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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第103話 試し斬りと技術力。






 朝、ベッドの中で目が覚めた私は隣に寝るティナを見た。


 あれから楽しんだ後、鎧を脱ぐことなくそのまま就寝した。・・私が起きたことに気付いたのかティナも起きた。

 ・・それから、パンとスープの簡単な朝食を終えた後、装備を調えた。


 ・・昨日作ったヒヒイロカネの剣と改良した日本刀、アダマンタイトと無重石の日本鎧。・・・ティナもロングソードを二本、左右の腰に付け、短剣は背中の腰に無重石とオリハルコンとアダマンタイトの鎧を装着。


 ・・後の荷物は鉄荷車に乗せ、転移で帝国に向かった。



 ・・着いた後、王都のギルドに向かった。


 魔物の情報を入手する為に、狩人である私は魔物だけは依頼無しでやる。・・・帝国に初めて来た時は依頼以外で帝国に入る術がなかった。



 ・・ギルド前に到着。その大きさと広さは王国のギルドとあまり変わらない。・・共和国と教会でも似た建物。


 ギルドだけ統一しているのか聞いてみた。


「・・ギルドは国とはある意味関係なく運用しています。・・・王都の規模も各国の格差を出さないようにしているのです。」


 ティナは説明してくれた。


 ・・格差か。・・地球では同じ会社でも部署の違いで格差が生じ、ある上司が違う部署の上司を見下したり、同じように同僚も見下す。・・あまりにもアホらしい光景を見てきた。


 同じ場所で働く仲間のはずなのに見下したり、嫌みを言ったり、直属でもないのに命令したり。


 ・・・平和という世界に長く浸かった人間の哀れな姿である。


 ・・・しかし、戦乱を肯定する気はない。・・何事も一歩引く。というのが大事だと思ってしまう。あの会社の教訓である。


 さてと、嫌な記憶はここまで心機一転、中に入って情報集めである。




 ギルド内。


 ・・ここの内装も似ている所が多い。私とティナは掲示板を見に行くことにした。・・様々な依頼が載っている。

 ・・護衛に。・・荷物搬送。・・討伐。


 ・・・今回は依頼を受ける気はないので魔物の情報だけを見た。あらゆる情報の中である魔物が目に入った。

 フレイムアリゲーター。


 ・・名前からして火のワニだろう、しかし、この辺りに湖のような場所があったのか?


 ・・ティナに聞いてみた。


「・・・フレイムアリゲーターは、確か岩山に住む魔物だと聞いたことがあります。・・・王国にはいない魔物ですが、ギルド間では情報提供が度々されています。・・・その時に、耳にしたことがあります。」


 そう言ってくれた。


 ・・・情報の共有はありがたい。何の前情報がない状態では勝つどころか居場所も分からん。・・岩山はこの辺りにいくつかあるが、急ぐわけでもないのでゆっくり探すことをティナに伝えたら承知してくれた。


