4話 初めての町
賑やかな声に目を開けるとそこは大通りのようだった。
沢山の人が行き交う様子に目をキョロキョロさせて辺りを見回す。
西洋風の人々や建物はゲームのようで物珍しく、思わず感嘆の声を上げる。
遠くにはRPGで同じみな刺さったら痛そうな三角屋根の城も見える。
「ほれ、あちこちに浮浪者がいるやろ?」
神の言葉に初めて町の陰で踞る人々が目に入った。
虚ろな目をした者や倒れたまま動かない、生きているのかさえ分からない者もいる。
その姿に、言葉が出なかった。
「なんや、あんなん見ただけで情けないやっちゃな。
ほな、連れて帰れそうなの探すで」
神に手を引っ張られ浮浪者に近付く。
神は寝転がる人の顔を覗き見て「こりゃだめやな。死んどる」と淡々と言った。
そうやって人々を選別する姿を、俺は震える手で口を押さえて見ていた。
悲鳴が出そうなのか叫びたいのか自分でも分からないが、呻き声を必死で抑えた。
「こいつはまだ生きとるで。あ、こいつは頭イっとるから止めとき。
この男は大丈夫やな、足ないけど問題ないやろ」
神が同情することもなく、ただ淡々と事実を言って選別する様子を俺はただ呆然と見ていることしか出来ない。
そんな俺に突然声が掛けられた。
「お兄さんたち誰?」
突然の女の子の声に驚いて振り返るとそこには小さな少女がいた。
枯れ枝のように細く小さな体にボロボロの服を着て、酷く薄汚れていた。
その姿を見ただけで涙が出そうになった自分に自分で驚いた。
見ただけで泣くとか、失礼にもほどがあるだろ....
何とか笑顔を作り少女に返事をする。
「えっとね、お兄さん達は君達みたいな人に住む所を与えに来たんだよ」
「住む所? ここを追い出されるの?」
不安そうな少女に慌てて首を横に振って否定する。
「違う違う! お兄さん達にそんな権限ないから!!
ただ広い土地があってそこに君達を住まわせたいだけだから。出来るだけ希望にそうようなお家を作るよ」
「!! お家に住めるの!?」
「そ....っ,、いてっ!!」
少女が喜んで声を上げると突然尻を何かで叩かれた。
驚いて振り向くより先に怒声が響いた。
「嘘つきやろう!! そう言ってルルを売るつもりだろ!!」
「!? まさか! そんなことするわけないだろ!?」
新たに現れた少年は少女を守るように立った。
少年の手には小さな棒が握られているからあれで叩かれたのだろう。
その少年自体も少女のように薄汚れ痩せている。
「俺達はそんなことしないし、君も連れてくつもりだから安心してよ」
「!! 俺も売るつもりか!!?」
そんなことはしないと優しく説明しようとした俺だが少年から更なるツッコミが入る。
戦争のあるような世界だし警戒しているのは分かるが結構傷付くぞ。
「そのガキ共で全員か?」
ほとほと困っていると神が声を掛けてきた。
「え? あぁ、この子達も連れて行きたいけどまだ....」
「ほな行くで」
人の話しを聞かない神はあっという間に転移していた。