表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/3

第二話『氷と光のレシピ ―如月拓真、異世界アイス屋始めました―』

ここは、魔術の世界ラグネス。


雪が空から降りしきる朝、大学生・如月拓真は、突如としてこの異世界に召喚された。

だが、召喚された理由も、帰る方法もわからない。


手がかりのない異界で、彼が最初に手にしたのは――洗い物係としての仕事、そして、ひと皿の氷菓子だった。


銀髪の魔女ノアと出会い、冷たい雪の中、甘いアイスを分け合いながら、

拓真は少しずつ、この世界に自分の居場所を見つけていく。


これは、

異世界の料理と、

少年と魔女の旅の、

はじまりの物語。

――ぱしゅん。


朝の帳を裂く氷の破裂音が、ラグネスの白い空気を震わせた。


屋台裏の土間。

如月拓真は袖をまくり、銀の器を丹念に拭き上げていた。

冷たい井戸水で洗った器は、手の熱を奪うようにひんやりしている。


「水、冷たすぎ……。井戸に熱線ヒーターでも付けたいわ」


拓真のぼやきに、ノアが首をかしげる。


「ヒーター?」


「えーと、火と土の魔術で作る即席温水器みたいなもん。あったかい水が出るやつ」


「面白そうです! あとで組成式、教えてください!」


ノアは氷晶核を転がす指を止めずに、にっこり笑った。

掌の上で、小さな氷の核が、青白い光をほのかに灯している。


昨日の夜、異界召喚の失敗で呼び出された拓真。

未だ心は完全には馴染めないが、こうして目の前の作業に没頭していると、妙な安心感があった。


屋台のカウンターには、今日の材料が並んでいる。


朝露を吸ったばかりのベリー。

斑雪色に染まったミルク。

瓶詰めの甘い根菜シロップ。

そして、研ぎ澄まされた刃のような透明結晶。


「今日は試作で『ベリー&コールミルク』を作ります」

ノアは真剣な顔で言った。


「比率は昨日より水元素を一割下げて、保形を優先です」


「はいよ先生。俺は盛り付け係ってことで」


拓真は軽く指を鳴らして応じた。


銀の器に盛られた薄紅色のシャーベットは、朝の陽を浴びて、ほのかに虹色を返す。

拓真の指がそっと触れるたび、氷面に淡い霜の花が咲いた。


吸い込んだ空気は、ほんのりと甘酸っぱい。


「……うまそうっていうか、芸術品だな」


拓真が呟くと、ノアが照れたように笑った。


「えへへ。そう言ってもらえると、千年魔術師冥利に尽きます!」


「――千年、か」


言葉にしてみると、その時間の重さに、現実感が一瞬で剥がれ落ちた。


そのときだった。

屋台の前、雪煙を蹴立てて駆けてくる小さな影たちがあった。


「ノアさーん! 今日も新作あるのー!?」


元気な少年の声。


ノアは手を止め、ぱっと顔を上げた。


「はい、今日は特別なベリー&コールミルクですよ!」


すると、子どもたちの視線が拓真に向く。


「……あれ? お兄ちゃん、誰?」


少女が不思議そうに首をかしげる。


器を拭いていた拓真は、銀布を肩にかけながら笑った。


「助っ人だよ。名前は如月拓真、職業・洗い物係ってとこ」


子どもたちが顔を見合わせ、そしてぱっと明るい声を揃えた。


「しあわせの氷菓子、くださいっ!」


小さな手が器を受け取ると、そのぬくもりが拓真の掌に残った。


――こんなにも、温かいんだな。


東京の満員電車では、誰かの手の温もりなんて、一度も感じたことはなかった。


子どもたちに氷菓子を配り終えたころ、陽はもう屋根の上まで昇っていた。

拓真は洗い終えた銀器を整えながら、ふと屋台越しにノアを見た。


「なあ、そろそろ行くんだろ? 詰め所ってやつ」


「はい。拓真さんの仮登録、今日中に済ませないといけないので」


