表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/5

第1話 魔法の国

 波の音が聞こえる。その波に起こされるように俺は眠りから覚めた。なぜか海辺で倒れていた。

 

 なんとか重い体を動かし立ち上がり、辺りを見回す。夜だった。あたりはしんと静まり返って、波の音以外には音はしない。


「ここは、どこだ…」

  

 確か俺は、さっきまで…

 

 あれ?

 

 俺は何してたんだっけ。

 

 俺は、2000年に、東京で生まれた正真正銘の日本人だ。両親もどちらも日本人生まれ。家は、特に過不足なく、これまでの人生だって不満なく生きてきた。小中高大時代だって、人並みに生きていたはずだ。趣味として筋トレを毎日欠かさずやっていて、周りからは引かれたっけな… まあ、そんなことばっかしてたから青春っぽいことはしてないけど、それでも十分楽しかった。  

 

 だけど大学を卒業し、…そのあとはなにをしてたんだ?

 

 どうやら、記憶が一部吹っ飛んでいるらしい。こんなところで目を覚ましたことから考えると海で遊んでいる時に何か事故にあったとかか? それなら、助けくらいあっていいものの。あたりに人の姿は全く見えない。 

 

 ていうか、海に倒れていたこともあって、少し体が冷える。早くあったまりてえ。

 

 それにしても、こんな場所東京にあったか?一瞬東京湾かと思ったが、周りをよく見てみるとそんなことはない。海の前に堤防があって、反対側には普通に街がある。

 

 ーガチャ、ガチャ、ギー、ガチャー

 

 ん? なんだ? なんの音だ?

 

 ふと俺の背後で妙な機械音が聞こえた。反射的に振り返る。そこになにがいたと思う?驚くなよ?

 

 怪物がいた。

 

 正確には、四足歩行型ロボットとでもいうのだろうか。四角い胴体から、すらっと細い足が四本伸びていた。その足を滑らかに動かしながらこっちに近づいて来る様子は、あまりにも不気味で、怪物と形容するしかないだろう。

 

 こいつ、海から上がってきたのか? 機械が濡れても大丈夫なのだろうか。てっ、そんなこと考えてる場合じゃねぇ。こっちに来んな!。こっち来んなよ!

 

 どうしようか。このまま逃げてもいい。堤防を登って町へ降りれば奴は追ってこないかもしれない。だが、もし追ってきたら? 町の人たちに被害が出るかもしれん。

 

「俺が、やるしかねえのか…」 

 

 だが、不思議といける気がした。俺はこいつを倒せる、そんな意味不明な自信が自然と湧いてきた。  

 

 よし、いくぞ。

 

 俺はこっちに向かってくるロボットに突進していった。ロボットが前足を使い、俺の体を捕まえようとする。俺はそれをするりとかわし、逆に前足を両手で掴んだ。そのまま力任せに引きちぎった。

 

 意外とあっけねぇな。

 

 そう思ったが、ロボットは後ろ足ニ本で立ち上がり、こちらに向かってくる。そのまま、俺を押し倒し、後ろ足で俺を押さえつける。

 

 やっべぇ、やっぱ手を出すべきじゃなかったわ…殺されるわ…

 

 その瞬間、反射的に俺の右手が動いた。来ていたジャケットのポケットから銃を取り出す。それをロボットに向かって撃つ。  


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 銃声とともに、ロボットが俺の目の前で崩れ落ちた。ロボットは完全に機能停止したようで、硬直したように動かない。ていうか、なんで、俺は銃なんか持ってんだよ。それに、なんで使い方知ってんだよ。

 

 ーピ、、ピ、、ピ、、ピ、ピ、ピ、ピピピピピピピピピー

 

 え? 、ロボットが謎の電子音を発し始めた。これってやばいんじゃないか? 本能が危険と訴えかけている。俺はその場から全力疾走して堤防に上がった。すると…

 

 ーバッコーンー

 

 目の前で凄まじい爆発が起こった。

 

 ひぇー、危なかった…

 

 ロボットが自爆したようだ。マジで一体なんなんだよ、これは。俺は何かのゲームに巻き込まれてるのか? 

 

 ーガチャ、ガチャ、ギー、ガチャー 

 

 嫌な予感がしながら海の方を見る。おい、また新しい奴が来やがったぞ。あいつらどっから来てんだよ。

 

「桜花灼熱!」

 

 その掛け声と同時に、閃光が走った。その光は、真っ直ぐにロボットの方に向かい、直後、ロボットは炎に包まれた。そして、爆発した。

 

 え…… なんなんだこれは…… 俺が持っている常識では、こんなことは起こるはずがない。夢か、夢なんだな?

 

「あなた、大丈夫ですか…?」

 

 俺の背後から声がした。おそらく、今の攻撃をしたやつだろう。今度はどんな奴が出でくるんだ? もうなにがきても驚かねーぞ。    

 振り向いた背後には、少女がいた。長袖のローブを羽織っていて、大きいとんがり帽子を被っている。右手には剣みたいなものを持っている。

 

 え、魔女?

   

 それが、初めて彼女を見たときに頭に浮かんだことだった。いやだって、この服装完全にテレビや映画で魔女が着てるやつでしょ! とんがり帽子もかぶってるし!

 

 俺がそんなことを考えている間も、彼女は俺の顔を凝視している。やめて、恥ずかしいから…

 

「えっと、それ、コスプレ?」

 

 とりあえず質問してみる。どうか、魔女のコスプレであってくれ… これ以上問題を増やされても困るから…

 

「コスプレ? なんのことですか? 私は、魔法学校一年、狩猟猟(チーター)討伐団 西区支部所属のソフィアです。狩猟豹(チーター)出現のため、討伐に来ました。」

 

 …魔法学校? 狩猟豹(チーター)? この子は一体なにを言ってるんだ。アニメに出てくるような単語ばかり並び立てやがって。

 

 だが、さっきのロボットを一撃で倒した攻撃。あれは本物だった。魔法としか言いようがないだろう。どうやら、俺は厄介なことに巻き込まれたらしい。だってそうだろ? 俺は正真正銘東京生まれの日本人。なのに、目が覚めたら、ロボットに襲われ、魔法を目撃し、魔女に話しかけられた。意味がわからない。ただ一つだけ言えることがある。

 

 俺は、魔法の国に来てしまったらしい。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