〜湖と人狼〜
………俺は朝の朧気な光を感じ、うっすらと目を開ける。
視線の先には木で作られられたしっかりとした屋根が見える。
自分が横になってる場所が妙に柔らく懐かしい感覚がする。これはベットだろうか。
((確か…俺は…人狼に追いつかれて…)))
随分長く寝ていたのであろう、ベットから体を起こすとあの独特の気持ち悪さが襲う。
ここは…ウッドハウスだろうか、壁もちゃんと作られており、ドアもあり、窓にもガラスがはめられていた。少なくとも牢屋とかではないだろう。
また転生したのかと思い体を見る。
傷はなく、服は違えどあの痩せた白く華奢な手足であった。
念の為声を出してみる。
「あ…あーあー」
高い子供の声が自分の喉から響く。
やはりあの馬車に乗せられ傷だらけだった、あの体で間違えないようだ。
寝起きのせいで多少気持ち悪いが、状況把握の為周囲を見渡す。
部屋の中はベットの他に本棚や、タンスのような物、紙のような物が置かれた机、椅子など生活感が溢れる空間が眼前にあった。
窓の外に目を向けると、幻想的と言う言葉が似合う、静かな美しい湖と朝日の景観がひろがっていた。
「うぉおお…超キレイ…」
つい無意識にそんな言葉を言わせてしまうほど美しすぎる景色に目を取られしまった。
すると後ろ、ドアが開く音ともに
「だろう?この世でこれ以上美しい場所はねーぞ」
と男の声が響く。
すぐさま後ろを振り返ると、ドアの前、
そこには自分を追いかけ、食い殺そうとしていたであろう、凶暴そうな顔した大きな大きな[人狼]が服を着て、こちらを見ていた。
それはまさにグリム童話に出てくるあの凶暴な狼にそっくりであった。
「あ…ああ…食べないで…食べないでくれ……」
自分を追い詰めた人狼に向かい咄嗟に出た言葉は命乞いであった。
自分がなぜまだ生きているか不思議だったが、そういう事か。
気絶してればその場で〆なくても生きたまま持ち帰れば鮮度抜群だもんな…
どうやって逃げるか考えることもできず、壁を背につけ、座り込んだ。
すると人狼は大きな口を開け
「はぁ〜……まぁこんな見た目だからしょうがねけどさぁ…」
人狼は自分の爪でポリポリと頭を掻く。
そして俺の前までずんずんと近寄り、腰を下ろしこう言った
「お嬢ちゃん!俺は悪い狼じゃないよ〜!」
口を大きく開け、ニタァっと笑う、その隙間から見えるギラギラとした鋭い歯を見せつけられる。
緊張状態が限界まで達していた俺はそんな光景に耐えれるわけなく、再度気絶した。