4話 記憶
「あなたは何色?」
記憶にない丘の上で女が問う。
女の顔はぼやけて、はっきりしない。
お前は誰だ……。
「まだ届かないんだね、私は――。 いつか届くよ。 ――を忘れないで……」
今にも崩れ落ちそうな声で話す女は薄らぎ消えていく。
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「馬鹿な……魔法を切るだと……!? いや、それより、貴様は何者だ!! ……なんだ、その青い眼は」
意識が急速に浮かび上がる。
目の前に左腕を失った魔族が視える。
「何が……。 何が起きたんだ……」
混乱している夏樹に向けて
「獄炎!!」
目の前に巨大な炎が迫る。
自分を殺しかけた驚異が迫っているのに、思考はいつも以上にクリアで不自然なほどに冷静だった。
ザンッ!!
炎の中に淡い光が見えた時、反射的に切っていた。
炎が跡形もなく離散する。
離散した炎の中から魔族が飛び込んでくるが……。
「―― ―― ――!」
理解不能な言葉が自らの口から放たれる。
何かの壁にぶつかったかのように弾かれた魔族に追撃を加える。
「――――!」
視界を塗りつぶすほどの極光が剣から溢れ出し振り下ろされた斬撃に乗って衝撃波が飛ぶ。
「くそ……くそがあぁぁぁああ!!」
縦に真っ二つになった魔族が塵のように消えていく。
直後……視界にノイズが走る。
盛大に吐血し、意識が遠のく。