ノアは真面目な顔で頷くと、ふと何かを思い出したように手を叩いた。


「あ、そうだ! せっかくなので……アイス、持っていきましょう」


「職員さんたちに?」


「はい。朝から働いてる皆さんに、ちょっとしたおすそ分けです!」


ノアはにっこり笑った。

その無邪気さに、拓真も自然と笑みを浮かべた。


「……いいね。持ってこ」


残ったベリー&コールミルクを、小ぶりな保存瓶に詰める。

氷晶核を仕込んだ特製瓶は、持ち運びの間も温度を保ち、シャーベットをきれいに凍らせたまま維持できる。


銀色の風防を羽織り、二人は屋台を後にする。


ラグネスの朝は、まだ肌を刺すように冷たい。

白い息を吐きながら、舗装もない雪道を歩く。


道端の柵には、昨夜の吹雪で吹き溜まった雪が小山のように盛り上がり、子どもたちの遊んだ足跡が無数に刻まれていた。


やがて見えてきたのは、村の中央に建つ、石と木でできた平屋建て。


扉の上には、無骨な文字でこう刻まれている。


【ラグネス治安局・北分室】


ノアが軽くドアを叩いた。


「失礼しまーす!」


中から、がたん、と机を引く音がしたかと思うと、

熊のような大男がのそのそと現れた。


「おお、ノア嬢か。……ん? そちらの若いのは見慣れないな」


大男――分室長レネ・グラフは、顎に生えた灰色の髭を撫でながら、拓真を訝しげに見つめた。


ノアはすぐにぴしりと背筋を伸ばす。


「昨日……少し失敗しまして。召喚術で呼んだ使い魔さんが、人間の方だったんです」


「はぁ!?」


レネの顔がぐにゃりと歪んだ。


拓真は苦笑しながら保存瓶を差し出した。


「ま、まずは……これ、ノアが作った新作アイスです。お仕事中に、どうぞ」


「……アイス?」


レネは訝しみながら瓶を受け取ると、恐る恐る中を覗き込んだ。


ベリーの紅とコールミルクの白が渦を巻く、美しい層。

透明な結晶が陽光を受け、きらきらと輝いている。


レネは柄に似合わぬ繊細な仕草で、指先に一匙すくい、口に運んだ。


一拍、二拍。


ごくんと音を立てて飲み込んだレネは、まるで子どもみたいに目を丸くした。


「――うまっ……!」


「あはは。よかったです!」


ノアは胸を撫で下ろした。


他の職員たちも興味津々に集まってきて、瓶の周りに列ができる。


職員C「え、なにこれ、めっちゃうまい」


職員D「今日、甘いのなかったから助かるー!」


屋内には、一瞬にして甘い香りと、和やかな空気が広がった。


レネは咳払いをひとつすると、改めて拓真をまじまじと見た。


「――それで? 異界召喚事故だって?」


ノアが深く頷き、状況説明を始める。


説明には三十分を要した。

その間も、机の上ではアイスがちみちみと消費されていった。


説明がひと通り終わったころ、レネは深々とため息をつき、机の上の書類を乱暴にかき回した。


「要するに、異界召喚の事故……だと。前例がねぇ」


レネは眉を八の字に寄せながら、ごつい指で一枚の札を引き抜いた。


「……ま、いまさら送還なんてできやしねえしな。とりあえず仮登録だ」


ごとん、と机に置かれたのは、拳大の氷晶札だった。


表面にうっすらと魔術刻印が浮かび、かすかに冷気を漂わせている。


「これを持ってろ」

レネが言う。


「空属性の魔力で本人認証をする札だ。身につけていれば、魔術庁の検知網に『登録済み』って認識される」


拓真はそれを手に取り、じっと見つめた。


透き通る氷の中で、わずかに光の粒が泳いでいる。

まるで、空の小さなかけらを閉じ込めたようだった。


「……スマホのマイナカードみたいなもんか」


ぽつりと呟くと、レネが顔をしかめた。


「……何語だそれは」


「こっちの世界の辞書、マジで欲しいわ……」


