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48話 レベル上げ



「柚希には色々と世話になってるからな、今日はレベル上げを手伝おうと思う」


鉱石について話し合った次の日、物資調達隊とライゼと俺で集まったのだが。

そう言ったリアーナの言葉はすごく嬉しいのだが、俺の目の前には傷だらけで瀕死の魔物が紐でぐるぐる巻きにされた状態でいた。



今俺がいるのは東門のすぐ側だ。

元々西と東に門は作っておいたんだけど鉱石採る為に北門も作った。後一応南門も作った。

北に魔石や鉱石が採れる山があるからね、西にも山や森があるけど、荷車引いて行くには何もない荒野の北の山の方が楽だからだ。

ほんとは俺が行って時計で整備すれば移動がもっと楽になるだろうけど、俺じゃ危険過ぎると拒否されてる状態だ。


んで、今いる東門の先には森がずっと広がってる。

山より森の方が魔物が弱いらしいし、色んな種類がいて今回この魔島で一番弱い魔物を捕まえて来たらしい。

あ、因みに南には海があるけどあんまりみんな行ってないね。

魚は? って思うかもしんないけど、ここの海は危険過ぎるらしい。だから魚はどこでも売買機頼りだね。



「さあ柚希、殺ってみるがいい」


そう言ってリアーナは剣を俺に差し出してくるが、正直気が進まない。

恐る恐る剣を受け取り魔物に向かって構えるが、血だらけで苦しそうに息をする姿を見れば躊躇する。


しかも魔物が、こんな小さな妖精だなんて...





俺の目の前にいるピンキーと言うこの妖精は、エルフに似た美しい容姿と背中に蝶の羽をもつ掌程の大きさしかない妖精だ。

普通は温厚な妖精でこちらが手を出さなければ攻撃してこないらしいが、この魔島に住む個体はここの濃い瘴気に当てられ凶暴化しているらしく、姿を見ただけで狂ったように攻撃してくるそうだ。

その攻撃は妖精らしく魔法が中心で風や水や地魔法を操り攻撃してくる。MPがなくなったり手で掴まれると噛みついてきたりもするらしいが。


そんな妖精さんが羽を毟り取られ体を血塗れにして、魔法が使えなくなる特殊な紐に縛られもがいてんだぞ!

攻撃できるか!!





「柚希さん何してんスか! 剣でブシュッとするだけッスよ!!」

「何モタモタしてんの!」

「早くしろよ柚希ー」

「柚希さん、頑張って下さい!」


剣を持ったまま攻めあぐねる俺に野次を飛ばしてくるトト、ホリー、ライゼ。応援してくれるのはネアだけだが...

だってこんな無抵抗な相手攻撃できるか普通?

しかもこんな可愛い妖精さんだぞ!? ほら、今も俺を鬼の形相で睨み付けてくる... 怖っ!!

呪われそうなその形相が怖過ぎる!!



「チッ 情けねーな柚希は。リアーナさん、俺に先に殺らせてよ」



ライゼはリアーナに剣を借り、一切の躊躇なくピンキーの首を斬り落とした。

コロコロと転がったその顔はなぜか俺の方を向いて止まった。

口から血を垂らしたその顔は憤怒の表情で俺を怨めしそうに睨んでいた。


「ギャアァァ!!」


「はぁ...情けないわね柚希は」

「らしいっちゃらしいッス」


悲鳴を上げる俺をみんなが苦笑いで見ていたのだが、俺はガクガクと震えていたので気付かなかった。


「おお! すげーレベルが上がった!」

「ライゼはレベルが低かったからな、弱いといってもBランクの魔物だしいい経験値になっただろう」


ライゼが嬉しそうに騒いでいるし、リアーナな納得したように何度も頷いている。

すごく気になるのでソソソっとライゼに近付いて小声で尋ねる。


「...え? どれくらい上がったの?」

「10だったのが42になった」

「マジで!?」


えぇ!? 無抵抗の魔物倒しただけでそれってすげー美味しいじゃん!

楽にレベル上がりすぎ!

俺も倒してみるか... そう思いチラリとピンキーの死体を見る。

ライゼのを見た感じだと首斬るのに全然力いらなそうだし一瞬で死ねるからピンキーを苦しませることもない。


や、やってみようかな...



「ピンキーってまた捕まえてこれる?」

「あぁ、まだいるぞ」


そう言ってリアーナが近くに置いてある箱を開けるとその中に、何十匹ものピンキーが詰められていた。


その視線が一斉に俺に向けられた。


箱の中という薄暗い場所で、幾つものギラついた瞳が俺を睨み付けていた。

その鬼の形相は恐ろしいなんてもんじゃなかった。

...トラウマ確定だ。



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