 ・・・ギルドの外に出た時、三人組の冒険者とすれ違った。




 王都の外に出た私たちは鉄荷車を操作しながら探索した。


 手始めに近くの岩山、ここから二百メートルくらいだがそこに行くことにした。・・結果は何もない。・・上手くいかないのはどこでも一緒である。

 ・・四箇所の岩山を探索していき、五箇所目で見つけた。


 ・・・鱗の色が真っ赤なワニが三匹いた。


 地球では絶対に見ないワニだ。・・度々口から火を出している。・・なるほど、確かにフレイムアリゲーターだ。


 ・・私は剣を抜きながら。


「・・こいつの試し斬りにはちょうどいい相手だ。・・・ティナも来るか?」


 この質問に剣に手を掛けるティナは。


「・・今更何を言うのですか?あなたは?」


 ヒヒイロカネの剣を抜いた。


 ・・同じ気持ちと言うことか。私たちは剣を構えながら向かって行った。・・フレイムアリゲーターはこちらに気付いて火を吐いた。


 その様は火炎放射器の如く。


 当然ながらその炎を受ける気はない。左右に分かれて回避した。・・・私は剣に魔力を込めた。すると剣は赤くなり、少し熱を帯びていた。

 アダマンタイトではここまではっきりと流していると感じた事はない。


 私はフレイムアリゲーターに向かって上段の構えで向かった。・・・フレイムアリゲーターはこちらに気付き炎を吐いた。・・一直線にしか来ない炎。。避けやすい。

 ・・昔なら炎が来ただけでビビったが、数々の戦いを経験した私にとって炎はただ熱いだけの攻撃。


 それ以上何も感じない。・・・左側面に入った私は思いっきり振り落とした。すると胴体はあっさりと真っ二つ。・・絶命である。





 一方ティナは。


 シンスケと分かれた後、炎を吐くフレイムアリゲーターの攻撃を水の魔術で相殺しようと発動。・・無論、この時、剣に魔力を込めていた。


「・・・激水砲(ヘビィーウォーターキャノン)!」


 ・・水の攻撃で相殺した後、隙をついて斬ろうと考えていた。しかし、放出される水の質と量は今までとは違い三倍の威力であった。


 ・・炎を相殺所か押し返した。


 水の勢いで飛ばされるフレイムアリゲーターは壁に激突。・・気絶した。


 ティナは近づき、剣を突き刺し絶命させた。


 二匹仕留めた私たちは残りの一匹を左右からの同時攻撃で仕留めた。



 終わった後、改めてヒヒイロカネの剣を見た。・・・あまりにも切れ味が良すぎる。恐怖を感じるほどに。


 ティナの方は。


「・・・この剣。魔術を増大させる効果があるのでしょうか?・・・普通の威力を遙かに上回っていました。」


 驚愕の顔をしていた。


 ・・当然だな、これ程の逸品になるとは絶対に思わない。・・と、深く考えるのはやめよう。


 異世界だからと割り切るしかない。


 ・・さてと、フレイムアリゲーターの死骸を王都に持って行くことにした。


 門番に説明をしたら。


「・・・解体ならば武器屋の近くに看板を掲げているからそこでやってくれ。・・くれぐれも工業地帯には持って行かないこと。・・・あそこは大型と貴重専門だからな。」


 説明を受けた。


 ・・・工業地帯は易々と行っていい場所ではないということか。・・歩いてしばらくすると武器屋を発見。

 ・・その近くを探したが見つからない。・・もう少し離れた場所か?と思い、移動しかけた時。


「・・・ここではありませんか?」


 そう言ってティナが武器屋の向かいを指さした。


 見た目は倉庫で看板がない。・・いやあった。扉の横にある縦五センチ横二十四センチの表札に`解体屋`と書かれていた。

 ・・・商売する気あるのか?・・私はノックした。


 ・・すると扉が開き、中からメガネを掛けた三十代のボサボサ髪で無精ヒゲを生やした中太りの男が現れた。


「・・いらっしゃい。・・解体ですか?」


 やる気のない声である。


 私は。


「・・このフレイムアリゲーターの解体をお願いしたいのですが。」


 そう言って三匹の死骸を見せた。


 ・・・男はワニをマジマジと見て、眠そうな目が見開いて。


「・・・ふむ。・・ほほぅ。・・・金貨三枚で受けよう。時間は一時間掛かる。」


 いきなり仕事モードに入った。


 ・・私は頷き、代金を払った。男はワニを店の中に手際よく持って入った。そして、扉は閉まった。


