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俺は悪役令嬢の出るゲームの続編を作っていました  作者: 鳩野高嗣
第一章 新規プロジェクト、始動す
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新規プロジェクト、始動す【Cパート】

 神山との打ち合わせは続く。


「前作は完全にネタゲームなんだよね。

 ――いや、ゲームにもなってないなぁ。」


 神山はどう返していいか迷うコメントを述べた。

 まともなゲームにしてほしいというのは、至極真っ当な望みなのだが、下手(へた)に納得する事も出来ない。


「このゲームの続編という事ですが‥‥。」


 窓野(まどの)が先程のコメントを濁す形で確認を取る。


「うん、そうなんだよね。

 前作は卒業して終わっちゃってるから、ローイに卒業式に革命宣言させて、攻略対象が三派に別れるの。

 ――で、新しく登場した主人公が三派を行ったり来たりする、そんなゲームかな。」


 ローイとは攻略対象の一人で、過激な独裁政権を目論む貴族の御曹司だ。

 新しく登場した主人公‥‥?

 前作の主人公はリストラして構わないという事だろうか?

 窓野にとってみれば、その方がプロットを切り易い。

 だからヤブヘビにならないよう、敢えてそれには触れずに話を進める事にした。


「はあ。

 三派というと、革命側とレジスタンス側と中立って感じでしょうかね。」


 窓野は真面目にメモを取りつつ、ゲームの核になりそうな事を確認する。


「そうそう、そんな感じ。

 あとやりたいのは鉄橋爆破とダンスだね。

 ミニゲームは三つ四つ入れたい。」


 『ミニゲーム』という単語に羽田の顔が引きつったように見えた。

 ミニゲームは思った以上に予算をくうのだ。

 それにしても鉄橋爆破がマストというのは驚いた。


「最終的には攻略対象との結婚でしょうか?」


 窓野は羽田の反応を無視して先を進めた。


「う~ん‥‥結婚させちゃうと続編が作れなくなるからプロポーズまでにしといて。」


 神山はプロデューサー見地で発言した。


「『宿命分岐』というのはどうでしょう。」


 話の流れをぶった斬って直木が突然、話に入り込んできた。


「宿命分岐‥‥ですか?

 それはどんなシステムでしょう?」


 窓野は直木に(たず)ねてみた。


「いや、なんとなく言葉だけ(ひらめ)いただけ。

 なんかに使って。」


 あんたはイタコか、とツッコミたくなる衝動を抑える窓野。


「宿命分岐、いいじゃん!

 それも入れて。」


 羽田が調子よく直木のご機嫌を取る。

 そのようなやり取りをしている間、ずっと腕組みをしていた神山が口を開く。


「最後はレジスタンスはスイスに亡命かなぁ。

 入れたいのはそんな感じ。」


 ひと通り伝えたい事を言い終えたのか、神山はテーブルの上のお茶をすすった。


「あの、ところで、前作を作られたディレクターの方は‥‥?」


 窓野はこれを機と見て、気になっていた事を神山に(たず)ねた。


「ああ、温泉(ぬくいずみ)くんねぇ。

 彼はキャスティング会社を通じて若手声優との合コンを繰り返してたからねぇ、悪事のメールを社内に(さら)されて辞めちゃったんだよ。

 ウチにはそういうのを専門に扱う部署があってね、『ゲシュタポ』って呼ばれているよ、ははは。」


 色々と笑える話ではない。


「――おっと、私は次の打ち合わせに行かないと。

 企画書、楽しみにしてるよ、じゃっ。」


 そう言うと、神山はそそくさと帰って行った。

 ゲームの内容というより、キーワードだけが与えられただけの打ち合わせ。


(これ、どう組み合わせろと‥‥。)


 言いたい事だけ伝えた神山と直木の帰った後、プランナー、及び開発ディレクターという肩書を持つパズラーが一人、自分の机で頭を抱えていた。



 こうして『ダインリーベ2』のラインは走り出した。

読者の皆様の反応があるようでしたら続きを書きます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 神山さんはしっかりしたキャラクターとして書かれていて好感を持ちました。 仕事を丸投げされる形となった窓野さんはご愁傷様ですけど。
[良い点] 丸投げっぷりが面白い。
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