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癒し

作者: まかろん

頑張り屋と言われる私。

別に頑張ってるつもりもないけど、確かに毎回必ず結果を出そう!と努力はしてる。

めちゃめちゃ忙しいけど、『今は』凄く充実してる。





それは5年程前、以前の会社に勤めていた時の事。


ある日、電車で通勤中、頭の中が突然痒くなった。


頭皮じゃなくて、頭の中。


そこから上手く息が出来なくなった。





意識が遠のきかけたわたしを、最寄りの駅で電車の外に連れ出して、抱きしめてくれた見ず知らずの女性。


『なんてことしてくれたの!仕事に遅刻しちゃうじゃない!』


その女性に対して、感謝より前に咄嗟に口をついて出てしまった。


彼女は一瞬目を丸くして…その後…


…バチン!


私の頬をたたいた。



『あなたねぇ、今、自分の身体がどういう状況か分かってるの?身体が悲鳴を上げてるのよ?はっきり言うけど、仕事なんて1日2日休んだところで、何とかなるのよ!納期がどうとか、期限がどうとか…手元にやりかけや今日の会議で使うための資料があるなら、上司に事情を話して送ればいいじゃない?それも許されないような会社なら、こっちから辞めてやりなさい!』





…後で知った話では、彼女もパニック障害持ちで、以前勤めていた会社で発症した時に、今回わたしに言ってくれたような言葉をかけてくれる人もいなくて、とうとう入院…そのままクビになったそうだ。


きっと私の症状を見て、それがフラッシュバックしたのだろう。


「あの時は、助けなきゃ…って、必死だったわよw」


後に彼女はそう言った。

なんかダルい…気力湧かない…

落ち着いてたパニック発作も、このコロナ禍の変化についていけず、再発どころかめちゃくちゃ酷くなってる。




今の仕事、丁度5年目。

人間関係だけは最高。

仕事はめちゃくちゃキツいけど、パニック障害持ちのわたしを理解してくれる上司と同僚のお陰で、何とかやって来れてる。



でも…今日も変な客に絡まれた…理不尽に怒鳴りつけられた…自分の部屋に帰っても、今から寝ようという時間から隣の部屋で酒盛りし始めて、睡眠薬もぶっ飛んだ…



嗚呼、駄目だ…

どんどん過呼吸が酷くなってる…


鬱症状も、酷くなってる…


私の事なんて誰も理解出来ないし、誰からも愛されてない…


…いっそ死んじゃおうかな…


そんな鬱々とした考えしか思い浮かばなくなってる…




とてもじゃないけど眠れそうにない。


過呼吸…どんどん酷くなって…息が吐き出せない…

あの呼吸法しなきゃ…袋…どうしたっけ…

もう、それすらパニックを酷くしてる…







…そうだ。

まずは、あれをやってみよう。




動画サイトにある『睡眠導入音楽』


その中で、気に入ったものをまとめたプレイリスト…


アイマスクして…ベッドで横になって…







…とりあえず、落ち着いてきた…


いつの間にか、呼吸も整ってた。




さ、このまま寝ようかな…




(アラーム音)




…何?立て続けに鳴ったし…





スマホを開く。





SNS、未読がたくさん…





①同じアーティストが好きな同僚


まかろん、大丈夫か?

無理すんなよ!

ゆっくり休め!

(スタンプ)おやすみ



②可愛がってる後輩


まかろんさん、辛そうでしたけど、大丈夫でしたか?

ゆっくり休めますように…

また、会社で!

(スタンプ)おやすみなさい



③上司


少し落ち着きましたか?

まかろんさんは、すぐ無理をするという悪い癖がありますよね。

そしてパニックがぶり返す…の繰り返しです。

何度も言っている通り、確実に大丈夫!と思えるまでは、しっかり休んでください。

これは上司命令です。

もう一度言います。確実に大丈夫!と言えるまでは休んでください。

本当にお大事にね!おやすみなさい。



④幼なじみ


久しぶり!どうしてる?



⑤母


体調はどうですか?無理していませんか?発作は出ていませんか?

連絡がないので、心配しています。





私の状況を知っているかのように、私の元にやってきた言葉の数々…


…心配してくれてる…独りで闘ってる訳じゃないんだ…


………ありがとう………



…泣いた…


声を上げて泣いた…





泣いて………泣いて………………泣いて…………………………





…何か、泣き疲れちゃった…


いつの間にか、隣の部屋が静かになってた。


そして




バタンっ!




ドアの閉まる音と、数人の足音。


酒盛り、止めたんだ…良かった…





…ホッとしたら、眠くなってきた…


時計を見たら、午前0時半。


まだ頭は痛いし、睡眠薬が効くまでもうちょっと時間がかかりそうだけど…これで眠れるといいな…



返信は、明日しよう。


とりあえず、脳を休めないと…





……………おやすみ、みんな。


ありがとう、大好きだよ!

はじめてパニック発作を起こしたあの日、彼女は仕事を休んでわたしに付き合ってくれた。


会社に連絡し、会議資料と別件の企画書を送信し、彼女が通う心療内科(たまたま降りたその駅が最寄りだった)に予約を取って、その日のうちに先生に会える手筈を整えてくれた。


帰りに彼女と連絡先を交換し、別れたのが16時半を過ぎた頃。


そこまでわたしの話を聞いてくれた。






…それが、わたしの今の上司。


尊敬する、大好きな人。


この人がいなかったら、私は…




上司/同僚と、友達と、母親。


私の癒し。

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