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24話 みんな獣人が嫌いですか?



「お帰りなさ...うわっ、獣人!!?」


俺達が帰ってきたことに気付き出迎えてくれたみんなが獣人を見て驚く。

その目に怯えや嫌悪があることに、俺はショックを受けた。

それなりに付き合ってきてみんな優しい人達だと思っていた。

それなのに、始めてここに来たときの自分達と同じような状態の獣人達をそんな目で見るなんて...

蜜柑はすぐに俺の元に来ると、前回と同じように車椅子を貸してくれた。


「っ、ほら男衆! ボサッとしてないで手を貸してあげな!」


いち早く冷静に戻ったマチルダさんが男性達に声を掛け、そうして歩ける人に肩を貸して運んでくれる。

他のみんなもそれぞれ思う所があるだろうが、協力して病院へと運んでくれた。




目と両腕のない完璧に犬な見た目の全獣人の彼を回復カプセルへ入れ、命に危険はないが耳が無くなっているウサギの尻尾付き半獣人の女性もカプセルに入ってもらう。

後、右腕が無く片足を引きずっている猫の耳をもつ半獣人の男性も回復カプセルに入ってもらった。



この世界の[獣人]の説明を少し。

獣人は誰でも知っての通り色々な種類の動物がいる。猫科にしても猫、虎、豹、ライオン、チーターとか沢山ね。

けどそれを大きく分けた2種類の呼び方がある。それが[全獣人]と[半獣人]だ。

[全獣人]は名前の通り完璧に獣の姿の人で、[半獣人]は人間の見た目に獣の部分がある人のことだ。

この半獣人は範囲がすごく広くてほんの少しでも人間の要素があれば全獣人じゃなくこっちになるし、稀に全く動物の要素のない人もいるらしいけど、親が片方でも獣人ならその人も半獣人になるらしい。



大きな怪我のない人達には回復飴を食べてもらった。

擦り傷や打撲、軽い病気なんかはこれで治せるからね。

みんなビクビクしていたのに、飴を口に入れた途端ニコニコ嬉しそうな顔をした。




「みんな痩せてるね。...それに誰も喋らないのはなんでだろう?」

「うん、すごい怯えてるしな。

...まぁ、人間に酷い目に遭わされて来た人達が、これだけ大勢の人間に囲まれたんだから無理ないかも...ちょっと反省する」


不安そうに聞いてきた蜜柑に答える。

今まで人間に酷い扱いを受けてきただろう人達を、いきなりこんな大勢で囲むなんて最悪だった。

そんなことも考えつかなかった自分の配慮のなさに呆れる。

自己嫌悪だ。まじへこむ...


「ごめんね、私は神様から次は獣人を連れてくるって聞いてたのに...」

「いや、しょうがな...」

「気にせんでええんやで蜜柑! 人間が獣人を嫌っとるなんて知らんかったんやし!」


俺と同じように落ち込んでいる蜜柑の言葉を受け、蜜柑が傷付いていることに気付き慌てて慰めようとした。

そんな俺の言葉を神が遮ってきた。

...うん、お前はなぜその情報を俺に寄越さなかったんだ?

そのせいで蜜柑が傷付いてんだろ。

俺が神を睨み付けるがスルーされる。

うん、イラっとするが大人な俺は我慢しますよ。


必死に蜜柑を慰める神を放っておいて残った人達に声を掛けることにする。


「はじめまして、倉橋柚希です。あっ、柚希が名前ね。

いきなりこんな所に連れて来られて混乱してると思うけど、みんなに危害を加えることはないって約束するから安心して!

...っていきなり言っても信用できないよな」


自分で言っておきながら前回のみんなもそうだった。

いきなりそんなことを言われて信用できないのは当たり前だろうと苦笑いする。


「これからみんなにはこのアパートに住んでもらうことになるから。

うん、大丈夫...かな?」


俺が指差したアパートを見てポカンと口を開けて固まる人々。

暫く待ってみるが誰も何のリアクションもしない。

どうしようか悩んでいると横から声が聞こえ振り向く。


「こんなことを言われては驚くのも無理ないだろう」


それはリアーナさんだった。

よく通る彼女の声に、先程まで呆けていた獣人達も視線を向ける。

彼女の少し後ろにウォルバンさんも立っていて、凛々しい二人のその姿が目を引く。


「信用できないその気持ちも分かるがここにいるほとんどの者が彼らに救われた者だ。

現に私もその一人だ。

彼は創造神アルトバーレ様の使いとして私達のように家を失った者を救っている。

だから信用せずとも彼の言葉に従ってほしい」


俺が神の使い... 物凄くショックだ。

うぅ... でも事実なのかも。言うこと聞いてるのは確かだし...

落ち込む俺に構わずリアーナさんの説得...いや、むしろこれは演説か?は続く。


「私も獣人に対して負の感情を持っていないわけではない。

しかし、アルトバーレ様が助けると決めたのならそれに従うだけだ。

私は貴方達をこのエルスイズの住人と認める!」


そう言った瞬間、拍手が起こり驚いた。

辺りを見れば町のみんなが渋々ながら、中には嬉しそうに彼らを迎えてくれている。

最初は呆けていた獣人達も戸惑いつつも俯いて笑っている。

そのことにリアーナさんの演説の素晴らしさを実感する。


...神のお陰じゃないよね?



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