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弐
カラン
扉の上に付いている鈴が音をあげる。
建物内はクーラーが効いているのか、火照った体を冷やしていく。
目の前にあるフロントには誰も居ない。
しばらくすると、奥の方からパタパタと足音が聞こえてきた。
「大変お待たせしました。ご予約のかたですか?」
奥からは若い女の人。
笑顔で問いかけてきたので、予約していると伝えた。
「お待ちしておりました、バスもタクシーもなくて、大変でしたでしょ?お部屋までお荷物お持ちしますね?」
とても人当たりのいい笑顔と声。
彼女は荷物を持つと「どうぞ。」と誘導してくれた。
何処からおみえで?
何をしている方なの?
何歳くらいなんですか?
このホテルの事はどのようにお知りに?
他愛もない話しをしながら1階の部屋へ通された。
「ここで、ごゆっくりどうぞ」
扉を開けてもらい、中へ通された。
んー…他の部屋はなかったのかな?
窓の外には緑が広がっていて、景色も何もない。