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俺は悪役令嬢の出るゲームの続編を作っていました  作者: 鳩野高嗣
第十二章 ノイズ除去
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ノイズ除去【Bパート】

「いやあ、今回、時間やら何やらの関係でフリーの方にお願いしたんですよ。

 で、どうしても粗切りで納品するしかないって事で‥‥。」


 ツーエンドスリーの台詞データを担当した寅山(とらやま)が電話で言い訳をする。

 時間がタイトなのはともかく、『何やら』って何だ?


「とにかくノイズが乗っている部分を書いたテキストをメールで送りますんでお願いしますね。」


「‥‥それが‥‥。」


 寅山は言いにくそうに何かを伝えようとしていた。


「どうかされたんですか?」


「いつもは単価百円から百五十円なんですが、このラインでは羽田(はねだ)さんが五十円としてきたので出来るのはここまでなんです。

 これでも、うちとしてはかなりのサービスなんですよ?」


(原因はウチかぁーっ!)


 判明した『何やら』に窓野はまた頭を抱えた。


「わかりました‥‥。

 そういう事でしたらここまでで結構です。

 ありがとうございました。」


 窓野は丁寧に電話を切ると、つかつかと羽田の机へ向かう。


「羽田さん、なんでツーエンドスリーさんの額面、削ったんですか?

 ヴォイスデータ、ノイズ乗りまくりで使えないですよ。」


「ああ、その件なんだけど、山下くんのラインが想定外にお金使うのよ。」


 そこまで言われれば察しがつく。

 そして、その後の展開もまた然り。


 ● ● ●


 窓野はその日の業務(ノルマ)を終えた後、不二に借りた社内で最高レベルのヘッドホンを耳に当て、クールエディットプロでプチノイズやリップノイズを1ファイルずつ除去していった。


(今夜も泊まるしかないか‥‥。)


 窓野の闘いはまだ続く。

感想、評価、ブクマを付けてくださっている方々、本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 生々しさがいいですね。 [一言] 山下は本当にクズですね。
[良い点] 窓野、かなり有能なのに不幸で相殺されてるのが笑える。
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