拓真は苦笑しながら、札をポケットにしまった。


だが、登録にはもう一つ、必要な手順があった。


「基礎体力の計測がいる」

レネが立ち上がる。


「この国じゃ、外来者の体力を測っとかないと、後でトラブルになる。……ついてこい」


分室の裏庭に出ると、そこには一本の木柱と、鉄製の重りが吊るされた装置があった。


「これが“筋束計”。ぶら下げ槌を水平まで持ち上げられたら、魔族避け用の鉄柵を持ち上げられるって指標だ」


拓真は見上げた。


高さ二メートル。

重りは、いかにも「これ無理だろ」と言わんばかりの鈍色の塊だ。


「見た目、昔のパワー測定マシンみたいだな……」


手のひらをぐっと握る。

再構築された身体は、昨日の凍えた夜が嘘のように軽かった。


ノアが、そっと声をかける。


「無理しないでくださいね……?」


「いや、どこまでいけるか、試すだけだ」


拓真は握り棒を握り直し、深く息を吸い込む。


一瞬、世界が静かになった気がした。


そして――


ぐっ、と力を込める。


思ったよりも、あっさりと。

重りが、ぐい、と持ち上がった。


「――っ」


鉄鎖ががしゃんと大きな音を立て、重りは軽々と水平を超えた。


裏庭を渡る風が、一瞬、ぴたりと止まった。


レネが、見開いた目で拓真を見る。


「……おい、嬢ちゃん」


「は、はいっ?」

ノアがびくりと肩を跳ねさせる。


「お前、またとんでもねぇの連れてきたな」


計測盤の針が、“規格外”の領域でびりびり震えている。


拓真は首を傾げながら、腕を回した。


「え、そんなに重かったの? ……高校の部活で死ぬほど筋トレしてたから、かも」


ノアがぱちぱちと瞬きを繰り返す。


「高校……?」


「うちの世界の学校のこと」


ノアの顔がぱっと輝いた。


「つまり、“再構築”の影響だけじゃなく、元々の鍛錬もあったんですね!」


「まあ……校内の握力測定で一位取ったことあるけど」


「握力……?」


「だから異世界語辞典が欲しいって……!」


拓真は天を仰いだ。


レネはぶっきらぼうに笑うと、拓真の肩をばしんと叩いた。


「よし、仮登録完了だ。如月拓真。これでお前も、正式な“村人見習い”だ!」


「いや、見習いって肩書き、地味に重いな……」


拓真が苦笑すると、ノアも隣で小さく笑った。


小さな石造りの分室。

そこに、新たな“異邦の名”が、静かに刻まれた。


分室を出ると、村の空はすっかり様子を変えていた。


朝の光に澄んでいた空が、いつの間にか薄暗く、鈍い鉛色を帯びている。

吹きつける風は冷たく、雪片が斜めに舞い始めていた。


「……吹雪の兆しですね」

ノアが空を見上げて呟く。


「今日は早めに屋台を畳みましょう」


拓真は頷き、歩き出した。


「了解。手伝うよ」


二人は並んで雪道を歩きながら、冷たい風を肩で受け止める。


縮こまった冬の村を抜け、屋台へ戻る途中。

拓真はふと、ポケットの中の氷晶札を指先で撫でながら、思い立ったようにノアに尋ねた。


「なあ、ノア」


「はい?」


「さっき言ってた……旅って、具体的にどこから始めるんだ?」


ノアは一瞬、歩みを緩めた。

吐く息が白く伸び、言葉を探すように空を見上げる。


「……東の峠を越えた先に、セリア環国連盟という国があります。

そこに、“金星の魔女”リュアさんがいるはずなんです」


「金星……?」


拓真は目を細めた。


「君が“冥王星の魔女”なら、太陽系モチーフってことか」


ノアはぱちりと瞬き、ぱっと顔を輝かせた。


「太陽系、知ってるんですか!?」


「ああ。俺の世界の理科の授業で習った。……地球を中心に、八惑星と、いくつかの準惑星が回ってる」


ノアは驚きで目を見開き、それから嬉しそうに笑った。


