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狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第三章 狩人とは
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第98話 王女の面談








 翌朝。王城で目覚めた私は、最初、ここはどこだ?・・と一瞬考えた。


 ・・隣のベッドで寝るティナを見て思い出した。


 城に招待され、寝泊まりまでしてくれたこと。・・・背伸びをしながら起き上がり、カーテンを少し開けた。

 ・・少しの曇り空、太陽がチラチラと覗く。


 ・・・寒い地方の天気そのものである。


 私の動く気配に気付いたのかティナが起き上がり。


「・・・おはようございます。・・・相変わらず、早いですね。」


 寝ぼけ眼であいさつ。私は。


「・・おはよう。・・起こしてしまったかな?」


 私の疑問にティナは首を横に振った。


 ・・・少しの準備体操をし、鎧を装着しようとした時、ノック音がし。


「・・失礼します。・・・朝食をお持ちしました。」


 そう言って、クロワッサンとベーコンとレタスのサラダと焼いた白身魚とオレンジジュース。


 ・・朝から豪華な食事が一人五品、並べられた。


 ・・メイドは。


「・・・それと、朝食を終えましたら、ヨルネ様がお二人に話があるとおっしゃっておりました。・・・終わりましたら、外にいる私にお声をおかけください。」


 そう言って、一礼して退出した。


 ・・・私とティナは席について食事をすることにした。


 ・・食事しながら私は。


「・・・話があるって?・・一体何の話だ?・・・昨日の子供達の件かな?」


 思い当たる事を言った私にティナは。


「・・それもあるかもしれませんが。・・・多分、私たちの事ではないでしょうか?・・・城に運び込まれた時、簡単な調書で私は王国から来た冒険者と兵士に説明しています。・・・王国だからという理由で何か企んでいるかも、とは思われないでしょうが。・・・気になるのでしょう。・・・どうして王国よりも強い魔物がいる場所に来るのか?」


 そう言ってジュースを飲んだ。


 ・・・冒険者は依頼を受ければ遂行し、金を貰う。・・何もやましいことはしていない。・・だが、どこの国でも同じようにやっているのにどうして安全に金を稼げる王国からワザワザ来たのか?

 ・・・帝国から王国に来ることはある。


 ・・疲れて安住の地で暮らしたいと思うからだ。


 ・・・今居る冒険者達は金と帝国の暮らしが便利で中々捨てられないという者達である。・・・そうなると、私に関することで質問してくる可能性が高い。

 ・・・密偵として来たなど本当のことを話すことなど絶対にできない。


 ・・・かと言って異世界の事を言うわけにはいかない。


 ・・一部本当のことを混ぜながら誤魔化すしかない。


 ・・ティナと示し合わせた。


 ・・・食事を終え、メイドが片付けている間、私とティナはヨルネ王女の元に向かう準備をした。・・と言うよりも、鎧を脱いで、楽な格好になっただけである。


 ・・さすがに気品ある服装は持ち合わせはない。


 ・・・私は作業着で、ティナは少し上等な村娘風の服。


 ・・準備ができ、メイドが。


「・・ではこちらのメイドが案内します。」


 そう言って、新しいメイドが来た。


 ・・メイドは挨拶をし、先導した。


 ・・しばらく進むと、立派な扉があり、左右には騎士が立っていた。


 ・・・メイドは騎士と何やら話しをしていた。・・騎士二人は扉から少し離れた。


 メイドは扉の前に立ち。


「・・・ヨルネ様。お二人をお連れしました。」


 確認の声を聞いたヨルネは。


「・・・・通しなさい。」


 その一言でメイドは扉を開けた。


 ・・・メイドは中を見て、私たちに顔を向けた。・・入っていいと言うことか。

 ・・・私とティナは中に入った。


 ・・・部屋の中は、正面奥に立派な机があり、その手前には左右にソファーが並んでおり、中央にはその高さに合うテーブルが置いてある。

 ・・壁には名画と呼ぶに相応しい絵が飾られており、高級感のある壺も置いてある。


 ・・・執務室、と呼ぶに値する部屋である。


 正面の机に座っているヨルネ王女は。


「・・ようこそ、シンスケさん、ティナさん。・・・立ち話も何ですし、どうぞお掛けください。」


 ソファーに座るように促した。


 ・・・ここまで言われた以上、従うのは道理である。大人しく座ることにした。・・ヨルネ王女も同じように反対のソファーに座った。

 ・・テーブルの上に紅茶が三つ並べられ、メイドは退出した。


 ・・紅茶を少し飲み、最初に話したのは王女である。


「・・さてと、長い口上は退屈でしょうから、本題に入りましょう。・・・お二人に聞きたいことは、今の王国は信頼できるのかを聞きたいのです。」


 この質問に私は。


「・・?・・信頼?・・・王国のことはあまりお詳しくないのですか?」


 質問に質問で返す言葉に王女は。


「・・お恥ずかしながら、王国とは直接交渉しているわけではありません。・・何時も、共和国を仲介に交渉しているのです。・・しかし、今回の件で各国が使節団を派遣するという情報を得たのです。」

「・・その者達を迎え入れるのは王族として常識の行為。・・・ですが、王国と帝国は昔から不仲な関係。・・・今の帝国の弱みにつけ込んで何をしてくるか分かりません。・・・かと言って勝手な妄想で相手を不快にさせるわけにはいきません。」

