表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狩人の変わった生活  作者: 満たされたい心
第一章 始まりの国
10/268

第9話 魔道書と日記。






 大鳥の換金は、大変であった。


 町に着いたとき、衛兵に止められた。


 狩りで仕留めた物だから換金したいと、事情を説明したら、ギルド員の人たちが駆けつけてきた。

 

 大鳥を見たギルド員は。


「・・・これは、ゲイルバードですね。このあたりでは珍しい魔物です。よくこんな魔物と遭遇しましたね?」


 この質問に私は。


「少し遠出で狩りをしようと思いまして、その時に出くわしたのです。」


 ギルド員は納得したような、してないような微妙な表情ではあった。


 ・・・おそらく、偶然出くわすにしては珍しすぎる魔物だと思っているからだろう。

 しかし、討伐しているし、違反もしていない、特に問題は無いだろうと。・・・そんな考えもあるため微妙な表情したのだろうと考えた。


 後、ゲイルバードから摘出した大きな風の魔石を見せたときはすごい反応であった。・・・見事なまでの大きさであったことと、こんな大きさを持った魔物をよく一人で討伐してくるなぁとか、聞いてきた。


 この質問に私は。


「・・・俺がきたときは、既に何人かの死体がありまして、この魔物も少し弱っていましたから、亡くなった人達のおかげで討伐できたようなものです。」


 私は嘘をついた。


 確かに死体はあったが、ゲイルバードはピンピンしていた。・・・なぜこんな嘘をついたというと、元気一杯の手強い魔物を一人で討伐したなど噂が広まれば。・・・益々目立ってしまい、他の冒険者が私にパーティーに入ってくれるよう遠回しなことをされる可能性があったからだ。


 実際、パーティーに入ってくれと、酒の付き合いでそんな話を聞いたのだから、これ以上はさすがに勘弁願いたいものだ。


 ギルド員は。


「・・・そうでしたか、いや、それならば納得です。こんな魔物を一人で討伐なんて、それこそBかAランクでもパーティーで挑まなければ難しいですからね。・・・ですが、それでもあなたが討伐したことに変わりありません。この魔物の換金でしたね?魔石も売りに出すのですか?」


 この質問に私は。


「・・・魔石はできたら俺がもらいたいのだが、これは大きすぎる、手の平サイズの大きさにしてくれたら残りは売りに出します。いいでしょうか?」


 この問いにギルド員は。


「大丈夫です。それぐらいなら問題ありません。・・・ではこれをギルドに運びますので、ギルドで待っていてください。」


 私はそれを了承し、ギルドに行った。


 ギルドに入った私を見た受付嬢が近付いてきて。


「大きな魔物の討伐、お疲れ様でした。・・・所で、その魔物、もしかしてボードに貼っていた岩山にいる調査対象の鳥では無いでしょうか?」


 にっこり笑顔の受付嬢に対し、私は。


「し、知らないねぇ、そんな依頼があったのねぇ、ふゅ~~~ふっ、ふっ、」


 下手な口笛を吹きながらごまかした。


 受付嬢は。


「・・・はぁ~~、まぁいいでしょう。あなたにとっては、魔物討伐は狩人の仕事だ、とか言いそうですし。・・・こちらとしても冒険者の仕事をしてくれるのならどちらでも構いません。」


 なんか呆れたのか、それとも諦めたのか、そんな表情と言葉であった。


 魔物の換金は、それから十分で終わった。

 

 ゲイルバードの肉と骨合わせて銀貨三十枚、魔石は手の平サイズの石を除いた金額は小金貨六枚

であった。・・・属性のついた魔石は貴重品だと聞いていたがここまでとは、私はこれで念願だった魔道書に手を出すことができた。

 

 ・・・魔道書は、町の図書館にある。


 一般には見せることができない場所に厳重に保管されている。・・・その為、魔道書を購入することは不可能。それ自体が貴重品であり、個人が持つには危険だから。

 その理由は、読んで理解するだけで魔術が使えるからだ。・・・個人が持つと一冊の本で魔術を使える人間が大量に増えるからだ。


 一個師団並の人数は脅威だからだ。

 

 だからこそ、魔道書を読むためには二つの条件をクリアしなければならない。

 

 一つ、魔術を使っても問題ない職業であること

 二つ、魔道書を閲覧する金額が小金貨一枚であること。


 この二つを私はクリアした。・・・冒険者という身分は危険がつきまとう職業であり、魔物討伐には絶対とは言わないが必要な力である。・・・小金貨を貰える仕事はBかAランクの仕事をしなければ手に入らない、これも先ほどの魔石で手に入れた金がある。

 

 私は図書館に行き、魔道書の閲覧を申し込んだ。


 Dランクゆえ、最初は警戒されたが。・・・・金額と冒険者、条件を満たしていたので閲覧許可を得ることができた。・・・使う金額は小金貨一枚、魔道書は一冊のみ見ようと決めていた。

 私には魔術の才能は無い。


 ・・・全部覚えるより、一つの属性を使いこなす方がうまく立ち回ることができる場合もある。


 とすると、選ぶのは二種類、火と雷のどちらかになる。

 

