49話 異世界は非情なり
「よし、捕まえてきたピンキーはこれで全て片付いたな」
「お疲れッス柚希さん」
「お疲れ様でした」
「お疲れー」
その場で踞る俺にみんなが声を掛けてくれたが返事はしなかった。
あの後何とかピンキーを殺したが罪悪感が半端ない。
よく異世界トリップした漫画や小説の主人公はあっさり魔物を倒せるな。
戸惑ってなかなか殺せない主人公もいるけどさ、さっさと倒せや! って思ってた自分を殴りたい。
無理、心が無理...
ライゼがニヤニヤしながらピンキーの首を地面に並べている。
おい、こっちに顔を向けるんじゃない! あの野郎、怯える俺を見て笑ってやがる!!
そんなライゼを見て呆れた顔をするホリーとリアーナに、怒った顔をするネアとウォルバンさん。トトはリアーナに見惚れている。
...お願いします、誰かそいつを殴って下さい。
目の前の樽にはピンキーの遺体が無造作に放り込まれている。それがまた心に刺さる。
それにさっきした会話が...
「...ピンキーの遺体さ、俺が埋めるよ」
「え? ピンキーの血にはたっぷり魔力が含まれてるから暫くはこのまま血を集めるわよ? それにピンキーって結構美味しいからおつまみに丁度いいのよね」
そう言ってパクりとピンキーの遺体を口に放り込みムシャムシャしてたホリーを思い出す。
...異世界とは非情なり。
そうしてライゼがリアーナに頭を殴られた頃復活した俺は、自分のレベルを確認する為に自分の国家カードを見てみるとLvが40になっていた。
...いくら4匹しか倒してないからってこれはない。
ライゼなんて1匹倒しただけでLv42になったんだぞ?
20匹くらい倒して今のあいつはLv71になってるし。
因みに他のみんなもここでの活動でレベルが上がっている。
ホリーは68から88、ネアは101から111、トトは72から93。
リアーナさんは224から228、ウォルバンさんは269のままだけど。
「うむ、これならライゼも連れて行けるな」
「うおぉぉーー!! やったー!!」
リアーナの声と喜ぶライゼの声が聞こえイラッとする。
くっそ~、俺は行けないのにライゼだけずるいぞ!!
「だが調子に乗るな。戦闘に関してはEランクの素人のままだからな、ピンキー相手に戦っても勝ち目はないしA級の魔物に攻撃されればひとたまりもない。十分に注意するように」
「分かってるって! やったぜ柚希!」
「...よーございましたね」
「そんな落ち込むなって! 俺って天才だから仕方ねーよ、俺って天才だ・か・ら!」
リアーナに注意されるが全く気にしないで俺の元にやって来たライゼは、キラキラした笑顔で俺に自慢しにきた。
イラッとするのでブスッとしたまま答えればニヤニヤしながら自慢され、すげームカついた。
「はぁ、調子に乗るなと言っているだろう。別にお前は天才でも何でもない、極端に柚希のレベルの上がりが遅いからそう感じるだけだ」
溜め息をつきながら呆れたようなリアーナの言葉に揃って項垂れた。
俺は異世界人だからレベルの上がりが遅い。分かってたことだけど人から指摘されると落ち込む。
ライゼは自惚れの自業自得だからどうでもいい。
そうしてくそ羨ましいことにライゼは物資調達隊のみんなと出掛けるようになった。
俺も冒険したい...




