虚傷保留1
初投稿です。
長い…
一時間は経過しただろうか。
他に待機していた人達は一人、また一人と呼ばれていき…
少し前までは患者の雑談や看護師の声などが飛び交っていた待合室も今は冷房の音しか聞こえない。
「ふあぁっ…」
昨日は夜遅くまで起きていたので昼過ぎあたりまでは寝ているつもりだったが朝早く電話で起こされたせいで眠気がすごい。
ゴォォォ…っという冷房の音が睡眠欲求を誘ってくる。
(全く呼ばれる気配ないからな…まぁ少しだけなら寝ても問題ないだろう)
そう思った俺は目蓋を閉じてゆっくりと眠りについた…
………………
「_________!!」
雲一つもない快晴の中
桜の花吹雪が舞う木の下から彼女が手を振っている。
俺は微笑んで手を振り返して彼女の元へと歩き出した。
その時俺は違和感を覚えた。
彼女に近づくにつれ辺りが赤く染まっていくのだ。
俺は嫌な予感がして彼女の元へと走り出す。
息切れしながらも、少しずつ…少しずつ…彼女へと近づいていく。
彼女までもう数メートル、先程までの青い空が偽りだったかのように真っ赤に染まっている。
(あともう少し…)
手を伸ばしたその瞬間…
彼女はうつ伏せに倒れ込んでしまう。
背中に刺さっている刃物から滲み出る赤い液体が彼女の着ていたワンピースを赤く染め上げていく。
そして先程彼女が立っていた場所に顔が見えない何者かが手を振って立っている。
俺は目の前の人物を睨みつけながら口を開く。
「お前は…誰だ…」
顔の見えない何者は手を止めてこう答えた。
「私は誰でもありませんよ。」
そう言うと彼女の背中に刺さっている刃物を抜いて俺に向かって投擲し、突然の出来事に驚きかわす間も無く俺の腹部に突き刺さる。
(痛い、痛い、痛い…!!)
俺は倒れ込みそうになりながらも膝をつき、舌を噛みながらなんとか意識を持たせる。
そんな俺の前に顔の見えない人何者かがしゃがみ込んで話しかけてくる。
「おや、昨日ぶりですね。■■さん。」
突然聞こえた聞き覚えのある声で驚き目を覚ます。
「あれ、君は…」
目の前に見たことある制服姿で立っている
まだボーッとしている頭で思い出す。
そうだ、昨日の夜出会った少女…確か名前は…
「ヒカリさん…?」
「覚えてくださってましたか、それは恐縮です。
それと私の事はさん付け無用ですよ。」
まぁ本人がそう言うなら「さん」を付けるのはやめておこう。
そんな事を考えながら目を覚ますため背伸びをする。
そして俺はさっきから心配していることを口にする。
「ところでその腕の怪我はどうしたんだ?
昨日まではしてなかったが」
そう、ヒカリの右腕がギブスで固定されているのだ。
「あぁ、これですか。いやぁ自転車で学校に登校中
タイヤがパンクして転んでしまいましてね、その時に骨をやってしまいました。全治3〜4ヶ月でした。」
ヒカリはニコニコとした表情で答える。
(随分と軽く済ませるな…)
と思っている俺にヒカリも問いかけてくる。
「■■さんは今日はどうされたのですか。
どこか体調でも悪いとか。」
「あぁ、俺は…」
と言いかけたところで俺は口を止める。
(何故だ…)
この抵抗感は何なのだろう。
「腹部に怪我をしていて…」
と言うだけだろう。
これを彼女に伝えることに何故こんなにも抵抗感を感じる。
彼女は「?」という表情でこちらを見ている。
そんな彼女を見ていると自然に頭の中に言葉が湧いてくる。
「黙れ、文字通り人でなしが」
俺は目を大きく見開いて彼女に向かってそう告げた。
そしてその言葉を口にした俺はハッとする。
何故俺は彼女に向かってこんなことを言ってしまうのだろう。
「あ、今のは…」
急いで俺は彼女に謝ろうとしたが…俺はまた口を止めてしまった。
彼女…ヒカリは笑顔でこちらを見ていたのだ。
その笑顔にはただならぬ不気味感を感じる。
何を言おうとしたかも忘れ、
「………」
「………」
数十秒の沈黙。
その沈黙を先に破ったのはヒカリだった。
「まだ寝ぼけていたのですね…
大丈夫ですよ、気にしてませんから」
「あ、あぁ…すまなかった」
本当に寝ぼけていて頭がまわらなかっただけなのか…
それとも…
いや、こんなことを深く考えてもしょうがない。
起きてしまったことは仕方のないことだ。
ヒカリも気にしていないみたいだしな。
「…ほんとすまん」
俺はもう一度頭を下げ彼女に謝った。
こんにちは、洞です
ようやく続きを書き上げることができました。
褒めて。
日曜までに書き上げる予定だったので定期報告の方を書きませんでしたが思った以上に時間がかかってしまいました。こうなるなら書けばよかったね。
次話をいつ投稿するかはまだ未定です。
近いうちに投稿できるよう頑張ります。
話題が変わりますが最近生徒会役員共をみているんですよ。2周目になるとあのアニメをみてると実家のような安心感を抱きますね。なんでですかね。
ではまた次回。