「偶然……なのかな。……面白いですね」


「だな」


拓真は笑い、ノアの横顔をちらりと見た。


冷たい風が二人のマントをはためかせ、白い雪が頬をかすめる。

けれど、不思議と寒くは感じなかった。


屋台に戻ると、二人は協力して屋台小屋を片付けた。


資材をまとめ、シャッターを降ろし、鍵を懐にしまう。


吹きつける雪は、すでに本降りだった。

空はどんよりと閉ざされ、森も、道も、すべてが白い霧の向こうに沈んでいる。


屋台小屋の扉を閉め、ランタンに火を灯す。


――ぱち。


乾いた音とともに、小さな炎が灯り、薄暗い室内を温かく照らした。


ノアは薄手の布団を肩に掛け、火炉の前に座り込む。


「……今日は閉じ込められちゃいましたね」


「こんな日にアイス屋やるのは無理だな」


拓真は笑って、火炉の前に腰を下ろした。


ノアは、ほんの少しだけ悪戯っぽく笑った。


「だから……今夜は、試作会をしましょう」


その笑顔に、拓真の胸の奥が、不思議と温かくなった。


小さな火炉に、鍋を掛ける。


ノアは、慣れた手つきでエスリオ根を潰し、ミルクとともに煮立たせた。

ふつふつと小さな泡が立ち、甘く香ばしい匂いが屋台小屋に広がっていく。


拓真は、火炉の隣に座り、膝にノートを広げていた。

そこには見慣れない魔術式の断片と、それを現代科学の元素記号に置き換えたメモが、びっしりと書き込まれている。


「ノア、その術式……凝固点降下みたいなもん?」


「凝固点……?」


「温度を下げるために、塩を混ぜたりするやつ。ナトリウムとか、クロライド……」


ノアは目をぱちぱちさせたあと、にっこり笑った。


「それ、こっちでは“クルグの白晶”って呼ばれます。たぶん、同じものですね!」


「クルグ……うわ、品名までファンタジック」


拓真は苦笑しながら、ノートに『クルグ=塩』とメモした。


鍋の中では、エスリオ根の甘いエキスとミルクがとろりと溶け合い、

ノアはそこへ、氷晶核を近づける。


「水:風=3:2の比率で冷却しますね」


小さな呪文とともに、氷晶核がわずかに光を放った。


鍋の表面に、白い霜がふわりと広がる。

それは、まるで雪の花が咲くような、美しい瞬間だった。


やがて完成した試作品は、直径五センチほどの、半透明のジェラート。

皿に盛られたそれは、淡く黄金色に輝き、まるで陽光を閉じ込めた宝石のようだった。


ノアは、スプーンをひとつ差し出しながら、少し逡巡する。


「……試食係、お願いします」


「じゃ、遠慮なく」


拓真はスプーンを取り、ひと匙、ジェラートをすくった。


口に運ぶ。


――ふわり。


最初に広がったのは、花の蜂蜜のような優しい甘さ。

そのすぐ後を追うように、山葡萄に似た爽やかな酸味が駆け抜け、

最後に、微かに残るほろ苦さが舌に余韻を残した。


甘い。

酸っぱい。

ほろ苦い。


三重の味わいが、舌の上で静かに重なり合っていく。


「――……んっ、これ……うまっ」


自然に言葉が漏れた。


ノアがぱっと顔を上げる。


「ほんとですか!?」


「マジでうまい。味が何層にもなってる。甘みから、酸味、そして最後に苦味。……後味が、大人っぽい」


ノアは、嬉しそうに手を胸元でぎゅっと握った。


「元素の配分を変えたんです。『甘味』は水と光の干渉で、『酸味』は風成分で香りを引き出して……『苦味』は、土の“余剰周波”で閉じ込めました」


拓真はスプーンをもう一度運びながら、にやりと笑う。


「……周波数で味操作とか、やってること量子グルメじゃん……」


外では、吹雪が屋台小屋の壁を叩きつけるように鳴っていた。

だが、小屋の中には、甘い香りと、静かな温もりだけが満ちていた。


