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第2話

 ここは女神達が住む天上の世界。 人が絶対に立ち入れぬ世界。


「失礼いたします、女神様。 少々ご報告せねばならぬことが」


 執事服を着た男が頭を下げている。 その先には漆黒のドレスを着た女が1人。 この世界の女神であり唯一神でもある。 そして、人間からして見れば悪魔であった。


「へえ、何か面白いことでもおきたのかしら?」


 その言葉を受けて、執事は報告を始める。


「はっ、前回の戦の結果で、東の国に指定された略奪許可地域の1つにて、生存者が1名居るにもかかわらず、全滅した、との報告が上がっている地域がございます」


 女神は表情を特に変えず、「ふうん、それで?」と続きを促す。


「……故意に報告を歪めたのか、と疑いまして、調べてみましたが、どうもその子供は両親の意地で生かされたようでございます。 母親の仮死になる業で生命活動をとめられ、その上に両親が自殺し覆いかぶさる事で姿と、生命反応を辿る業をかいくぐったようです」


 女神の表情が少しだけ変わる。


「いかがいたしましょうか。 戦って生き延びた、逃げて生き延びたならまだしも、騙して生き延びたと言う事になりますゆえ……我らが出向いて殺「その必要はないわ」」


 女神が報告に割って入り声を出す。


「いいわね、良いわ! そういうイレギュラー、大好きよ。 それに条件が重なったとはいえ生き延びたことは評価できるわ。 最近の戦はただただ殺しあうだけで面白みなんか殆どなかったし」


 女神の声にすぐさま執事は頭を下げて手で指示を送る、『殺神部隊出撃停止』と。


「そうね、じゃあその子で遊びましょうか。 その子の名前はなんていうのかしら?」


 すぐさま執事は自分が用意しておいたデータを女神に提出する。


「スノウと言う少年ですな、外見はこのような感じです」


 白い髪の幼さがまだ残る少年が水晶玉に浮かび上がる。


「ふうん、なかなか可愛いじゃないの。 決めた、この子を世界の最後の楔にしましょう。 この子が死んだらこの世界を崩壊させてしまいましょう、もうこの世界は詰まらなくなって来たし、いい機会よ。 この子にも私の祝福をあげないといけないわね、ふふ、今の可愛いままでずっと居てもらうわよ……」


 そういって笑う女神の顔はまさに弱者をいたぶって喜ぶ歪んだ強者のそれだった。 見慣れているのか、執事は顔色を一切変えない。


「ではいかがいたしましょう? 2年ぐらい偶然を装って濃い経験を積ませつつ死なないように守護を行うほうが宜しいでしょうか?」


 女神はその執事の言葉に満足そうに頷く。


「そうね、あっさり死なれるのも興ざめよね。 3年間、3年間だけ守護してやりなさい。 そうして強くさせて、その後どこまで生き延びられるのかを楽しみましょう。 ふふ、詰まらなくなってしまったこの世界での最後の遊びだもの、少しぐらいはハンディをあげるのも面白いわ」


 執事は頭を下げ、「では、早速そのように取り計らいます」と言い残して退出する。 女神はスノウを映し出している水晶球を微笑みながら眺め続ける。


「ふふ、さあ最後の楔と自分の知らないところで決められちゃったスノウちゃん、せいぜい楽しませてね……貴方の死がこの世界の死よ……もちろん人間の誰にも教えないけど! アハハハハハハ!」


 女神は1人で笑い続ける。 その目には狂気と狂喜が浮かんでいる。 


────────────────────────


この日、この瞬間、スノウの知らない所で知らないままにスノウは、この世界で最後の楔にされてしまうことになった。 そして……スノウの逆襲が始まった日でもあった。 だがそれはこの時点では誰も知らない。 当人のスノウはもちろん、スノウで遊ぶと決めた女神にすら。

こっちの話は更新が遅くて申し訳ないです。

普段は時間が取れないのでもう1つの方で精一杯です(汗)。

後、話がどうしても一つ一つが短くなりそうです。

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