21話 それぞれの家
「さて、アパートから出て自分の家を持ちたい人っている?」
みんながここに来て2週間とちょっと経ち、生活にも大分馴れただろう。
神がそろそろ次の浮浪者を集めたいと言っているのもあるし、このアパートの部屋数は24部屋しかない。
新しい人が何人来るか分からないから出来るだけ使える部屋は確保しておきたいと思い聞いたのだが...
「あたしはここでいいけど」
「別に移る必要なくね?」
なぜ他の家に移るのか疑問の声が上がった。
「近々また浮浪者を集めに行くみたいなんだよ。何人連れて来るか分かんないし...」
「ここから出て行けってのか!!?」
「私達に出て行けって言ってるのかい!?」
「ここさ住めなくなると困るだ!」
突然反発の声が上がって驚いた。
そんなつもりじゃないんだが、この手の話題はナーバスになるみたいだな。
「いやそうじゃなくて、家を別の場所に作ろうって言ってるだけだから」
「そう言って追い出すんじゃ...」
「結界外に家を移されるんじゃないか?」
「そんなことされたら魔物に殺されちまうよ」
うーん、なんかみんなおかしな方向に思考が飛んでるな。
刺激しないようにするにはどう説明すればいいのか悩んでいると、
「坊や達がそんなことするわけないじゃない。また只で家を作ってくれるんでしょ?」
ウィンク混じりでルミナスさんがフォローしてくれた。
「もちろん! 追い出したりなんてしないよ。
唯、このアパートには新しく来た人達が住むから何か問題のある人がいた場合、このままここに住むのは危ないでしょ。
それにここには監視のために色々置いてあるし。
だから出来るだけ別の場所に移って欲しいんだよね。
ここみたいにみんなで住める場所がいいなら同じようなアパート作るけど、要望があれば出来るだけ叶えるから言ってほしい」
ここには監視カメラとかあるからあんまり住んでほしくないんだよね。
この世界にも似たような機械が色々あってそれらも設置してるけど、みんなには詳しく説明してない。
言って隠れてこそこそ悪さされると困るし。
一応「皆さんがちゃんとここで生活をできるかどうか、このアパートに住む間は監視させてもらいます。だから自分の行動には気を付けて~」みたいに忠告はしたんだよ。
...だからこのまま住まれると罪悪感が半端ない。
「仕事は今まで通り続けてもいいのかい?
他の所に移るから辞めさせられたり...」
「できればそのまま続けてほしいけど、新しくアパートを作るならそっちでもやってもらわないとだめかな?」
マチルダさんの不安そうな様子に答えるが、アパートを作ることになったら両方の食堂をやってもらうことになるかな。
そしたら大変だよなー...
「食堂は今のアパートだけでいいんじゃない? こっちに食べに来てもらえば」
「そうだな、でもこっちのはカメラがあるしどうするか...」
両方に作るくらいなら蜜柑の言うように片方だけの方がいいだろうが、こっちにはカメラがあるんだよな。
どうしようか。
「で、どうする? もう1つアパート作るか一戸建て作るか」
「俺はどこでもいいぜ。今まで通りウォルバンと訓練できるならな」
「ルルはみんなと一緒に住みたい!」
最初に応えたライゼは場所に拘りはないようで、ルルちゃんはみんなと一緒がいいのか。
他の人はどうするのかと俺が目をやるとルミナスさんが応える。
「あたしもできればアパートがいいわね、なるべくここの近くで」
「ぼ、僕は出来れば一戸建てがいいです、あまり他人といるのは好きではないので。
で、ですがその、むっ、無理なら...いいのですが」
ロイさんは一戸建てがいいようだ。
そうしてそれぞれに意見を聞きアパート組と一戸建て組とに分かれた。




