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4   襲撃

「クロノさん!!結界を!!」

攻撃を防ぎつつ、クロノさんに指示を出す。

「わ・・・わかった!!」

戸惑いながらも結界の作成を始めるクロノさん。

「・・・」

「おっと、させねぇぞ??」

クロノさんを狙う襲撃者を弾き飛ばし、相対する。

「クラウソラス・・・」

黒い布で全身を覆った襲撃者が、低い女の声で忌々しげにつぶやく。

「(クラウソラスを知ってるのか)おい、お前・・・」

襲撃者は俺の言葉を聞こうともせず、再び攻撃してくる。

「・・・人の話を、聞けよコラ!!」

隙をついてクラウソラスを薙ぎ払う。しかし、紙一重で回避される。

「くっそ、あたんねぇ・・・」

クラウソラスは剣の部類で言う大剣。つまりかなりの重量を誇り、切れ味だけでなく重さと遠心力で絶大な破壊力を生みだす。が、対して相手の獲物は小太刀に似た刀二本。重量に大きな差があるため、簡単に避けられてしまう。

「流君!!結界ができたよ!!」

クロノさんが剣を構えながらこちらに来る。さすが勇者、早い。

「早いですね。」

「だてに勇者やってないよ。それより、どうして襲撃されたんだろうね??」

「さぁ、とりあえずそろそろ本気出していきますんで離れててください」

「・・・本気では、なかったというのですか」

初めて、言葉でのコミュニケーションが成功する。しかし相変わらず読めねぇ

「あたりまえだ、結界ねぇと見つかったとき大変だろ」

「・・・では、こちらも遊びは終わりにしましょうか」

そう言って襲撃者は黒い布を脱ぎ棄てる、その下にあったのは

「・・・やっぱり女だったか」

腰まである太い三つ編み。モノクルを付けておりどこか知的な鋭い眼光と執事服の様なドレスから、超然とした雰囲気を纏っている。その左目、その下には

「・・・魔族の刻印」

シャープな逆三角形に似た、禍々しい刻印が、目の前の女性を魔族であると証明する。

「ええ、おっしゃる通り、私は魔界のものです」

・・・何だろう。この女、なんか焦っている気がする。

「で??何のようだ。」

「あなたには関係のないことです」

うわ、つめてぇ。

「じゃあ何で襲撃してきたんだよ」

「・・・そこに勇者がいるからです」

「なんだその理屈」

「あなたには関係ないでしょう??」

「そうもいかねぇんだよ。こちとら体内に魔族飼ってるんでな」

」こら、誰が飼い猫じゃ「

「起きてたのかよ。つか猫とは言ってない」

ヘルは、実体化すると同じ時間睡眠(厳密には違うが)を取らねばならず、その間は右手の刻印も消滅する。

「その声・・・ヘル様ですか??」

」む??お前・・・グレアか「

「知り合いなのか?」

」知り合いも何も、私の教育者じゃ「

「へぇ・・・」

目の前の魔族・・・グレア??は小太刀を収め、こちらに近寄ってくる

「何処にいらっしゃるのですか??」

そして、俺をくまなく見つめ始める。何してんだ。読めん

」この男の中じゃよ「

ヘルは退屈そうにそう言うと、「また眠らねばならんのう」とか呟いてから実体化する

「ヘル様、お探ししました」

「む、そうなのか」

「おい、そろそろ話を聞かせろ、というか会話に入らせろ」

「あなたには関係ありません」

俺には冷たいな、グレアさん

「それがそうもいかん。この男は私の依り代。私の行動はこの男次第じゃ」

「・・・あなた、名は??」

「神谷流だ」

「流、ですか。私はグレア、グレア・エキドナと申します。ヘル様の教育係です」

「流君。私は帰らせてもらうよ。あまりここに長くいると怪しまれるからね」

クロノさんはそう言うと光に包まれて消えてしまった。

「それで、ヘル様。どうして流の体内にいらっしゃるのですか?」

「私にもわからん。気が付いたら、というのが一番的を射ておる」

「流。あなたはなにか知らないのですか?」

「残念ながら。俺もヘルと同じだ」

お互いに、どうしてこういう状況になったのか全く分からないのだ。

「グレア。お前は何か知らないのか??」

「こちらも、急にいなくなった。ということしか分かりません。」

どうやら、ホントに《いつのまにか》ということらしい

