13話 畑仕事
「これくらいの広さでいいですか?」
「んだ。あんまり広すぎても手入れが行き届かないだ」
美味しい朝御飯を食べて、今は色々建てた場所から少し離れた場所に来ていた。
これからスッダさんの為に畑を作るのだ。
もう少しのんびりしててもいいのに何かしたいって聞かないんだよねみんな。
やる気に満ちてて偉いよなー。
さて、畑を作る場所だけどあまりアパートから離れ過ぎると神の結界外に出てしまうけど、あんまり町の中心に畑があるのは交通の面からみて不便だろう。
だから結界が届くギリギリより手前に作ることにする。
俺は時計を操作して地面に[耕された土]を選んだ。
これだけであっという間に土が耕されてしまう。なんて便利な。
それからこの世界の一般的なシャベルや鍬、鎌などを出して小屋を設置してその中にしまった。
日本の物にしなかったのは使い慣れてる方がいいと思ったのと、いずれここでも作れるようになるかなーと思ったから。そういった職人さんがいればなぁ...
それから井戸も設置した。
魔法でも道具でも水を出す方法って沢山あるけど井戸はあった方が雰囲気出るしね。
農業機械はあれば便利だと思ったけど使い方がわからないし無理だ。
操作が簡単なものもあるからそのうち出すかもしれんけど。
それと念のため周囲に城壁を建てた。アパートやログハウスの周りからここまで大きく囲っている。
全て結界が届くギリギリにあるので安全地帯が分かりやすいだろう。
間違えて出てしまう人がでるかも知れないしそれを防ぐ為にも必要だろう。
外に出たい人の為に一ヵ所だけ城門も作ったから外に出ることもできるし。
神がいるけどもしもの可能性もあるし城壁は必要だろう。俺と神が出掛けてる間とか心配だしな。
神は自分がいなくなっても自分がいた場所は聖域になって暫くは魔物が入ってこれないって言ってたけど、
「普通の場所なら数ヵ月は持つやろがここは瘴気が濃いから数日~数週間くらいやろなー」って、数日って何日くらいだよ! 2、3日ならなんかあったら危ないだろ!!
そう思って不安になったから城壁作った。後で邪魔になったらすぐ撤去できるしほんと便利な時計だよな。
「はー、ほんとに便利な道具だべ。これじゃオラはいらねーか」
「いやいや、スッダさんがいないと他に農作物の世話ができる人いないですから」
冗談を言って笑うスッダさんに俺は苦笑いで返す。
他に畑仕事が出来る人っていないみたいだ。
ライゼ少年は手伝いくらいで村で育ててたジャモのことしか分からないらしいし、ロイさんはよく知らないって言ってたから。
「何を植えるんですか?」
「えっとな、ここはジャモで、そっちはキャツ、そんでここは...」
何を植えるのかスッダさんに聞くと答えてくれる。
ジャモとはジャガイモに似た作物で、キャツとはキャベツのような作物だ。
そのジャモをライゼが植えていく。さすが村で手伝いをしていただけあって早い。
その隣で俺はキャツを植えていく。
「大丈夫ですか? 僕も手伝いますよ」
「おっ、サンキューロイさん」
種植えなんてほとんどやったことがない俺はのろのろと遅いからね。
見かねてロイさんが手伝ってくれる。
ロイさんは商人の父親の元にいたため、商売については自信があるようだ。
だから何か店を任せたいと思っている。って言っても商売はもっとみんなの生活が安定してからだよなー。
だから暫くは畑仕事をしてもらうことになった。料理はしたこともないから無理そうだし。
「っつーかさ、畑なんか作らなくてもあの何とか売買機があれば好きなだけ買えるんじゃねーの?
そもそもお前のそれがあれば只で欲しい物が手に入るんだしさ」
作業をしているとライゼに質問された。
それに頭の中で整理しながら答える。
「あー、まずな、[どこでも売買機]は割高なんだよ、普通に買うより高い値段になってる」
「「「まじか!?」」」
ライゼだけでなくロイさんもスッダさんも驚いている。
[どこでも売買機]は配置した人間(俺)が何%か税をつけることができる。
その税分は俺の収入になるわけだ。
別になくても現金なんて必要ないし困らないが、安く物が買えるとみんなこれに頼っちゃいそうだし、あんまりこういうのに頼らないようにと10%の税をつけた。
神や蜜柑からも税はつけた方がいいと言われたからもある。
「それから、確かにこの時計なら幾らでも好きな物を出せるけど、あまりこういうのには頼りたくないんだよ。
人間って何でも簡単に手に入るとなったら堕落しそうだから」
「堕落ってのはよく分かんねーけど、...確かに何もしなくなりそうだな、だって畑仕事だって料理だって面倒くさいし」
堕落の意味は分からなかったようなのに俺が言いたいことをライゼはちゃんと理解しているようだ。
この辺りの話しは一応大人メンバーには言ってあるんだ。子供には難しいだろうと思ったから言わなかった。
だけどライゼはちゃんと理解しているから驚いた。
11歳なのにしっかりしてんな...って蜜柑も11歳だった!
ちょっと焦りながらも平静を装って続ける。
「それにこれは俺と蜜柑しか持ってないだろ? 神が盗難防止にって俺達にしか操作できないように作ったらしいから貸すこともできないし。
もし俺達がいなくなったらどうするんだよ。
ある程度の生活の基盤ができてないと生きていけなくなるぞ」
「...なんだよそれ、そのうちお前らどっか行くのかよ!
こんなとこ無理矢理連れてきといて放置かよ!?」
「ちょっ、落ち着けって!
もしもの話しだし、俺達には他に行くあてなんてないから出て行ったりしねーよ!」
突然怒り出したライゼに驚いたが、説明すれば納得してくれたようですぐに落ち着いた。
「紛らわしいこと言うなよ」
「全然紛らわしくなんてなかったけどな」
勘違いしたことが恥ずかしいのか、頬を赤くしてそっぽを向いて言うライゼに笑ってしまう。
こういう態度はガキっぽいよな。普段は無理して強がってる感じだけど。
こいつも色々あったんだろうな、親に捨てられたとかそういう感じか?
そう考えると可哀想な奴に思えて少しくらい優しくしてやろうと思い、からかい半分で頭を撫でてやれば嫌そうに手で払われる。
なので構わずグチャグチャにしてやる。
「汚ねーな!! 泥ついた手で触んな!!」
まじギレしたライゼにニヤリと笑ってやった。
農具の描写を一切していなかったことに後で読み返して気付いたり。読み返すのは大切です。




