19話 稽古をつけてもらう
「おはよう御座います」
「あらおはよう坊や、今日は何を召し上がるのかしら?」
「坊やは止めて下さいよー、えぇと、豚カツ定食で」
俺は9時ちょっと過ぎに起きて食堂に来ていた。
朝が早いスッダさんは6時頃に朝御飯を食べている。その前に起きなければいけないマチルダさんとルミナスさんは大変だ。
逆にルルちゃんは遅いときには11時頃に起きてご飯を食べている。ここでの生活にだらけ気味で心配だ。
でもそれもしょうがないか、浮浪者のときは不便で危険も多い場所での生活でほとんど眠れなかったらしい。
今は布団も暖かく優しい人達ばかりですっかり安心しきってるみたいだ。
だからルルちゃんも食堂係りだけどお昼から手伝っている。
「はいお待ちどお様ー」
「おっ、ありがとう。美味しそう~♪」
すぐにルミナスさんが豚カツ定食を持ってきてくれる。
この豚カツはリアーナさんとウォルバンさんが狩った猪型の魔物で、キャベツなどの野菜はスッダさんの畑で取れたものだ。
ソースは地球の豚カツソースなんだけどね。まだそこまでのソースは作れない。
結構自給自足が出来てきたな。
この食堂には既製品を買える[どこでも売買機(料理)]以外にも色々な物があって、時間停止の掛かった[時止め棚]があるからいつでも出来立ての状態の料理が食べられる。
これのお陰で料理する人の負担も大分減ってるだろうけど、マチルダさんもルミナスさんも朝早くから厨房で料理を作っている。
真面目だなー。
「頂きます!」
席に着いて俺と蜜柑用に作ってもらった箸を持って食べ始める。
猪似のイノックスの肉は少し癖のある味で女性陣には好かれないようだが俺には十分美味しい。
取れ立ての野菜もシャキシャキして歯応えがあり旨い!
「ご馳走さまでしたー」
「はい毎度、また来てね♪」
食器をルミナスさんに渡すとウィンクされて戸惑った。
女性慣れしてない男をからかうもんじゃねーぞ、全く。
多分赤くなってるだろう顔を精一杯しかめて俺は外へと向かった。
くすくす笑ってこちらを見ているルミナスさんのたちの悪さに苛立つが、ここでの生活が楽しくて仕方ない様子が伝わってきて文句も言えない。
そうして俺はアパートの裏手に来ていた。
何もないだだっ広い土の地面があるだけの場所だ。
ここでウォルバンさんとライゼが剣の稽古をしていたのだが、最近は俺も参加させてもらっている。
なんかやってみたくなったんだよね、まじでウォルバンさんの剣捌きがかっこよくてさー。
リアーナさんは一人で訓練をしていて、たまに相手をしてくれたりする。
魔法の訓練もたまにするが、俺はやっと指先に火が出るくらいは出来るようになった。
ライゼは火の玉飛ばしてるが。
なんか俺や蜜柑は異世界人なせいか魔力が微量しかなかったらしい。それがこの世界で生活するようになって、更に魔法の練習をするようになって少しずつ増えてきた。
この世界にいることで自然に増えるのがその人の魔力量らしい。
それはある一定で止まってしまうらしく、それ以上は訓練やレベル上げでしか上げられなくなるそうだ。
それも多分俺じゃ、大した量は溜まらないだろうって。神が言ってた。
チートが欲しかった...
「いくぞ小僧、次は腹を狙うから受けてみろ」
「!! ぐぁっ!!」
そう言ってすぐに踏み込んでくるウォルバンさんに反応したときには既に遅く、剣で受けることも出来ず腹を打ち付けられた。
「いっ...て~~~!! くっそ、早い!! 早すぎだろ!!」
「大分手を抜いたんだがな」
腹を押さえながらのたうち回る。
あれで手を抜いてるなんてありえねー!!
「柚希は全然だめだなー」
呆れたようなライゼの言葉にイラっとするが、既に俺よりライゼの方が強い。
まだ俺は鍛え始めたばかりだから仕方ない。
いずれは必ず抜いてみせる!
...抜けるよな?
ウォルバンさんって柚希のこと小僧なんて呼んでたんだね。
投稿する為に読み直して驚いた。
結構忘れてることあるから恐いです。




