51話 魔人
回復飴ってすごいよな、舐めただけで擦り傷とか綺麗に治るんだから。
少女に噛まれた左腕は彼女の犬歯で穴が空いていたが、その跡は綺麗になくなっている。
「ほんと、回復飴ってすげーな。みんなには渡してくれた?」
「ちゃんと配りましたから、安心して下さい」
「ったく、何やってんだよ。噛まれるとかどんくさいっつーかなんつーか」
ネアが苦笑いで答え何故かライゼに馬鹿にされムッとしたが心配してくれてんだよな。...でも腹立つ。
「すごいのは柚希だよ! あんな子供抱き抱えてたんだから!」
「へ?」
「...あの子人間と魔物のハーフだよ、普通なら気味悪がって近付きもしないと思う」
イルの言葉に首を傾げると、困った顔をしながらネアが説明してくれた。
あの子、人間と魔物のハーフなの!? いや、確かに角とかあったような...でも獣人とかいるし気にしてなかった。
「...はぁ、その顔じゃ気付きもしてなかったみたいね。本当、柚希らしいわ」
「僕達獣人も魔人って警戒するもんだよー、だって魔物恐いし!」
「そうそう! 恐いよね!」
疲れたように呟くルミナスさんに自己主張するようにぴょんぴょん跳ねながら言うチュチュ達兄弟。
何か最近「柚希らしい」ってよく言われるんだが、褒め言葉だよね?
後チュチュ達可愛い。
あと魔物とのハーフを魔人って言うのか。ふむふむ。
「別にハーフだからと差別されているわけじゃないぞ。実際に殆どの魔人は魔物の血のせいで気性が荒く、手がつけられない者が多いからな」
「...そうなのか、んー... あの子ここでやっていけるかな?」
「...どうだろうな」
リアーナの話しを聞いて不安になる。
あの村が襲われてた理由って分かんないけど、もしかしたら魔人だからってのも関係あるかも知れないな。
今思い出すと神が連れてきた人ってあの子みたいに角生えてたり鱗あったりしたし。
魔物の血で気性が荒いんじゃみんなと暮らしていけるのかな? そういうのって難しそうだよな...
「...それにあの顔だものね」
「あれは正直ビックリしたよ、色んな人種を見てきたし火傷や拷問を受けた人間も見たことあるけど...慣れてない人にはきついだろうね」
「「「あの子こわーい!」」」
「...申し訳ないけど、私もだめです」
「私も」
え? ちょっ... まさかの顔無理発言!?
ホリーの言葉にチュチュ兄弟とルルちゃん、それにラヴィやリリスまで頷いてる!
確かにあの子、左右で違った顔してるけどそんなそこまでは... 左側が緑目で茶色髪をおさげにしてる普通の女の子の顔で、右側はズルッと垂れたような感じっていうか...皮膚が緑色して鱗もあって固そうだったな、目は皮膚で隠れちゃってたけど。
...ってかネアだけコメント恐っ!! 元暗殺者だっけ? やっぱ裏の世界は恐い...
「なんだいみんな、子供相手に何言ってんだい! どんな子かも分かんないのに見た目だけで決めつけるもんじゃないよ!」
「...そうだな、マチルダ殿の言う通りだ」
さすがマチルダさん、昔は痩せすぎなくらいだったけどここでの食事で貫禄が出てきただけはある!
みんな困惑した顔してたけどリアーナと二人のお陰で頷いている。
「ははは、あたしだってねぇ昔なら魔人だって聞いたら関わんなかったよ。けどね、ここに来てから色んな種族と知り合ったからね。見た目で中身は判断しないことにしたんだよ」
そう言ってウィンクした茶目っ気たっぷりのマチルダさん、カッコいいです。
熟女好きなら惚れちゃってるんじゃないの?
「でもでもルルはね、あの子嫌い! お兄ちゃんの腕噛んだんだよ!」
「いやいやルルちゃん、あれは俺が悪いの! 家が燃えてたから焦って無理やり連れ出しちゃって」
「それでもめっなの!!」
あぁぁ、俺のせいでルルちゃんが勘違いしちゃってる!
そうだよな、事情知らなきゃ悪い子に見えちゃうもんな、ルルちゃんは俺に懐いてくれてるし余計にそう思っちゃうんだな。
俺がアタフタしてるのにホリーは暢気に「あらあら罪作りね柚希は」なんて言ってるし。
「確かにやり過ぎですよね! いくらパニックになってたからって子供だから仕方ないけど! やり過ぎだよ!」
「そうですよ! 魔人って毒持ちとかいるし結構危なかったんですよ柚希さん!」
「これからは気を付けて下さいね!」
イルがプンプン怒ってるしラヴィとリリスちゃんにも注意された。
ってか魔人って毒持ちとかいるの!? 回復飴があってよかった!




