ぷろろおぐ・1
人生って、理不尽な物だ。
高校2年、17歳にして、私はそう理解した。
私は……
――……所謂、サブヒロイン体質だった。
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私は昔っから、"サブヒロイン”の位置に居ることが多かった。
というか、メインヒロインになったような経験なんて1度もない気がする。
別に、今までの人生が楽しくなかった訳でもない。
――ただ、サブヒロイン的な立場が、私にとっては、満たされない立場だったんだ。
例えば。
私の初恋は、小学五年生だった。
隣の席の男の子。
別段目立っていた訳でもないけど、笑った顔がすごく人懐っこくて、優しかった。
そんな彼が私には魅力的に見えたんだけど……
そう思っていたのは、どうやら、私だけではなかったのだ。
クラス替え直前、私は人生初の告白をしようと、あれこれと1ヶ月ほど考えて、結局、直接言うことに決めた。
終業式の前、放課後に裏庭にいて、と彼に伝えた。
そして。
いざ、私が指定した時間、鳴り止まない胸をなんとか抑えて、裏庭に続く渡り廊下を歩く私に、男女の話し声が聞こえた。
『 ――くん、好きです』
ビクリと体が震えた。
声の主は、……当時の私の親友だった。
その子には、私が隣の彼を好きなんだと伝えてはいた。
まさか、親友までも彼が好きだったなんて、思ってもいなかった。
冷や汗が流れた。
暫くして、小さな声で、でもはっきりと、聞こえた。
『僕も、ずっと好きだった……』
そのあとの記憶は曖昧だ。
多分、泣きながら家に飛び帰ったんだと思う。
後日、6年進級の日、親友が彼と付き合い始めた、とバツが悪そうな顔をして、言われた。
苦笑いして、――ちゃんの方が似合ってるから、良いと思う、
だなんて、言ってしまった。
そういえば私、結局好きだって言えなかったんだ。あーあ。
その後、中学や高校に入ってからも、好きになった男子は数人いた。
でも、その全て、友人や、身の回りの人に奪われた。
友人と同じ人を好きになって、友人に先回りされて。
1度は付き合った男子も、実は浮気をしていて。
苦笑いで、ごめんって言われたのは、その恋の数だけ。
その度に私は、別にいいよ、仕方ないもん。
それで諦めた。
諦めるしかなかった。
その度、自分は不幸体質なんじゃないかって疑った。
だってそうじゃん?
最後に男子を好きになったのは、高1の夏だったか。
それ以降、私は男子を好きになれない。
……好きに、ならないって、決めたんだから。
驚くことに、私のサブヒロイン感溢れる体験はまだまだある。
思い出すだけで頭痛くなりそう。
やだやだ。
もう少しだけ、私の愚痴に付き合ってね、誰かさん。
中学でも高校でも、私は運動神経はいい方で、だいたい毎年リレーは上位だった。
でも、1位になったことは無い。
全て、2位だったから。
私だって毎年、今年は1位になるって思って努力もしたよ。
でもダメだった。
あと。
私は中高一貫の私立校に通っている。
学年のテストの点が毎回貼り出されるんだけど、
まあ、もうお察しの通り。
万年2位なんだ。
これだけ見ると、運動神経抜群、学力優秀でいいじゃん、とか思うでしょう?
でも、それだけじゃ、ないんだよなぁ。
初めましての方がほとんどだと思います。カペラです。
プロローグという名の主人公紹介はその2まで。
もう少々お付き合い下さいませ。