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盲目の勇者  作者: 岡エシ
第2章
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28話 レベル上げ

「簡単すぎるよ、これぐらいじゃ」


 ロック・リザードとロック・バードの尸の山に立つメア。

 夏樹はメアのレベル上げを兼ねて、討伐依頼を受けた。

 元々のステータスの尖り方から見ても、相性が良いと判断したわけだが、あっという間にこんな状況を作っていた。


「ナツキ君、強さは私と差がほとんど無いように感じるんだけど、戦ってるところ見せてよ」


 事実、メアと大きなステータス差は無い……が。


「分かった」


ーーーグルアァァァァア!!


 姿を現したのはアースドラゴン。勇者の時でさえ、討伐隊を組んで戦った相手。


「ちょ、いやいやいや、いくら何でもこれは無理だって。 逃げよう、ナツキ君!」

「いいから、そこで黙って見てろ」


 夏樹の気配が薄れていき、空気へと溶け込む。

 迫る顎を掻い潜り、頸を切り裂く。

 多量に噴出する血液とともに崩れ落ちるアースドラゴン。


「嘘……一撃? アースドラゴンの鱗はロック・リザードの比じゃないのに、そんな簡単に」

「確かに鱗は硬いさ。 でも、動物である以上、関節とか動かさなきゃいけない部分は覆えない。 防御力は完全じゃないんだよ、そこを狙ってやれば、どうとでもなる」

「言うのは簡単だけどさ……いや、いいや。 ナツキ君が想像以上に化物だってことは分かったよ」


 防御力云々の話はフェイさんからの受け売りだ。

 アースドラゴン相手に討伐隊で苦戦した話をフェイさんにした時、そんな事を言っていた。

 アースドラゴンと大量のロック系魔物を手分けして解体し、可能な分だけ持って王都へと帰還した。


「この前、復帰したばかりでこれですか。 相変わらず恐ろしい実力ですね、ナツキさん」


 買取に出した素材を見て受付嬢が溢す。


「ナツキ君ってすごいんですか?魔族と戦ったって聞きましたが本当ですか?」

「本当ですよ、1年前にミニエイル王国に現れた魔族を退けたのと緊急依頼になったアースドラゴンの討伐に参加してますからね。 なかなか普通じゃないですよ」

「……アースドラゴンの討伐だけならまだしも、魔族を退けたのも本当だったんですね、やってることが完全に英雄じゃないですか」


 メアの言う英雄は近からず遠からず、リアクションに困る発言だったのでスルーする。


「まぁ、そんなこともありましたね。 今、同じ事やれって言われたら出来るか分かりませんが」


 ギルドやメアには1年前の魔族との戦いで負った傷により、ステータスが大きく下がっていると説明していたが、どうやら、メアは半信半疑だったようだ。


「ナツキさんなら、出来てしまいそうですね。 それこそ、エインさんがいたら……すいません、失言でした」

「エイン? エインって誰なの?」


 受付嬢は自らの失言を夏樹に謝罪するが、メアが食いつく。


「俺の元パートナーだよ。 色々あって別れたけど」

「……ごめん、なんかごめん」

「何、気ぃ使ってんだよ。 お前が気にすることじゃねぇよ、もう過ぎたことだし、全て俺が悪いから」


 メアの頭を乱暴に撫でる。メアもそれ以上の追求はしなかった。


「そういや、随分と倒してたしレベル上がったんじゃね?」


 居心地の悪い空気を変えるため、気になっていたことをメアに振る。

 すかさず、受付嬢が魔晶板を用意し、確認する。


 メア 14歳 女 レベル30

 称号:ナツキの奴隷

 筋力:250

 耐久:150

 敏捷:250

 魔力:150

 耐性:150

 状態:奴隷

 固有スキル:???


「20も上がってんじゃねぇか。 単純なステータス勝負なら既に敵わないな」

「……!! 本当だ、すごい上がってる!」


 メアの喜色ばんだ声が広がり、場の空気が和む。

 

「おや、ナツキさんじゃないですか。 キカルダです、覚えてらっしゃいますか?」

「ん? あぁ、お久しぶりです」

「しばらく、冒険者業を休んでいるとお聞きしていましたが復帰なされたんですね。 良かった、そういえば、エインさんは……っと、失礼。 不躾でしたね、申し訳ありません」

「キカルダさんが気にすることじゃないですよ。 そういえば、見ないうちに強くなりました?」


 キカルダから感じる気迫のようなものが以前よりも増しているように感じる。


「気づいてくださるとは……嬉しい限りですね。 実は我々のパーティメンバー全員1つずつランクが上がりまして、相応の依頼を受けて続けたのでレベルが上がったようです」

「全員上がったんですか。 すごいですね」

「はははは、ありがとうございます。 そこで我々では、どこまで行けるか分かりませんが、武闘会に参加するつもりです」


 武闘会?なんだそれは……。

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