魔導ランタンの光が、ふたりの影を長く落とす。


ふと、ランタンがぱち、と小さな音を立てる。

油が尽きかけている。


ノアは、静かに口を開いた。


「……拓真さん。もし、帰れる方法が見つかったら――帰りますか?」


問いかけは、ふわりとした声だったが、隠しきれない不安が滲んでいた。


拓真はスプーンを置き、しばらく黙った。

火炉の炎が、かすかに揺れる。


「正直、今はわからない」


言葉を探しながら、拓真は窓の外の吹雪を見つめた。


「帰ったら、きっとまた、大学の課題とバイトに追われる日々だ。

でも、ここなら……」


言いかけて、拓真は小さく笑った。


「――旅って、楽しそうだなって思ったんだ。

君のアイス、お世辞抜きで美味しいし。

それに、“星の魔女”っていう謎も、興味ある」


ノアは、ほっとしたような、それでいてどこか切ないような笑みを浮かべた。


「……私は。あなたと旅ができたら、うれしいです」


屋台小屋の外。

吹雪は次第に弱まり、遠い空の彼方、群青色の夜がゆっくりと顔を出し始めていた。


雲間から覗く満天の星々。

そして、その中でひときわ青白く光る、一つの星。


――冥王星星プルートスター


二人の影を、静かに、長く、伸ばしていた。


夜が明けた。


屋台小屋の外では、まるで昨日の吹雪が幻だったかのように、青く高い空が広がっていた。


拓真は、冷えた空気を一杯に吸い込んだ。


荷車を押し、屋台前に並べた木箱に縄を掛ける。

氷晶保存瓶や簡易調理道具、試作品の材料――

旅に必要なものを、一つ一つ、確かめながら詰め込んでいく。


力を入れて縄を締めるたび、木材がぎしりと軋んだ。

だが、体は軽い。

昨日の“筋束計”での規格外な数値を、今あらためて実感していた。


ノアが、屋台小屋の扉を閉めながら駆け寄ってくる。


「荷造り、助かります!」


「旅は身軽が吉ってな」


拓真は笑い、荷車の取っ手を軽く持ち上げた。


「ところで……次の町までは、どれくらい?」


「歩きなら三日。氷滑車なら一日です」


「氷滑車?」


ノアは胸を張った。


「氷磁軌道を滑るそりです! 風魔術で加速させるので、運賃も安いんですよ!」


拓真は思わず吹き出した。


「マジかよ……この世界、交通インフラ、近未来並みに充実してんな……」


二人は笑い合い、小屋の鍵を確かめ、懐にしまい込む。


小さな屋台小屋――

一晩だけの、静かな避難所だった場所。


吹き抜ける風が、二人のマントを揺らした。


ノアが、少しだけ息を飲み、そして言った。


「……行きましょうか。星の魔女たちのところへ」


拓真は、真っすぐ彼女を見た。


「おう。――よろしくな、相棒」


そう言って、にっと笑う。


ノアも、小さく、でも力強く頷いた。


銀髪の魔女と、異邦から来た青年。

二人の長い旅路が、いま、静かに、確かに――始まった。


青い空の下。

冥王星星が、まだかすかに、西の空に光っていた。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。


この物語は、異世界での「ご飯」と「出会い」を大切にしながら、

少しずつ広がっていく世界を描きたいと思って書きました。


ただ生き延びるだけじゃない。

ただ戦うだけじゃない。


ひとつの皿に込められた小さな魔法、

誰かと一緒に食べることで生まれる絆。

そういったものを、拓真とノアの旅を通して、これからも紡いでいけたらと思っています。


次の章では、さらに新しい街、新しい魔術、新しい出会いが二人を待っています。


これからも彼らの旅を、温かく見守っていただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