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次の依頼。

「よう情報屋、仕事の依頼だ」

どこかで聞いた声に顔を上げると、

「なんだ、乙女ちゃんですぐぁっ!?」

セリフの途中でゲンコツ一発。

「イテテ……舌噛んだじゃないですかなにしてくれんですか」

「お前が変なこと言うからだろ」

「もー、なにも言ってないじゃないですかおと…………ガハラさん」

「君は人をまともな名前で呼ぶ気はないんだなそうなんだな?」

「えー、これでもまともですよ?」

「更に身長をミニマムにされたいのか?」

今度は握りこぶしを開いてぐいっぐいっと圧をかけるマネをする乙女ちゃん。

「冗談ですって」

広げていたお弁当箱を元通り包んで仕舞うと、立ち上がってついっと乙女ちゃんに顔を近づける。と、

「ま、待て何をっ」

目に見えて狼狽える乙女ちゃんをちょっと可愛いと思いつつ更に顔を寄せて、

「…………場所を変えましょう、ここはギャラリーが多いですから」

「……ぽへ………………? 」


さてさて、この時間なら誰も居なさそうだなぁ……と辺りを見回す。うん、誰も居なそうかな。

「さて、本題に入りましょっか…………あれ? 乙女ちゃーん? 」

ちゃんと付いてきてるかな? と何度も確かめたのにはぐれたかな? 返事がないので振り向いてみると、

「…………ぽへー……」

「お、乙女ちゃんが壊れた……?」

「…………はっ、ここはどこだ??」

「あ、戻った」

辺りをきょろきょろと見回す乙女ちゃん。

「ここは中庭だよ。ヒミツの相談をするには誰も居ないとこの方がいいでしょ?」

「ひ、ヒミツ…………」

……あれ、なんでそんなそわそわしてるの?

「乙女ちゃんどうしたの? トイレはあっちだよ? 」

「違げぇよ!! な、なんだよ急に連れ出して……ヒミツの話って……」

「いや乙女ちゃんが言い出したんでしょ? 仕事の依頼だって」

「……………はえ? 」

なんのこっちゃ、という顔つきから一転してすぐにキリッとした顔に戻る。乙女ちゃんもう遅いよ、さっきのぽへー顔はもうバレてるよ。

「…………あ、あぁそうだな、では仕事の話をしようか。…………と、言いたいところだが」

不意に視線が外される。それを追いかけて私も視線を上に向けると、

「…………美邦さん、なにしてんのそんなとこで? 」

木の上で降りられないネコごっこしてる人が居た。

「………………」

見つけられるとは思ってなかったのか、ぷるぷると首を振ってアピール。

「おいお前、とりあえず助けるからそこで動かず待ってろ!!」

言うが早いか、乙女ちゃんは上着と靴を脱いでその辺に投げ捨てると木をよじ登り始める。って、

「わー!? 乙女ちゃんスカートスカートっ」

春風にぱたぱたとはためいて色々とアブナイ感じになってる。

「んおっ!?」

中腹ぐらいの所で片手を離してスカートを抑えにかかる。けど片手で幹にしがみつける訳もなくてバランスが崩れる。

「っと、よっ」

おおっ上手い!! 持ち替えて別の枝に片手でぶら下がった!!

「おーいそこで動くなよー、今別の人を呼ぶからなっ」

「こ、来ないでっ」

言うが早いか美邦さんが枝から飛び降りる。

「なっ」

「えっ」

そしてそのまま豪快に着地して硬直時間なしのロケットスタート。

「…………えーっと、」

木の上と下で顔を見合わせる。

「…………とりあえず降りよっか」

「そうだな」

片手を離して乙女ちゃんも着地、はいいんだけど空気抵抗でスカートも盛大にまくれあがって、

「…………わぁ」

「み、見たか??」

「見えたね」

「…………変態」

…………しましま、なんだ……へぇ……

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