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俺は悪役令嬢の出るゲームの続編を作っていました  作者: 鳩野高嗣
第三章 新ディレクター登場
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新ディレクター登場【Bパート】

 後日、現路(うつつじ)ココナからファクスが届いた。


「現路さんのデザイン、どう?」


 ファクシミリは羽田の席の隣りにあった為、羽田(はねだ)窓野(まどの)の席まで持ってきて問う。


「これはこれで完成はしてますけど、他のキャラと並べると浮きますね。」


 窓野は違和感は感じているものの、どこを直せばいいかは明確にはわからなかった。


「ああ、今、旧キャラクターの新しい衣装を社内で描いてもらってる目白(めじろ)さんたちに聞いてみましょうか?」


 窓野が羽田に提案した。


「うん、そうして。」


 羽田が(うなず)く。


 ● ● ●


「少女漫画の体型じゃないからですよ。

 (あめ)先生の絵、衣服を脱がしたら病的なまでの痩せっぽちじゃないですか。」


 デザイナーのチーフの目白(めじろ)香苗(かなえ)は一目で断言した。

 なるほど、少年漫画と少女漫画の差だったか。


「文字では伝わらないと思うんで、直接、現路さんと話させてくれませんかぁ?」


「デザイナー同士の方が伝わりやすいかもしれないですね。

 じゃあ、つなぎますんで、よろしくです。」


 窓野は内心ほっとした。

 そして早速、現路へ電話を入れた。


「はい、現路です。」


 眠そうな声だ。


「もしもし、イレブンキーの窓野です。

 キャラデザの初稿ラフ、ありがとうございました。」


「どう?

 問題はなんかあった?

 スパイ、結構悩んだんだけど。」


「その件で、細かい点を弊社のチーフデザイナーの目白が伝えたいと――」


「んじゃあ、早く代わって。」


 話の途中で現路は要求を言いつけた。


「あ、はい。」


 窓野は電話を一旦保留にし、目白と代わった。


「もしもし、目白です。

 リテイクをお願いしたいです。」


 単刀直入だ。


「えっ?

 どこかまずかったかしら?」


「身体つきが少年漫画の体型になっているんですよぉ。

 今回は少女漫画のノリなので。」


「はあっ? だから何?」


 ダメだ。

 現場一筋と言うと聞こえはいいが、単なる世間知らずだ。

 交渉の電話には向かない。

 窓野にはゴジラとキングギドラが人間の街を壊しながら闘っているような状態に思えた。


「とにかく筋肉は禁止です。

 服の下は虚弱体質の痩せた人間を描いてください。」


「それじゃデッサンが狂っちゃうじゃない。」


「大丈夫です、雨先生の絵と揃えば人間の身体(からだ)でなくてもOKですから。」


 おいおい、何気に雨先生の絵がデッサン狂いだと言ってないか?


「‥‥わかった、筋肉禁止ね。

 ――で、顔とか服装とかのリテイクはある?」


 キングギドラが折れてくれた。


「軍服はわかりませんが、他は全部OKです。」


 ● ● ●


「電話、どうもでした。

 ――でも、どうなるものかと冷や冷やしましたよ。」


 窓野が目白に告げた。


「ん? なにが?」


 きょとんとする目白。

 彼女には外注デザイナーとの対話はさせまいと誓う窓野であった。


 ● ● ●


 更に後日、第二稿が現路からファクスで届いた。


「いいじゃん!」


 羽田が新攻略対象キャラクター三体プラス新主人公のラフデザインを気に入ったようだ。


「筋肉も取れて、旧キャラと並んでも違和感なしだと思いますよ。」


 怪獣王・目白も納得した。


「じゃあ、あとはツナミさんですね。

 ツナミさんのOKが取れたら千倉さんにコピーを郵送しますんで。」


 窓野は久々に心が晴れる思いでツナミの神山(かみやま)宛にファクスを送信した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ゴジラとキングギドラの戦い(笑) 表現が面白い。
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