表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第二章 修行の旅
102/268

第90話 皇帝の終り。







 帝国、王城。


 グリネの執務室。


 新皇帝となったグリネは新たに手に入れた執務室で報せを受けていた。・・エッジソン隊はかなりの被害を受けていたが、その分、上位魔物達にかなりの痛手を与えたと。

 ・・この報告にグリネは喜んだ。


 ・・エッジソンが強力な兵器であることが証明されたのだ。


 ・・長年の苦労が報われた瞬間であった。


 ・・そんな中、黒い霧が二つ現れた。


 出てきたのは`堕落ハリーネイア`と`運命ルムビ`である。


 グリネは。


「・・よく来ました。お二方。・・・どうでしたか?・・楽しまれましたか?」


 この言葉にハリーネイアは。


「・・もう充分と言って良いほどの物だったわ。・・・あなたに協力したおかげでおいしい思いができたわ。」


 ルムビは。


「・・ほんっと。よかった~~~。・・あれ程の興奮したのはいつ以来かしら?と思えるくらいだったわ~~。」  


 相づちを打った。


 二人は微笑みながらグリネを見ていた。・・その瞳は笑ってはいなかった。


 グリネはそれに気付かずに。


「・・それはよかったです。・・これからもっと面白くなりますよ。・・エッジソンを大量生産した後、各国に宣戦布告した時にね。」


 悪い笑みを浮かべていた。


 それを聞いたハリーネイアは。


「・・あら~?・・あなたの目的は北の奪還では無かったの?」


 この疑問にグリネは。


「・・そう言えば父上は兵器開発を反対しないでしょう?・・・魔物たちが北を根城にしたのならお好きにどうぞ。・・私の目的は、全ての国を支配すること。・・・その為に貴族連中を束ねていたのだから。」


 この言葉にルムビは。


「・・へぇ~~~。・・んじゃぁ、今、その宣言をしても全員反対しないんだ。・・だから、ハリーネイアに貴族を少し誘導するように仕向けたってわけね。」


 そう言いながら感心したように呟いた。


 グリネは。


「・・その通りです。・・その為だけに今まで行動していました。・・・できれば、あなた達の力をもう少しだけ貸していただけないでしょうか?」


 この言葉にハリーネイアは。


「・・ふ~~ん。・・他にできることがあるとは思えないけど、一応聞いても良いかしら?」


 グリネは。


「・・まず、共和国の王族を操るのです。・・・教会に戦争を起こすように。・・教会は当然、抗議と迎撃態勢を取るでしょう。・・共和国のみにね。・・・その隙をついて、帝国が二国に同時侵攻する。・・・いきなりの奇襲に対処は難しい。・・・落とした後は、王国をゆっくりと侵攻すれば良い。・・あそこは軍事に力を入れていませんし。」


 おおまかな計画を語った。


 ・・ルムビは。


「・・へぇ~~~。世界征服ってやつ?・・・支配した後、どうするの?・・そこからが一番難しいんじゃなあい?」


 この疑問にグリネは。


「・・支配した後?・・・別に考えていませんよ。・・私はただ、人々が争う所を見たいだけ。・・統治興味はありません。・・・まぁせいぜい、奴隷制度ぐらいでしょう。・・逆らう者がいれば見せしめに殺す。それだけで、簡単に従えられる。・・・他は何もしません。」


 そう言って紅茶を飲んだ。


 二人は顔を見合わせ、グリネを見た。・・その瞳は冷たく、何も無い。


 ハリーネイアは。


「・・・グリネ。・・あなたがやろうとしていること、確かに面白そうだけど。・・その後が面白くないわ。・・・私たちは、人間の変化が面白いからちょっかい出している。・・変化ない世界に興味は無い。」


 その言葉と同時にグリネの後ろから`叡智レドルザ`が現れ、グリネの首の後ろに何かを注射した。


 ・・された後、痛みで首を押さえるグリネは。


「・・つっ!?・・・な、何をしたの?」


 この疑問にレドルザは。


「・・何、私が復活させたある魔物の血をお主に注入しただけ。・・・後、数分で魔物になるだけだ。」


 そう言ってほくそ笑んでいた。


 ・・グリネは青い顔になり。


「・・ど、どういうこと?・・あ、あなた達は、私の協力者では無かったのですか?!・・約束は?!」

 

 かなり取り乱したグリネにハリーネイアは。


「・・あら~~?約束は守ったじゃ無い?・・あなたを皇帝にする約束を。・・なったのだからもう終わりでしょ?」


 ふっ、と笑うハリーネイア。


 ・・グリネは更に青くなり。


「・・ど、どうして?こんなことを?・・私の世界征服を阻止する為に?」


 自分が言った計画を聞き、阻止する為に?


