがよく分かる場所である。


 ・・・私は。


「・・・何かバードスの気持ちがよく分かる場所だな。・・」


 呟きながらため息をついた。


 ・・・ティナは無言で頷き、私の肩に手を置いてくれた。





 そして、二時間後。


 闘技場内は歓声で響いていた。・・こんな夜更けでも来るとはそれ程までに面白いのか?殺し合い?・・・そう思いながら、控え室で身代わり人形に血を入れて準備完了。


 ・・・砂ばかりの決闘の場に入場した。・・今は夜のはずなのにかなり明るい。・・観客席の下にステージ使うスポットライトが設置されていた。


 帝国の技術。・・地球からの情報漏洩か?・・多くないか?


 そう思っていると、向かいの方から三人組が現れた。


 歓声もそこそこ、応援の類いはない。・・・これだけでも分かる。あいつの人気が・・・。


 モルジは。


「・・・逃げずに来るとはその度胸だけは褒めてやるよ。・・・美しいティナさん。今夜は寝かせませんよ~~?」


 勝った気分でいるアホ。


 ・・一応私は`看破`を発動した。


 個体、人間。

 性質、無し。

 能力、地獄耳。

 魔術、火・雷・水・風・土。

 弱点、過信・軽率。


 ・・・・私は感心した。・・あんなでも五つの魔術を習得しているとは、しかもスキル持ち。・・コネだけで成り上がった訳ではないようだ。


 ・・・私はティナに。


「・・ティナ、油断していると危ないかもな。」


 忠告した。


 モルジのスキルが`地獄耳`である以上、迂闊なことは言えない。・・どこまで聞こえるのか分からないからだ。


 ティナは。


「・・シンスケが言うのなら、ただのアホではないようですね。・・二人の相手は私がします。シンスケは存分にあいつに集中してください。」


 闘気を纏わせて宣言した。


 ・・・正直助かる。あのアホでも手こずるかも知れないのに誰か一人でも加勢したら負けていたかも知れない。


 ・・・その時、闘技場の上から。


「・・では、これより。・・`雷光`対`赤雷`の対決を開始します。・・勝ったパーティーには権力を与える以外の願いが与えられます。・・・・両者とも、準備はいいですか?」



 両者はそろって頷いた。


「・・では、始め!!!」


 `カーン`戦いのゴングが響いた。


 ・・・・両パーティーは一斉に走り出し、私はモルジを。ティナはルーズとドルドを相手に分かれた。


 ・・・私の剣が、モルジの剣と激突。・・ティナの剣はルーズの棍棒と衝突。ドルドはルーズから付かず離れずの距離を保った。



 ・・私とモルジの力は比べは、最初は拮抗していたが、徐々に私が押している。どうやら力は私の方が上のようだ。


 ・・モルジは歯ぎしりしながら。


「・・この。・・・風圧ウインド!」


 叫んだ瞬間。


 モルジの剣から風が吹き荒れ、私は後ろに飛ばされた。・・・しかし、すぐに体勢を立て直し、着地。


 相手との距離が数メートル離れた。


 ・・モルジは。


「・・ははっ。そこそこやるようだが、所詮は平民。・・そんな安物の剣では、我が剣、デュランダルには及ぶまい!」


 そう言って剣を見せびらかした。


 その刀身は黄色で少し白が混ぜっている。美しくも素晴らしい物だ。


 ・・・こんなゴミが持っていなければ見惚れていたのだが。・・私は`解析`を発動。


 ・・使用されているのはオリハルコン七十%、アダマンタイト二十%、雷の魔石十%。・・・雷の魔石か、確か産出量が少なく、中々手に入らない一品。


 ・・本当に勿体ない・・・。


 私は。


「・・・お前のようなゴミが持っていたら剣がかわいそうだ。」


 呟いた。するとモルジは。


「・・・なんだと?・・平民風情が私をゴミだと?・・・絶対に殺してやる。」


 そう言って殺気が溢れていた。


 ・・`地獄耳`はここまで聞こえるということか。









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