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異世界で始める人生改革 ~貴族編〜  作者: 桐地栄人
〜第一章〜 幼年期
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第5話 スキルを使ってみた、そして何も起こらなかった・・・

 しばらく眠った後、お腹がすいたため目が覚めるとそこは豪華な装飾がされた天井がある部屋だった。

(くッ、フワァァァァ〜〜〜、フウゥゥゥ、よく寝たな……。

 やばいな、お腹すいたな、どうしようか。二十歳で泣き叫ぶのもちょっとやばいやつかな……。

 いやいや今更何対面気にしてんだよ! そんなものはとっくの昔に捨てただろうが‼

 よしいうぞ、泣き叫んでやるぞ、俺やってやんぞ!)

 自分で自分に突っ込むという痛い行動をしていたら、俺が目を開けたことに気付いたらしく、

「あらあら、レインたらお腹がすいたのね。

 今、おっぱいあげまちゅからね」

 そういい、昨日ソフィーと呼ばれた女性が裾をたくし上げる。

(お、おお! おおおお! お? 別に何も思わないな。

 まあ、それなりにはあるな、Dカップといったところだろうくらいにしか思わんな。赤ん坊だからか?それとも母親だからか?もしくは両方か?

 後、赤ちゃん言葉を女性が自分に対して使っていると考えると微妙に背中がむず痒くなってくる)

「けふっ、けふっ」(勢いよく飲んでたらむせた)

「あらあら、そんなにお腹がすいてたのね」

 そのあともしばらく母乳を飲んだ後、お腹がいっぱいになり、口を放す。

 そのままベビーベットらしきものに寝かされる。

「では、私はもう一度眠ります。何かあれば起こしてください」

「はい、奥様」

 そう言い残し母親は眼を閉じた。

(俺に母乳をあげるためにわざわざ起きてたのか?なんで?)

 そういう人もいるのだろう、と1人納得し、昨日見たスキルを1つずつ声に上げてみる。

「アー、アァーー」(MP上昇率大)

 もちろん声はでない。

「アーー」(神速)

「アー、アアアアァァァーー、アー、アアアアァァァー」(我が矛は最弱なり、我が盾は最強なり)

 発音はできなかったがスキル名を声に出していると何か不満があると勘違いしたのか、横の侍女らしき人は俺を抱えだし、

「よーしよしいい子ですねー」とあやし始めた。

(う、なんか恥ずかしい……)

 仕方がない、ここでやめるか。

 とりあえず三つほどスキル名を唱えてみたが、特に何も起こらなかった。

(MP上昇率大アップはあれだろ。

 レベルアップ時、ボーナスが付くやつだろう。これは想像がつく。

 次に神速はたぶん昨日のステータスのAGI 18(+36)ってやつだろうな。そうとしか考えられない。

 どっちもパッシブスキルか、楽でいいな)

 詠唱が必要だと急な時こんがらがってしまう可能性がある為、やはり常時発動型の方が楽でいい。

(次によー、あのよー、こんなこと俺だって言いたくねーんだよ?けどしかないよな?

 お前なんなの? お前だよお前!

 我が矛! なげーんだよ!

 パッシブだよね?お前パッシブスキルだよね?

 まさかいちいち声に出したりする必要のあるアクテェブスキルじゃないよね?戦闘中にそんな長い文章いえないよ?

 ピンチの時、「くっ、我が矛は最弱なり、我が盾はギャァーーー」ってなるよ?)

 ひとしきり突っ込んでやったところで少し落ち着き、昨日の助産師が少し離れたのを見計らってまたスキルを小さい声で出す。

「ァーァー」(魔力全吸収)

(……特に変化ないな)

「ァー」(無詠唱)

(これも特に変化ないな、だろうけど)

 これは今は詠唱を必要としてないのだから当然だろう。

「ァー、ゥー」(魔導王)

(――特に、変化は……ない、よな? ……うん、ない!)

 さすがに六個も唱えて何も変化がない(いくつかは明らかにパッシブスキルだが)と泣きたくなってくる。てか泣きそう。

 と思ったら、

「ァ、ァアアアアーーーーーー」

 突然何かが湧いてきて涙が出てしまう。

(え? 俺そんな泣き虫ではないぞ! 泣きそうではあるけども……。

 あ、赤ん坊だからか)

 二十歳の俺だったら泣くほどではないにしろ半泣きにはなるような出来事だったので、この体では耐えられなかったのだろう。

「奥様! 奥様! 起きてくださいませ!

 レイン様がお泣きになりましたよ!」

「う、う〜ん……? あら、あらあら本当だわ!

 よーしよしいい子でちゅね〜、下が濡れているわけでもないしお乳をあげたのはいまさっきよね? ではなぜ泣いてるのかしら」

「赤ん坊とはそういうものでございます。

お腹がすけば泣き、不快であれば泣き、気に入らなければ泣き、何もなくても泣くものでございます」

「あら、そうなの? 貴女がそういうならそうなのですね。

 よーしよし、いいこでちゅね〜」

(二十歳のいい年した男が赤ん坊プレイとか……。恥ずかしさで死ねる)

 しばらく泣いた後、急激な眠気に襲われそのまま意識を手放した。

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