 火の方が相性は抜群、選ぶならこれと思ったが指輪を見て気づいた。・・・・火のルーン文字はあり自由に使えているから魔道書に頼る必要は無い。・・・だが、雷は、直結するルーン文字がなく無理矢理な形で使っている。

 その為、消費する魔力は火と比べて大きい。・・・ゲイルバードの戦いでも雷の威力を火と同じにするためかなりの魔力消費があった。


 それに、雷は火よりも応用力がありそうな気がした。


 ・・・結果、私が選ぶのは雷の魔道書で決まった。


 職員にそのことを伝えた。・・・しばらくして、雷の魔道書がきた。


 早速読むことにした。・・・内容は、雷の起源や歴史のようなものだった。読んでいく内に、頭の中にスムーズに入っていく感覚を感じた。・・・体の中にも何か入っていく感じがした。

 

 読み終えた頃、体の中に力が入っている感覚を覚えた。


 職員は。


「覚えた魔術を試し撃ちにしたいのなら、表の広場でお願いします。」


 職員の言葉に従い、広場に出た。


 ・・・雷をイメージして手の平に集めた、稲妻が走り、黄色の球ができた。それを目の前にある練習用の木人形にめがけて放った。

 ・・・見事に命中、木人形は跡形も無く消えた。魔力消費も火と同程度ぐらいだと感じた。


 私は、満足して家に帰ることにした。





 地球に帰還し、今までの成果を確認した。


 銀貨七十枚、小金貨五枚、ちょっとした金持ち気分になった。


 しかし、小金貨に描かれている絵柄は地球には存在しない絵だが、金貨の純度は九十五%。・・・これは`解析`を使って調べた。

 ・・・これを売りに出せば二~三万は出るだろうが、この絵柄だ。・・・物好きな歴史家が調べようとして最終的にはここにたどり着く可能性がある。


 ごまかすことはできてもいずれはバレる、そうなれば異世界に行きたいと歴史家が言うだろう。


 断ったら公表するぞと脅してくる、かといって了承して連れて行ったら、同業者に自慢する可能性は高い。・・・例え黙ってくださいと頼んでも無理だろう。


 未知なるものを自慢したいのは人間の性だ。・・・私も自慢したいが面倒ごとに巻き込まれるのはゴメンだ。それ以外の人が私と同じ考えだとは思わない。・・・かといって小金貨を売らなければ金にならない。

 どうしたものかと小金貨も見ながら、ふと気づいた。


 `物質変換`で鉄に変え、操ることができる。・・・ならば、金を解析して、金を変換し、金を別のアクセサリーにすれば、すぐに行動を開始した。


 小金貨を詳しく解析し、金の特性を理解。・・・小金貨を純度百%に変換、成功。


 ネックレスに変換、成功。

 

 素晴らしい!!我が能力は富を生む能力だ。!!


 だが、乱用はしない。・・・金は数が少ないから値打ちがある、多くなれば値打ちは下がり、石ころ同然になる、アニメやマンガでよくあるパターンだ。・・・使うのは緊急事態の時のみ、これがベストだ。


 作業を終え、家の中を見渡した時、おじいちゃんの机を発見。・・・引き出しの中には日記があった。


 ずいぶん古い日記だった、興味本位で内容を見た。・・・そこには、おじいちゃんの父が魔術大好きな物好きでよく外国の書物を買っては魔術の研究していたようだ。


「・・・あの本棚の外国本は曾祖父の物だったのか。」


 そうつぶやきながら日記を見た。


 おじいちゃんは、そんな父を呆れながら見てきたようだ。

 

 ある日、父が突然いなくなったようだ。・・・倉の中に入ったきり出てこないので見に行ったら誰もいなかった。警察も調べたが、わからず、行方不明扱いになった。

 ・・・それから十年。・・・おじいちゃんが久しぶりに倉の中に入り、二階にある本棚をなんとなく見ていたとき、『異世界に行く方法』の本を発見。・・・馬鹿馬鹿しいと思っていたが。


 あの日、一階に魔方陣らしきものがあったがうさんくさいので消したのを思い出した。


 半信半疑で行ない、実行したら異世界に行っていた。・・・・そこで出会った森の人から黒髪の人は殺されると聞いてもう二度と行くことは無かった。


 だが、その時手に入れたスキルは、・・`探知`。`消臭`。`無音`。`透明`。・・この四つを手に入れた。

 

 これらを使い、狩猟の仕事をしてきた。


 結果、かなりの獲物を狩ることができ、気弱な性格が段々と強気な性格に変わっていった。


「・・・それで、あんなに熱血漢があったのか。しかし、このスキルの組み合わせは考える限りの最強の組み合わせだな。・・・そりゃ、強気にもなるか。」


 消臭で匂いを消し。無音で音を消し。透明で体を消す。・・・どんな方面でも通用するスキルだ。


 そんなことを考えながら日記を読み終えた。


 今日は本当に長い一日だった。・・・明日も仕事を頑張るか、そう思い寝た。




 地方都市アルム 門の前


「さぁてと、あいつが何者なのか、聞いてみるか。」


 大きな斧を背負い、大男は町に入っていった。


 ・・・衛兵は。


「お帰りなさい。バードスさん、ギルドに用で?」


 大男、バードスは。


「・・・面白いやつに会いにな。」


 笑い顔で答えた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
満たされたい心
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