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異世界で始める人生改革 ~貴族編〜  作者: 桐地栄人
〜第三章〜 成長期

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第109話 レインとプロウス

子ども達の立ち位置が決まった所でようやく親達の立ち位置も決まった。


結局本来の第一夫人である俺のお母様が一番左に立っている。

第二夫人のヒルデさんがその横だ。


(結局譲るんかい!)


何かあるたびに文句を言うヒルデさんなのだが、お母様の位置を取れたことは一度もない。


何のために突っかかっているのかよくわからない。

毎度付き合うお母様も大変だ。


俺らが並び順で揉めている最中にも既に街の方が普段より騒がしい声がここまで届いていた。


その大きな歓声からお父様の民衆からの支持の高さがわかる。


その声が近付いてきて途切れた。

丘の上にある城に行くための第一の門が開く。

その門を騎乗しながら潜るお父様の姿が見えた。


そのまま第二の門を抜け、俺たちが並んでいる場所まで移動する。

目の前まで来たお父様に、お母様がまず最初に口を開く。

「王都でのお役目、ご苦労様でした」

そう言って頭を下げたお母様に合わせて俺達も「ご苦労様でした」と声を合わせて頭をさげる。


「うむ。皆、お出迎えご苦労。変わりないか?」


そう言いながら馬を降り、まずお母様達に抱擁をする。


「はい。いつも通りでした」

「そうか、それは良かった」


それから一人ずつ夫人達に挨拶をした後、こちらにやってくる。そして小さい子の方からハグをして行く。

小さい子はそれぞれの侍女に抱かれていたり、手を繋がれている。


「おとうしゃま〜」


無邪気な笑顔でお父様に抱き付く小さな弟、妹を見ると微笑ましい気持ちになる。


一人一人に声をかけたお父様が今度は年長者の所にやってくる。


「お父様!お待ちしておりました!」


早速レイシアが喜びの声を上げ、抱き付く。


「おお!レイシア!久しいな!いい子にしていたか?」

「はい!お父様!お母様の言うことをちゃんと聞いて良い子にしていました!」


久しぶりのお父様にテンション上がり気味のレイシアが元気良く答える。


一つだけ言わせてもらえるならその言うことに「プロウス君と仲良くすること」を入れて欲しい。


次にお父様はプロウス君の前に立つ。


「久しいな、プロウス。元気だったか?」

「はい……お父様」


それに対して、プロウス君は元気があまり無い。


「そうか。勉学の方はどんな調子だ?」

「ぼちぼちです……」

(お通夜か!)


何だろうか。お父様とプロウス君の間にある微妙な距離は。

二年くらい前からこんな感じだった気がする。


(仕方ない。俺がいっちょ一肌脱ぐか!)


「ぼちぼちか。兄であるレインを見習って努力を怠るなよ。将来レインを支えられるようにな!」

お父様なりの激励をかけている。

しかし、プロウス君はまたしても元気なく頷く。


「はい……お父様」

「まあまあ、プロウスはプロウスなりに頑張ってますから。な!プロウス」


俺なりの激励をするも、プロウス君は無言で目を逸らしてしまう。


(あ、あれ?おかしいな……)

うまくカバーしたつもりだったのだが、何故か不機嫌にしてしまったようだ。


「まぁよい。そしてレイン」


プロウス君の態度に今はいっても無駄だとわかったのだろう。早々に諦め、お父様が俺の方を見る。


「お久しゅうございます、お父様!お元気なようで何よりです!」


気を取り直して俺も元気良く挨拶をする。


「お前もな。右腕はどうだ?」

「問題ありません!」


腕を折り曲げして大丈夫アピールをする。


「そうか、それを聞いて安心したよ。まあ細かい事はいい。元気にやっているなら何よりだ」


俺の肩をポンポンと叩きながら笑う。


「それとレイン。後で話したい事がある。後で私の部屋に来なさい」


笑いながらお父様は言う。しかし、目が笑っていない。真剣な話と言うことだろう。


「わかり……」「お父様!」


頷こうとすると横からプロウス君が割って入ってくる。


驚いてそちらを見る。

そこには、両手を握り締め、こちらを真っ直ぐにみるプロウス君がいた。


「お父様!僕もその話し合い、参加してもよろしいでしょうか?!」

「プロウス!」


悲鳴のような声をあげたのは先程から黙ってこちらを見ていたヒルデさんだ。


「ダメだ」


一触即発のその空気の中、お父様はバッサリと切った。


「そんな……」


プロウス君は唖然とした様子でお父様を見る。

俺はプロウス君の突然のお願いにビックリして動けない。


「お前にはまだ早い。あと八年待て」


八年ということはプロウス君が十五になる。つまり成人だ。大人になってからにしろ、と言っているのだ。


「ですが、レイン兄様は!」

「レインは特別だ」


なおも食い下がろうとするプロウス君にお父様は断固とした態度を見せる。


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