「・・・そこで今の王国から来たお二人に聞きたいのです。・・・王国の王族は信頼に値するのか?」


 真剣な顔で聞いてきた。


 ・・・私はティナと顔を合わせた。・・・予想とは違う内容に少し戸惑ったが、今後の国同士の仲に協力すると思って、私は。


「・・そうですね。・・私は国王とは一回しか会っていませんが。・・温厚な方だと思います。私とお話しした時は命令口調ではなく、優しい感じで話されていました。」


 私の言葉にティナは。


「・・・それについては同意します。・・もう少し言えば、不正や国に対して不利益だと考えた時は、正したり、罰則を与えたりとかなり厳しいご判断をします。・・・一部の貴族には恐れられておりますが、基本的には真面目で誠実なお方であると思います。」


 そう言って紅茶を飲むティナ。


 それを聞いたヨルネ王女は。


「・・なるほど、国王の人柄については分かりました。・・・次にお聞きしたいのは王女について聞かせてくれませんか?・・・今回の使節団には王女が来るという情報です。」


 その言葉を聞いて私とティナは驚いた顔をした。


 ・・私は王女様直々に来られることに。ティナは、また他国に来るのかと内心呆れて。


 ・・・私は王女について何も知らないので、ティナが。


「・・・オリビア王女様は、国の改革に貢献しておられる方です。・・・後は、少々好奇心旺盛な性格で、他国の情勢にいつも関心がありました。・・・今回の件も王女様自ら志願したと考えるべきですね。」


 そう答えた。


 ・・・まぁ辺り触ることのないとは思うがな。


 ・・ヨルネ王女は。


「・・・なるほど、よく分かりました。・・オリビア様が来られた時は退屈させないように配慮すべき事。・・・そして、お二人は王国ではAランク冒険者であったことも。」


 そう言って少し悪い笑みになっていた。


 ・・・その言葉に私は。


「・・えっ?・・なんで?」


 その先を言おうとしたがすぐに口を閉じた。


 ・・・しかし、時既に遅く。


 ティナは。


「・・・何故、このような回りくどいことをされたのですか?」


 その質問の意図に気付いたのかヨルネ王女は。


「・・・何かを知りたい時は、直接聞くよりも間接的に聞いた方がわかりやすい事があります。・・・正直、お二人の実力で王国に居づらくなったとは考えにくい。・・とすると、何かしらの理由で帝国に来た。」

「・・ですが、もし、やましいことをして国を逃げ出した可能性もあります。・・かなりの実力でそんなことをしていたとなれば心配でしかありません。」

「・・そこで王族と面談したことがあるのか聞いてみたのです。・・・面談できる一般人はAランク冒険者だけですから。・・・さすがに犯罪者ではないと確信できます。」


 説明してくれた。


 ・・・直接聞けば誤魔化す可能性があるから。あえて、違う話題にし、誤魔化しきれないようにする為。

 ・・・さすがは王族。・・権謀術数は学んでいらっしゃる。


 ・・私は。


「・・・お察しの通りです。・・私とティナはAランク冒険者でした。・・・しかし、今ではその称号は一時期、返還しております。・・・帝国でもAランクになりましたが。」


 少し苦笑いをした。


 王女は。


「・・・ギルドの方針は聞いていますが。・・・どうして、ワザワザ返還を?・・そのまま住み続けてもお二人には問題はないでしょう?」


 この疑問は当然である。


 私は紅茶をすすった後。


「・・・私の限界がどこまでなのか知りたかったのです。・・王国では強い魔物は早々現れません。・・しかし、帝国では毎日のように強い魔物が現れると聞き、こちらに来たのです。・・私の力が帝国ではどこまで通用するのか?・・・それだけです。」


 答えた後、ティナは。


「・・もう一つお答えしますと、称号の一時返還はギルドマスターの計らいです。・・・私とシンスケが何時でも王国に帰ってきてもいいように、恩情を掛けてくれたのです。」


 フォローしてくれた。


 ・・・内容的にはウソはついていないが、隠し事である密偵の事は言わない。・・・相手が納得しやすいように話してくれた。


 ・・・しばらくの沈黙の後に王女は。


「・・・なるほど、力試しみたいなものですか。・・・どうやら、私は深く考えすぎたようです。・・・不快なことをさせてしまい、申し訳ありません。」


 そう言って謝罪した。私とティナは`気にしていません`と少し慌てて答えた。


 ・・・そして、王女は。


「・・・では、お詫びに何か聞きたいことがあれば、答えられる範囲でお答えします。・・何かありますか?」


 この質問に私は。


「・・・ではお言葉に甘えて。・・・国境線に配備されたエッジソンという兵器。・・あれはどうやって作ったのですか?」


 この質問に王女は。


「・・エッジソンはドワーフの方々、昔からの念願だった聞いております。・・・何でも、ある博士とドワーフ族が面談。・・・その内容が素晴らしかったと言うことで作ることを約束したそうです。・・その博士も既に死んでいるでしょう。・・・何しろ、百年以上前のことですから。」


 答えてくれた。


 ・・その内容に私は。


「・・?・・いるでしょう、と言うことは死んでいるかどうか確認はしていないと言うことですか?」


 この疑問に王女は。


「・・はい、詳しいことは聞いていませんが。・・・鏡に突然、映し出されたとか。・・詳しい事をお聞きしたいのなら、彼らの作業場に行ってみますか?・・・私が許可を出せば入れます。」


 その申し出を私は。


「・・ありがとうございます。・・準備してから早速、行きたいと思います。」


 お礼を申し上げた。


 ティナは私に付き合うという表情をしていた。


 ・・王女は。


「・・分かりました。・・では、メイドに申しつけておきます。・・・本日は私のお話に付き合っていただきありがとうございます。」


 お礼を言われた。


 私とティナは頭を下げ、丁寧口調の口上を述べた。


 ・・・そして、執務室を出て、一旦、客室に戻ることにした。






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