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クイーン大量発生?

「どうにもおかしくないか?」


 再び砂漠でクイーンサンドワームを見つけた俺たちは、その様子を見て作戦会議を開いた。


「なんで、こんなに近距離に二つ目の群れがいるんだ?」


「やはり、繁殖力が暴走しておるのかの?」


「生命に異常なものを感じる。何か原因はあるだろう」


 ルディアの問いにアルが答える。ふむん、何か原因ね。


「どうするの? さっさと倒しちゃって報告する?」


 ミリィが問いかけてくるが、どうにも嫌な予感が拭えない。


「倒すだけなら、この前の作戦でどうにかなるだろうが、それじゃあこの異常事態の原因がわからないしな」


 腕組みをして唸るが、いい考えはなかなか浮かばないもんだ。


「ちと、整理してみるかの」


 ルディアがそう言って、鞄から地図を取り出した。


「この間の群れがここで、今回の群れがここ」


 呟きながら、地図に印をつけていく。


「交易路がこう通っておるから……」


「同じスピードで移動してきたと考えて、交易路にぶつかった時間差からすると」


 地図を覗き込み、俺は横から口を挟んだ。地図の片方を指して予想を口にする。


「こっちの方に元の親の群れがいるのか?」


「ということになるであろうな」


 そっちも調べないといけないな、多分。


「そっちって、確か古い遺跡か何かがあった方じゃないかな」


 ミリィが首をかしげながら、自信なさげに言う。


「関係あるか分からないけど」


「主殿、どうする? 調べてみるかえ?」


「そうだな、どうにも気味が悪い。皆、しばらく砂漠を歩くだけの準備はしてきてあるか?」


 全員に問いかけると、皆がうなずき返してきた。


「よし、じゃあ、この群れを退治して調査開始するぞ」


 俺の言葉を合図に、全員がそれぞれ動き始めた。








 遭遇した二つ目の群れを討伐し移動を開始した俺たちは、まず少し迂回しルディアの予想した三つ目の群れを探した。


「もし、親の群れに何か異変があったのだとしたら、産んだクイーンが二匹ではすまんやも知れんからの」


 そう言って、ルディアは砂漠を歩く。三匹目のクイーンは完全に情報が無いが、いるとしたらここら辺と予想したんだ。

 交易路から外れ、砂漠を歩くこと丸一日。


「やはりの」


「いたな」


 おおよそ予想通りの位置で、俺たちはもう一つの群れを発見した。

 やはり、何か異常事態が起こっていると見て間違いない。

 地図の印を見つつ、ルディアが呟くように話す。


「三つの群れからすると、やはりミリィ殿の言っていた遺跡方向になるかの」


「それの探索が必要か……それと町にも警告出さないとな」


「まだ、他に群れがおるやもしれん。確かに一回町に帰った方がよいかも、じゃな」


 やはり町に帰るべきだな、そうと決まれば、急いだ方がいい。


「よし、早速こいつら倒して町に警告しに戻るぞ」





「えぇっ! クイーンサンドワームを二匹も討伐しちゃったんですか!」


 騒ぐ受付嬢に、俺はルディアがメモした地図を渡す。


「多分、大量に発生している可能性がある。今度交易路近くに出るとしたらこの辺に出ると思う」


 地図のメモを指し示して、受付嬢に説明する。


「俺たちはこの異常発生の原因となってる親の群れを探す。ギルドを通してクイーンサンドワームとの接触を警戒するように呼び掛けてくれ」


「わ、分かりました」


 俺の説明で、さすがにヤバいと思ったのか、受付嬢は素直に話を聞いてくれた。


「頼んだぜ。人死が出てからじゃ遅いからな」


「至急連絡を入れます」


 慌てた様子で奥に引っ込む受付嬢を見送って、俺は皆を見回す。


「さて、じゃあ準備をして出掛けるか」


「遺跡まで結構あるよ?」


 ミリィが聞いてくるが、何、心配ない。


「転移を使えばいい。だいたいの距離と方向が分かってれば一発だ」


「……そーだったね」


 砂漠を歩いて移動していたのはクイーンサンドワームを探すためだ。移動しない遺跡なら、転移の方が便利だからな。


「じゃあ、そう言うことだ、今のうちに準備だけしてしまおう。そしたらすぐ出発するぞ」


「了解じゃ」


「分かった」


「承知した」


 三人ともに返事をしたのを確認して、俺は自分の準備に向かった。

 何せ短剣に何度も雷の魔法をぶちこんだから、すっかり駄目になってしまったんだ。これはまあ、新調しないといけない。

 クイーンと戦闘すること、遺跡に入ることも考慮すると、手槍と手斧辺りが妥当か。長剣? 格好がいいだけで使いづらい、今回はパスだな。

 そんなことを考えながら、店を回り準備を整えた。

 宿屋に帰ると、三人とも既に帰ってきていた。見たところ、しっかり準備しているな。


「準備できたか?」


「バッチリじゃ」


 ミリィは親指を上げ、アルはうなずく。

 よし、大丈夫のようだな。


「じゃあ行くぞ」


 俺たちはそれぞれ手を繋ぎ、輪になった。

 転移の魔法を発動する。瞬時に俺たちは転移した。

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