 ・・・入るなということか。


 ・・私達は暇なので近くの武器屋を見学することにした。・・中は剣と槍と斧と大槌と弓矢がそれぞれ形が違う物がそろっており、かなりの数があった。


 それらを見ながら私は。


「・・しかし、あの解体屋の人。・・商売する気あるのか?・・あんな看板じゃ初めて来た人はわかんないぞ。」


 そう呟いた。


 ティナは。


「・・職人には気難しい方がいるものです。・・・実際、フレイムアリゲーターを見た時の目つきが変わりましたし。・・そういう人だと割り切るしかありません。」


 そう答えてくれた。


 ・・正論な意見である。・・そう思った時カウンターにいる武器屋のハゲ太りのおじさんが。


「・・なんだ?・・あんたら、向かいの解体野郎に頼んだのか?」


 その質問に私は。


「・・はい、そうです。・・向かいの方とは知り合いで?」


 この言葉におじさんは。


「・・へん。知り合いと言うより悪友だ。・・・あいつはうっとしく、大勢で押し掛けるのが嫌いで。・・看板をワザと小さくしているんだよ。・・・しかし、あんたらよく知っていたな?・・他にも解体屋はいくらでもあるのに。」


 聞いた時私たちは顔を見合わせ。


「・・門番の方が紹介してくれました。」


 戸惑う口調で答えた。


 おじさんはため息をついて。


「・・あの小僧か。・・・あいつはいつも気にしていたからな。商売は捗っているのかを。・・まぁ良かったんじゃね。・・あの野郎はのらなきゃ仕事はしねぇからな。・・フレイムアリゲーターか?・・よく持って行ったな。あれを解体したい店は結構あるからな。何しろ、アリゲーターの火の魔石は高値で取引されるからな。」


 説明してくれた。


 ・・なるほど、魔石を取り出した時、交渉して何割か貰いたいと思っている店があるということか。・・・もしかしたらいい店かも知れない。


 その時、あることを思い出した。


「・・そう言えば、三匹の解体に一時間で終わると言っていたが。・・かなり早くないか?」


 この疑問にティナは。


「・・・確かに、もしかしたら帝国の技術力で早く解体できる物でもあるのでしょうか?」


 考えているとおじさんが。


「・・・あるぞ。解体を通常の三倍で終わらせる機械や道具が各店に普及している。・・解体屋だけでなく、他の店でも適応している機械や道具が置いてあるぞ。・・・帝国のすごさを他国に見せつけるには店に普及した方が早いと貴族達の考えだそうだ。・・・目立ちたがり屋どもが。」


 そう悪態をついた。


 ・・・なるほど、国の素晴らしさと技術力を宣伝するのには商人や冒険者達に知られるのが一番。


 ・・何故なら、王都の外に出ることが一番多い人達だから。・・外で噂をしてくれればこれ以上の宣伝効果はない。

 実際、一度も来たことのないティナが帝国について知っているのも噂を聞いたからである。



 ・・・あれから一時間。


 解体屋に向かうと店の外に箱が置いてある。・・中を見ると、フレイムアリゲーターの皮や肉、魔石が置かれていた。

 ・・お礼を言いたかったが、迷惑だと感じた。


 こんな雑な置き方をしたのだ、察しろと言うことか。


 ・・私たちは店の前で頭を下げ、箱を荷車に載せた。



 ・・・次に向かったのは王都で買った拠点の家である。


 ここについては昨日、宿屋を出た後。・・・不動産屋を見つけ、手頃なサイズの家を購入した。長期滞在には宿屋よりも家の方がいい。

 ・・・税金はすでに払っている。


 年に一度の払いで充分だと店の人は言っていた。・・小金貨三枚は掛かった。


 ・・家は一階建ての2LDKで内装は寝室は勿論、台所と物置部屋、キッチンやトイレ、お風呂の代わりにサウナがある。お風呂という概念がないから仕方ない。


 ・・私は素材を物置部屋に入れた。


 ・・家で寛ごうかと思ったが、ギルドでもう少し情報を集めることにした。



 ・・ギルドに到着。


 中に入ると人混みがそれなりにあった。仕事を終えた雰囲気である。


 ・・私たちはそのまま掲示板に行こうとすると。


「・・・そこの美しいお方。・・・話があります。」


 三人組の冒険者のリーダーのような男が話しかけてきた。







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