 ・・そう思ったグリネにハリーネイアは。


「・・・いいえ、元々こうするつもりだった。・・私たちが動いていることは知られるわけにはいかない。・・知っている人間は排除する。・・ただそれだけ。」


 しれっと答えた。


 グリネは段々と怒り顔になり。


「・・お、お前らは。・・何も感じないのか?!・・今まで良くしたことを忘れてたというのか?!!」


 怒鳴り散らすグリネにハリーネイアは。


「・・何も。・・私たちは、ただ、ある二人が苦しんで戦う所が見たかっただけ。・・・仕上げとしては上々。・・最後にとんでもない魔物が現れた時、二人がどうするのか?・・・考えただけでもゾクゾクするわ。」


 そう言いながら悦楽の笑みを浮かべた。


 ルムビとレドルザは、笑っていた。


 グリネは。


「・・・こ、この、魔物どもめ~~。・・手を取り合う気などなかったと~~~?」


 恨みがましい顔のグリネに、冷たい顔のハリーネイアは。


「・・・今更、何を言っているの?」


 その言葉を最後に三人は黒い霧に包まれて消えた。


 ・・グリネは叫んでいた。・・・全身からの痛みと頭痛。・・自分が自分でない感覚。・・・ドス黒い何かがすごい勢いで拡大していく。

 あまりの苦しみに暴れ出した。・・そこら中にある物を次々と破壊していった。


 ・・その音を聞いた騎士達が入ってきた。


 騎士達は。


「・・皇帝陛下!!・・どうされましたか?!」

「す、すぐに医者を呼べ!!!」


 何人かの騎士達が慌てていた。


 ・・グリネは。


「・・お、お前達。・・・は、早く、わ、私を、た、たすけ・・・」


 その言葉を最後にグリネの体が黒い霧に包まれた。


 ・・まるで風船のように霧が膨らみ、このまま破裂するのかと思いきや、霧が晴れて現れたグリネの体は変異した。


 ・・色が黒くなり、頭から角が三本生え、体は肥大化していった。


 騎士達はそれを見た瞬間。・・グリネがもう助からないと悟り、その場から逃げ出した。


 ・・・グリネはあまりの痛さに窓を破壊し、外に出た。


 ・・・そして、完全に魔物と化した。


 全長百メートル、頭に三本の角、トリケラトプスような顔、鋭いかぎ爪に四足歩行。


 ・・・中庭にいる騎士達は、今まで遭遇したことのない魔物に姿を変えた。


 ・・・もはやグリネの自我が無いのか、城の壁を破壊し、街に入っていった。




 その頃、上空。


 ・・その様子を見ていた七匹。


 `海将ダイオス`は。


「・・・叡智殿。・・あの魔物は何ですか?」


 この質問にレドルザは。


「・・あの魔物は、昔、生息していたという伝説の魔物、ベヒーモス。・・地上において無類の強さを持っていたという。・・・種の存続が上手くいかずに絶滅した。・・つまり、討伐は限りなく不可能な魔物。・・・そうでしたよね?・・バムハル殿?」


 この質問に`竜王バムハル`は。


「・・あぁ、かなりの強さを誇っていた。・・当時の人間達は討伐はできないと判断し、手を出さない・・という見解をし、そのまま放置した。・・結果は人間達には良かったようだが。」


 懐かしそうに語るバムハル。・・それを聞いたラテスは。


「・・しかし、それ程の魔物を蘇らせて大丈夫ですか?・・・観察対象が死んでは面白みがなくなりますよ?」


 この疑問にレドルザは。


「・・心配は無用です。・・あれは不完全な存在です。・・二日後には自然に死にます・・・あくまでも我々の痕跡を残さない為の処置ですよ。・・異世界人以外のね。」


 微笑むレドルザ。・・他の六匹も同じように微笑んだ。




 この世の終りと言うべき光景。・・・市民達は絶望していた。・・だが、魔物は街を破壊しまくること無く、一直線に国を守る壁を破壊し、外に出た。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
満たされたい心
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