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恋愛理想は焼き菓子のように  作者: 日下部素
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帰宅。


雅子に悩みを打ち明けようとしたがその時は気力がなく、早々に自室にこもった。

ベッドにどさっと倒れこむ。

「どうしよう」

田ノ浦高校に入学して一か月と経たないうちにいろいろなものを背負い込んでしまったような気がする。

「二人ともすごい勢いだったな」

どうしてこうなったのか。

それだけ今日まで賭けてきたものがあるということだろう。二人のことを改めて考える。

帆高は料理についてより学び人を幸せにしていきたいと考えている。

周は人と人とのつながりをより温かくできる空間を作り出せるような料理人になりたいと語った。



理央は胸に何かつっかえた気持ちになった。二人にはつながりがある、それは料理に対する思い。二人の考えはとても似ているように感じる。いや方向は同じ方を向いている。

彼女らがケンカしているのは以前の意見の違いだけのような気がする。ナビアでの小競り合いに関しては詳しいことはわからなかったが誰しも味に対する評価は違う。百人いたら百人がおいしいと答える創作料理を作るのは並大抵ではない。むしろ不可能に近い。店を出そうとしている若手の料理人であれば問題点も出てくるであろう。しかしそれを指摘すると今度は『源組』に対する軽蔑ととらわれてしまうかもしれない。実際、周がそれを行ったことで今回や以前のコンベンションでのいざこざに発展してしまった。



彼女らは何を雅子に教わったのだろうか。二人とも大切なことを教わった旨を説いていた。

こればかりは雅子に聞くしかない。覚えているだろうか。もしかしたら年単位の昔の話を掘り下げないといけなくなるので普段のあっけらかんとした雅子を思い理央は難しいかもしれないと諦観していたが案ずるより産むがやすし、実際にこれまでのことを根掘り葉掘り聞いていくしかないと考えた。

どうしてこうなったのか。それは周に家庭科部に入部してほしいからだ。秋までに家庭科部を5人で活動している実績を作り来年に向けて家庭科部を存続させる大義名分があるからだ。それに同じ方向を向いた料理人を目指す者同士にケンカさせたままなのも気が落ち着かない。もとはと言えば彼女たち同士のいざこざだが再加熱させてしまったのは理央でありそれを負い目に感じていた。



時間は午後9時半を回ったところ。まだリビングで茶でもすすっている頃合いだろう。

彼女について聞こうと理央は一階へと降りた。


よろしければブックマーク、☆の評価、感想をいただけますと幸いです。


作者の励みになります。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


これからもよろしくお願い申し上げます!

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