プロローグ at
ある事柄が、長い間自分より近い位置においてある場合、その事柄が自分の許に存在して当然と思い込むのが人間である。またその事柄を好んでいる場合、その思いは殊更強くなり、その事柄が消失したとき、それは多大な衝撃となり返ってきて、時と場合によっては、第三者が介入できないほどの憎悪となる場合もある。
それを妄想と評するものも居れば、清らかな心と評するものも居る。
だが、その場合、その人物が抱いていた信実とは、偽りが介する余地など皆無に等しく、妄想と戒めることも何ら価値を見出さない。信実がそこに存在するから、その人物の事柄に対する好意もそこに存在する。
──さらに、その事柄が人物だった場合、その信実は誰にも侵すことが出来ない。拒絶できるのは、その事柄の対象となった人物のみ。他の要素の介入は一切ありえない。全て、対人の間の問題なのである。
だが──そんな二つの感情に挟まれた場合、どのようにするのが良いのであろうか。
この世界における、出来事が起こるパターンは無限ではない。無限ではないが、人間が許容できる範疇を優に超しているため、無限に思えるのだ。また、無限といっても過言ではないであろう。
例えば、タイムマシンで過去に戻ったとする。そして、誰にも見られないようにそこらの雑草を引っこ抜くとする。このさりげない行為によって、自分の存在が未来から消えうせることもありえなくはないのだ。
そのモノが、長い間傍らにあり、もはや一体と誤認識をしてしまうほど年季の入った事柄、信頼してきた人物、それが多少の物事の因果で消滅することなど、無くてはならない要素なのである。
だから、先人は戒めとして幾つもの言葉を残してきている。そのことを痛感した先人が、悔しさからか、それとも未来へ懲戒としてか、のこしてきたのだ。
だから、二つの感情に挟まれた人間は、その二人に互いの大切さを見出させ、より長く互いの良好な関係が続いていくように、精進させればよい。それが虚言のものであっても、その時は誰も後悔はしない。深めておかせて、誰も損などしないのである。万が一、誰かが損ねた場合、それは互いの関係はただの偽りだったとの証明になる。
叶わぬ夢は叶わない。叶わないと認識しているものは決して叶うことはない。
だが……望むものならば。そんな常識は、ただの建前に過ぎないのである。
「ん………?」
目を開くと、そこは暗闇だった。感じることができるのは、何ともいえない篭った匂いだけ。
周囲には誰もいない。母も、父も、そして、長年一緒に過ごしてきた──
「………………やだ……」
体に痛みは無い。障害も無い。自由に動く。
万が一、ここで捻挫の一つは愚か、僅かな切り傷が入ってでもしたら、きっと彼女のこの後は存在しなかったであろう。偶然をはるかに凌駕する、奇跡としか言えようが無い。
現実は、見方によればヘリウムよりも軽いのである。
はい。『お、もう新作か』と思った方。スイマセン。肩透かしです。これは単なる予告であって、決してこれからすぐに連載するわけではないので悪しからず。
えぇと、シリアスに見えますが、コメディです。普通にコメディです。コメディの前置きにここまでシリアスな内容を遣うのもどうかと思いますが、コメディ、しかもラブコメディです。あらすじは、あらすじのとおりです。
連載は、遅くて三月以降になります。それまでは、どうか我慢をしていてくれれば……と……。
ん、僕が書いている作品に、『アサルトアームズ!』というのがありますが、そちらは連載中です。暇つぶしにどうぞ。
あ、これは決して、宣伝用の適当な投稿ではありません。きっと……いえ、絶対に更新しますから、通報はしないで……。