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〜周りと自分がスプラッタ〜

キュアをかけ痛みが若干ひいた所で目を開ける。

ぼやけた視界で向かい合うように座っている人影を注視する。

視界が雲っていてよく見えないが前に座っているのはおそらく男性だろう、全体的に赤い布のような服を着ている下腹が中年男性のような体型の人だとわかる。

激痛で首が回らないので見ることはできないが、感触的に左隣にも人が座っていることもわかった。

ぎゅうぎゅう詰めで左の壁に押し付けられてさらに痛みが走る。


栄養失調のせいなのか視界が雲ったメガネのように殆ど見えないため、さらにキュアを自身にかける。

するとさっきよりは視界が良くなり自分の枷がかけられた手足をよく見る事ができた。

インドア派だったのか随分白い肌をした、ガリガリな手足であった。

服もよく見るとボロボロでぎりぎりワンピースの形を保った布を1枚羽織っているだけであった。服の所々に血痕や至る所に生々しい傷跡が露出してるが見えた。


((うわっ、ぐろ…ってかクソいてぇ…))


傷を完全に目視してしまったからか、さっきよりも全身が痛い、あまりの激痛に吐き気を模様してしまうほどであった。

この激痛から逃れようとさらにキュアをかける。さっきは気が付かなかったが、念じると優しい黄緑色の薄い光が体を包んでいた。

全身にあった大きな裂傷がだんだんと小さくなっていく、それと共に激痛はだんたんと引いていく。

現代医学もびっくりの回復力である。

おそらく骨折もなおっているであろう。熱は下がっていないのか体がダルいが枷がなければ立てる所まで行ったであろうと言う感覚があった。

首も回るようになり、視界も完全に晴れた所で状況確認をしようとして顔を上げると文字通りの「惨状」が視界に入った。

向かい合うように座っていた、したぶくれの中年男性は目が完全にくり抜かれヒューヒューとなんとか息をしていた、生きているのか死んでいるのかわからないレベルの悲惨な状況であった。


「オ゛エ…」


つい吐き気を覚え、嗚咽してしまう。口についた猿ぐつわを無理矢理ずらし、口を抑えようと手枷がついた手を持ち上げる。その時肘が左隣の人にぶつかり、グチャと言う音ともに生暖かい感触が肘を襲う。

つい反射的に顔を向けてしまうと、腕と右側の脇腹が壊死して、グチャグチャになっている顔に全く生気が無い大型の男性が目に入った。

耐えきれず床に吐瀉物を吐いてしまう。


なんなんだ、なんでこんなスプラッタな状況に身を置いているんだ。俺は平和な日本育ちではなかったのか?


吐き気が収まらず泣きながら吐いていると、馬車の前方、さっき聞こえたどこの言語の言葉かわからない声がした所から中肉中背で三白眼の男が立ってこちらへ歩いてきた。


「Ксжвж,JeIE ксж !」


発音自体はロシア語に似ているが全くなんと言ってるかは、わからない、ただ不機嫌そうな顔で怒号をぶつけて来ている日系人っぽい顔の男が顔面を思いっきり、殴ってくる。


「痛った!クソ何すんだよ…」


自分が発した声は、幼い発達途中の少女が発するような高い声であった。

やはり子供化している上にTSしているみたいだ。

殴られた衝撃で後ろの背もたれになってる部分に頭をぶつけさらに痛みが走る。するとまた頭の中に音が響いた。


《スキル 痛覚軽減 言語翻訳 吐き気軽減 を習得しました。開示ステータスに追記します。》


音声が消えたあと、全身を組まなく走っていた、鈍い痛みが和らぎ、殴られた痛みもましになった。

さらに先程見た状況に対する吐き気も何処かへ消え、若干気持ちわるい程度まで抑える事ができた。

少し落ち着きを取り戻し、顔を持ち上げる、すると男はさらに不機嫌そうな顔になり


「イノセンス如きが!汚ぇ面みせやがって。とっととくたばれよクソが」


と、日本語で喋ってきた。これが言語翻訳の能力か、通訳いらずでいいかもな。

そんな事を思い男を見上げていると、また男は殴る体制になり、堪えようと俺はグッと、目を瞑った。


その瞬間前方、男がきた場所から別の男の声だと思われる、大きな声が聞こえた。


「おい!ゼナース戻ってこい!ヤバいぞ!魔物の群れだ!」




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