表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/58

8話 食堂でのいざこざ


「そんじゃ、頂きます!!」

「「頂きます!!」」


みんなで手を合わせてからご飯を食べ始める。

今いるのは1階の食堂だ。そこに全員が集まっている。

6人座れるテーブルが5つあり、2、1、2で置いてあるのだが、俺達は入り口に近いテーブル2つと隣の1つに4人ずつ分かれて座っている。

この島に連れてきたのは11人で2人は回復カプセルにいるから、今食堂にいるのは俺達を含め12人だ。


ちなみに、今日のメニューはカレーライス(甘口)だ。

残念ながら食材がないので材料を[どこでも売買機(料理)]っていう食堂に置いた機械から購入した。

これは食材から完成した料理まで購入できるものだが、今回は材料を買って作ることにした。

その方が使い方を覚えてもらえるだろうし。

みんなの前で色々説明しながら蜜柑と二人で作ってたんだけど、途中で何人か手伝ってくれた。

食べたことのない物(特にカレールー)にちょっと不安そうにしてたから気に入ってもらえるか俺もドキドキしてたんだけど...


「なんだこれ、ピリッと辛くて美味い!!」


美味い美味いと誰もが喜んで食べている。

うん、やはり手作りは美味い! 特に女性達が作ってくれたので尚更そう感じる。

甘口で作ったのだが大体の人がこれでもちょっと辛いらしい。

中にはもっと辛い方がいいという人もいるが。


「もぐもぐ...マチルダさんとルミナスさんは食堂で働きますか?

なかなか料理作るのも上手だしいいと思うんだけど」


俺がそう聞けばなぜか驚く二人。なんでだ?

不思議に思っているとマチルダさんが戸惑いながら言った。


「いいのかい? 女の私が料理を作るなんて...」

「え? 俺達がいたとこだと女性が料理するのって普通のことですよ。

マチルダさんは料理上手だし、ルミナスさんは料理作るの好きそうだし、よければお願いしたいです」


俺がそう言えばマチルダさんは「やだねー、それじゃ頑張っちゃおうかね~♪」なんて嬉しそうに笑っているし、ルミナスさんも照れたようにはにかんで笑ってくれる。

そんなマチルダさんは40代くらいの茶色の髪と目のおばさんだ。

お母さんって感じの人だから食堂のおばちゃんみたいで良いと思う。


「...私は元娼婦だよ? そんな女の作ったもの、食べれるのかい?」


ルミナスさんの娼婦って言葉に驚いたが、確かに痩せて髪も色褪せてしまっているがすごく美人だ。

ほとんど白髪に近い白金の髪に青い目がエルフみたいで儚げな感じで、病弱なお姫さまみたいだ。

うわっ、こんな美人がいる娼館じゃ誰だって通いつめるわ。

俺もぜひ行ってみた... ゴホンッ


「そんなの全然関係ないで...」

「この飯は娼婦が作ったのか!! そんなもの食えるか!!」


ガシャンッと突然、怒鳴り声と大きな音を立てて立ち上がったのはこの中で一番体格のいい男性だ。

それに続くように2人の男が席を立つ。その一人はロイだった。


「あんたには感謝してるが娼婦の作ったものなんて食えない!

どうしても娼婦に飯を作らせたいなら帰らせてもらう!!」

「そうだそうだ! そんな汚れた飯が食えるか!!」


男性達の言葉の意味が分かず、 あまりの剣幕に圧倒されて俺は固まってしまう。

そんな中怒りの声を上げたのは蜜柑だ。


「なんですかその言い方!!」

「俺達は当たり前なことを言ってるだけだ!」

「そうだそうだ!! 他のみんなだってそう思うだろ!!」


男の言葉に場が静まり返る。

誰もが目を伏せ言い返さないのを見ると、男の言葉が事実なのだと思える。

あんまりな状況に思わず声を上げようとすると、


「そーか、そんなに嫌なら帰りや」


そう神が言ったと同時に男達2人の姿が消える。

突然のことに驚いたのは俺だけではないはず。

座る人がいなくなった椅子と食べかけの食事だけが置かれている光景はなんとも言えないものだ。

残されたロイはキョロキョロと辺りを見回して、気まずいのか席に座って俯いている。


ど、どうしようこの空気...


しんとなる場で誰も言葉を発しない中、一人の声が響いた。


「...ごめんよ私のせいで、私も帰った方が...」

「いいえ、ここにいて下さい」


震えるルミナスさんの言葉に蜜柑は優しく言った。

それから今いる全員を見回しながら明るい声で言う。


「ここに来る前に何をしていたかなんて関係ありません。

前の辛かったことは忘れてここでもう一度人生をやり直しましょう」


その笑顔と言葉に大人達は涙を流した。

嗚咽の響く中、少年は俯いている。

状況が分からないのかルルちゃんはキョロキョロしていた。


みんな何かしら辛いものを抱えているんだろうな...

そう思うと何とも言えない気分になった。



蜜柑ちゃんが男前で柚希が目立たないですね。

柚希の恋愛も入れてあげたいんだけど...難しい...

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