「ふむ、流。物は相談なのじゃが・・・」

「別にいいぞ」

どーせ、グレアを家に~とかだろ

「いいのか?」

「ああ。ただし、家事は担当してもらうが」

「良いでしょう。教育係の力。存分に発揮させてもらいます」

このさい一人や二人、変わらない

「さて、ついでに買い物して帰るか」

「流ー!!」

結界が解けたらしく、優とミアが駆けよってくる

「・・・魔族」

「勇者ですか」

お互いに正体に気付き、武器を構えようとする

「・・・って落ち着け!!どっちも仲間だ!!。ミア、こいつはグレア。ヘルの教育係だ」

「・・・グレア」

「そんでグレア、こっちのちっこいのがミア。ヘルの意思に賛同する勇者だ」

「ヘル様の・・・ですか」

「だから落ち着け。 とりあえず買い物だ。そろそろスーパーが閉まる」

時計を確認したが、もう夜遅くなっている

「ほら、急げ!!」


たしか、スーパーは10時にはしまっちまう!!










・・・その夜


「さて、流、説明してもらいましょうか??」

ちっちゃい金剛力士像こと優、そしてそのとなりで不安そうに見ているミア。そう、優先生の説教タイムである

「なにをだ?」

「たったの一日で二人も同居人増やすって、キミの頭は何がつまってるの?カレーでもつまってんの?」

「カレーパンの頭じゃねぇよ?」

「黙りなさい」

「はい、すいません」

あれ?優さん怖いぞ?

「しかも二人とも女の子だし」

「私は女の子と呼ばれる年ではありませんよ?」

「ごめんなさいグレアさん、少し黙ってて」

おお、グレアを一言で黙らせた、すごいな

「全く、ただでさえ体の中に女の子がいるのに、なんなの?ハーレムでも築きたいの?」

「そんなつもりはない」

これはハッキリいった。

「・・・まぁ、流がそんな男じゃないのはしってるけど。食費その他はどうするつもり?」

「親父達の遺産があるから問題ない」

そう、どうして俺が好き勝手出来るか、それは両親の遺産がちょっととんでもない額だからなのだ。日本まるごと買っても半分も減らない。なにやってたんだ親父達は。

「そうだったわね。じゃあ聞くけど、お風呂とかトイレとかどうするの?」

「共用でいいんじゃないのか?」

ぱしーん、叩かれた。というか撫でられた?位の力で

「バカなの?お年頃の女の子よ?それも三人。共用でるわけないでしょ」


「なんでだ?時間で決めれば問題ないだろ」

「そうもいかないの!女の子は!」

・・・どうやら優は「あれ」を気にしているらしい。大変だな、女の子は

「じゃあ、俺だけもうひとつの風呂を使うよ」

うちには大きな風呂の他に、小さめの風呂もある。母親がお風呂好きだったらしく、他にもあるらしいが、それはどこにあるかわからないので探してない

「・・・む」

なんだ?優が膨れっ面になったぞ、つつきてぇ

「流。ご飯の支度が整いましたよ」

グレアがお玉をもってキッチンから出てくる。この匂いはカレーだな

「優、続きは後だ。先ずはご飯食べちまおう」

「む、仕方ない・・・」

どうやらお腹は空いていたようで、そう言うとすぐに席へと付く。

「今日はカレーライス・・・」

やっぱりか。うむ、いいにおいだ

「・・・と見せかけて肉じゃがです」

・・・なに!?

「流は嗅覚が良いようでしたので、騙そうと思いまして」

「性格がねじ曲がってやがる!!」

ってことは、そのためにカレーを作ったのか!?

「しかし、そのためにカレーを作るのはもったいないので、明日の仕込みとしてスパイスを調合するだけにしておきました」

「しかもそう言うとこだけ要領いいな!!」

くっ、何も言えないじゃないか!!

「さて、悔しがる流を存分に楽しんだところで、いただきましょうか」

このドSが!!

『いただきます!!』

ジャガイモがほくほくで、かなり美味しい。

味がしみ込んでるなぁ・・・

「ちなみに、流の分だけジャガイモの芽を大量に入れておきました」

「何してくれてんだこの野郎!!」

最低じゃねぇか!!

「嘘です」

「ほんとに性格ひんまがってんなぁ!!」


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