42話 リアーナさんとお喋り
「ウォルバンはどうだった?」
「結構元気そうだよ。リアーナさんからだって言うまでご飯食べてくれなかったけど」
「そうか、迷惑を掛けたな」
俺の話しを聞いてリアーナさんは困ったように笑った。
そんなに心配なら自分からウォルバンさんに言えばいいのに、謹慎させてから一言も会話してないらしい。
なんと言うか...二人共気難しい人だね。
「困ったことがあったら言ってよ? 俺だって蜜柑だって相談に乗るから。
むしろ3日も経ってから言うなんて遅すぎ。すげービックリした!」
恐ろしいことにリアーナさんはウォルバンさんが断食してから3日も経ってから俺に「様子を見てくれないか?」って頼んできた。
...遅すぎだと思う。
一食抜いただけで辛いのに何やってんの二人共!ってすげー思った。
「それについては悪かったと思っている。
流石のウォルバンもそのうち音を上げると思っていたんだ」
そう言ってリアーナさんは疲れたように溜め息を吐いた。
ウォルバンさん無駄に根性ありすぎだよな。俺なら1日ももたないぞ。
「なんだかなー、どっちもどっちな気がする。二人共さ、もっと肩の力抜いた方がいいよ。ここには身分なんてないんだからもっと気楽にさ」
「そうか、ここには市民も貴族もないのだな。...私達は少し威張り過ぎていただろうか、申し訳ない」
突然頭を下げてきたリアーナさんに驚く。今の会話のどこで自分が威張ってたと思ったの!?
「いやいやいや、威張ってなんていないって! 二人共騎士みたいでカッコいいとは思ってたけど。
あの獣人のみんなの前でした演説とか流石だなって思ったし! 俺がしても絶対締まらないから」
「そ、そうか?」
そう言ってリアーナさんは俯いたが耳が赤くなってるぞ。
珍しいなとちょっとにやついて見ていたようで睨まれてしまった。
「あのさ、ウォルバンさんから少し聞いたんだけど、リアーナさんってお姫様なんだってね」
「ほぅ、ウォルバンが話したのか」
「...あれ? やっぱ聞かない方がよかった?」
「いや、構わない。隠すほどのことではないからな。ただウォルバンが話したことに驚いただけだ」
「そっか」
普通身分は隠しておくものだからかな?
貴族だって分かったら狙われるかも知れないし危険だろうから普通は言わないのだろう。それを話したんだから驚いて当然か。それにウォルバンさんってそういうこと言わなそうだもんな。
少しは俺のこと信用してくれてたってことかな?
...単に弱音吐いただけかも知れんが。
「二人共硬いから如何にも貴族って感じしてたし、話しを聞いたときはやっぱりなって思ったよ」
「そ、そんな傲慢な態度をとっていたか?」
「いやいやいや、堂々としててカッコよかったよ。ってかリアーナさんにとっての貴族のイメージって傲慢なの?」
「私の周りの貴族はみんなそうだったな。周りの者は誰も信用できず虚勢を張って必死に自分を守っていた。油断をすればいつ殺されるか分からないからな」
おぉう、ネヴァル国の貴族殺伐としてて可哀想...
ちょっと貴族達に同情してしまうぞ。
「二人からはそんな感じしないけど?」
「隠しているだけだ。内面はなにも変わらないさ」
「外面に出さないことが大事なんだよ。どう思っていようとそれは人それぞれ自由なんだし、それを表に出せばいざこざが起こることもあるから。
リアーナさんとウォルバンさんも獣人があまり好きじゃなかったでしょ? でもそれを態度に出さず接してくれてたじゃん。訓練だって毎日してくれてるしなかなかできることじゃないと思うよ。私情を挟まないのすげーと思ったし」
「獣人を嫌っているとバレていたのか...表には出していないつもりだったのだが」
そう言って苦笑いするリアーナさん。
「なんとなく分かるよ」
気付けたのは俺が多分日本人だからかな、日本人は微妙な空気の違いが分かるって言うし。
「そうか... 流石は神の使いだな」
「いやいやいや、あの神の使いだけは勘弁を」
そう言ってリアーナさんは珍しく女の子らしい可愛い笑顔を見せてくれたが、本気で神の使いが嫌な俺はマジ顔だった。
そうして色々お喋りをして、今日は何て言う か、二人の意外な一面が見れる日だなと思った。
「そう言えば成人って何歳からなの? 今リアーナさんっておいくつ?」
成人の儀をしたって話しを思い出したので聞いてみれば
「殆どの国で成人は15歳だ。まだ誕生日はきていないし15のままだな。因みにウォルバンは20歳だぞ。
...ん? 柚希どうした? 柚希?」
自分と同い年という衝撃の事実に暫く固まった。




