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幻想タロット〜魂の旅路〜  作者: いもたると


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「それでも、僕等は君たちと交流することを諦めなかった。君たちがいつか気付いてくれるように、魔術を残したんだ。でも、キリスト教の力は強かった。キリスト自身は魔術師だったのにね。どうしてそんなに意外そうな顔をしているのかな?そうでなければ、死者を生き返らせたり、ただの水をワインに変えたりなんてことは出来ないと思うけどね。それに、もちろん、死後三日が経ってから復活するなんてこともね。まったく、ヨーロッパにキリスト教が広まって以後の魔術師たちは大変だったよ。みんな教会に隠れて魔術を行なっていた。マリア像を拝む振りをして、別の女神を拝んでいたんだ。君も知ってのとおり、ヨーロッパ各地には黒い肌をしたマリア像がある。あれは、エジプトからやってきた女神をキリスト教の中に巧妙に隠し込んだものだ。もちろん、魔術を学んだ君なら、女神が何を意味するかはわかるね」


 私は、こいつが悪魔ではないかという考えを持ち始めていた。


 私は魔術の実践によって、悪魔と繋がってしまったのではないかと思い始めていた。


 だが、こいつの口から女神という言葉が出てきたことで、その考えを消した。


「悪魔などというものは、僕等からは最も遠いものだ。むしろ君たち人間に近いよ。残念ながら、君たち人間はいつも魔術を悪魔と結び付けるね。魔女狩りなんて際たるものだ。あんなことをして、悪魔どもはさぞかし喜んだろうけど、僕等は悲しかったよ。ようやく、近代になって、エリファス・レヴィとかが出てきて魔術を復活させてくれた。現代の日本にも、君のように魔術を行なってくれるものたちがいる。やっと僕等は君たちとの繋がりを取り戻し始めているんだ」


 さっきからずっと、こちらが考えることは筒抜けのようだ。


「でもさぁ、君は随分と成績悪いよ。魔術も正しく使わないし。ここだって、僕は日曜日に来てって言ったんだよ。なぁんで土曜日に来ちゃうかなぁ」


「生徒が一人いなくなったんだよ。君が出て来た絵を描いた生徒だ。どうして君は絵の中から出て来れるんだ?あの子について、君は何かを知っているのか?」


 その質問には答えずに、そいつは続けた。


「それ、関係があるの?君に。派手な格好した女子高生が一週間家に帰っていない。連絡も取れなくなっている。そのこと自体は立派な事件かもしれないね。でも君はその子の担任でもないし、クラブの顧問でもない。違うかい?そもそも、どうして君がそのことを知っている?君はその子の心配など、これっぽっちもしていないよ。君はただ、憧れの美術の先生を手に入れたいだけだし、年上のガールフレンドとの関係を先生を知られたくない。でも、先生を手に入れたら、ガールフレンドとの関係はどうするの?うまく解消出来ればいいなと思ってる。そのために、魔術を使おうと思ってる。先生を手に入れるためにも魔術を使って、ガールフレンドと別れるためにも魔術を使おうと思ってる。それで世の中万々歳だ。娘が卒業したら、君とガールフレンドとの接点は完全になくなる。先生と結婚をして、幸せな家庭を築く。完全なハッピーエンド。They lived happily ever after. 完璧なお伽話だよ。でもね、君は魔術を正しく使わなかったんだ。その代償は払わなくてはいけない」


 代償?娘がいないなったことがその代償なのだろうか?しかし、娘は関係がないはずだ。


 先生に嫌われるとか、ガールフレンドに会えなくなるとか、そういうことなら分かるが。


「どういうことだ?私は恋の魔法を使っただけだ。こんなのは、古今東西、誰もがやってきたことだ。好きな人がいるんだ。そのために魔法を使って何が悪い?」


「それはどうやって証明する?君が認識しているものを、他人も認識しているとどうやって証明するの?」


 私は時間の経つのも忘れて、そいつとの会話にのめり込んでいたが、急な物音にハッとして我に返った。


「……生?先生?」

「あ」


 美術の先生が来ていた。そうだ、お茶を飲みながら話を聞くということで出ていったのだった。


「どうしたんですか?なんか、一人で熱くなってらっしゃったようですけど」

「えっ!?あ、いや」


 私はピエロがいたほうを見た。もしかして消えてしまったのかと思ったが、ちゃんとそこにいた。顔をニヤつかせながらフワフワと浮かんでいる。


「だから言っただろう?どうやって証明する?」


 やけに嬉しそうにこちらを見てくる。そうか、こいつは私にしか見えないのだ。


「あの、ここのママさん、タロット占いもするんですよ。それで気になってさっき見てもらったら、十三番のカードが出たって。十三番って、普通、死神のカードじゃないですか!ママさんはちょっと特殊なカードを使ってるから、そんなに悪い意味じゃないって言うんですけど、なんだか不吉で……。私、ママさんの知り合いの人のところに一緒に行って来ます」


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